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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第十章
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リヨンと闇の種子3



“螺旋剣”!


“鬼神拳”!



 ツトムの黒いオーラの“螺旋剣”が螺旋を描きリヨンへと飛び、リヨンの放った赤いオーラの“鬼神拳”にぶつかる!


 “鬼神拳”が“螺旋剣”にぶつかると大きく衝撃波を起こしお互い消滅してしまった。


「技持ちだったのか。てか必殺技の威力も互角なのかよ」


 ツトムが悔しそうにぼそりと呟く。


 するとまた、頭の中に声が響く。


『強敵と確認。このままでは勝てません。レベル五にシフトします』


 ツトムは小さくチッと舌打ちすると、


『しゃーねえ。明日動けなくなるが死ぬよかマシか』


 ツトムの漆黒の鎧が赤黒く変色していく。それと同時に節々から蒸気のような物が噴き出す。


 鎧の表面が灼熱に燃えていく!


『肉体の限界耐久時間は三分です。その間に敵を倒してください』


『了解っ』


 今度はツトムからリヨンにダッシュして近づく。


 速い!


 が、リヨンはその突進してくるツトムに合わせて殴りかかる!


 しかしリヨンの拳はかすりもせず空振りした。


 リヨンの顔が驚きで満たされる。


 拳が振られたときにすでにツトムは側面に回り込んでいる。


 最後の瞬間に突進の速度をさらに速度を上げたというのか!


 ツトムの側面からの剣による斬撃は、なんとか避けたが切っ先がわずかにリヨンのわき腹を切り裂いた。


 リヨンは現在鎧を身につけてない。


 オーガの皮膚はそこらにある板金鎧と同じぐらいの硬さを持っているからだ。


 それに自己再生も持っているので、多少の傷なら一瞬で治ってしまう。


 ツトムはリヨンを中心にすさまじい速度で死角死角へと回り込みながら、リヨンの隙に剣を振るい斬り付ける。


 しかし二つ目の傷をつけている間に一つ目の傷は回復していっている。


 ツトムは焦る。なんとかレベル五の間にけりをつけなければリヨンに殺されてしまうだろう。


 ツトムはさらに徐々に速度を上げる。


 リヨンは考える。


 大きな攻撃さえ喰らわなければいずれ力尽きることは明白だ。


 こんなに連続での攻撃をしていたらそう長い時間持つとは考えられない。


 リヨンはただ、防御する。


 体は追い付かなくとも目では動きを追えている。


 これなら大丈夫だ。この殺し合いは私の勝ちだ。


 リヨンはほくそ笑んだ。


『おい、何かないのか!』


 ツトムは焦って鎧の精霊に話しかける。


『……ひとつあります。レベル六へのシフトです』


『六かよ! たしか技を使い終わったら即動けなくなるやつだろ』


『はい。確実にとどめを刺さなければなりません』


『どっちみち殺らなきゃ殺られるんだ、で、稼働時間はどのくらいあるんだ』


『三十秒です。その間に決着をつけてください。ではレベル五からレベル六へシフトします』


『了解したっ!』


 ツトムの鎧が白く光りだす。


 あまりのまぶしさにリヨンは目を細める。


 まずい、これでは動きを目で追えない。


 ツトムはさらに速度を上げていく。 


 よし、これならいける。


 ツトムが思った時だった。


 リヨンが叫んだ。 



“鬼神拳”(オーガフィスト)



 ツトムはリヨンが技名を叫んだ時にはすでに真後ろまで回り込んでいる。


 もらった! これで勝った!


 しかしリヨンが殴りかかったのはツトムではなかった。


 地面だ。


 真下の地面に全力の“鬼神拳”を放ったのだ。


 地面がクレーター状に陥没する。 


 リヨンは即、後ろを向くと大きく体勢を崩したツトムに向かって全力で殴りかかった。



 リヨンの拳がアダマントの鎧を砕き、ツトムのわき腹にめり込んだ。


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