表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第十章
188/379

リヨンと闇の種子2


 リヨンは両手のガントレットを胸の前で打ち合わせる。


 それだけでも衝撃波が発生し、リヨンの前の空気が歪む。


 それを見た魔族の男は顔を引きつらせる。


 見ただけでもそのガントレットの性能が普通の魔法の品ではないと分かる。


「俺の名前はツトム・ミズキ。お前は?」


 リヨンはめんどくさそうに答えた。


「……リヨン」


「リヨンね。オーケィ。よし、来い!」 


 それを聞いた瞬間、ツトムへ向けてリヨンはダッシュする。


 渾身の一撃をツトムの頭めがけて放つ。


 ツトムはバックステップで避けた。


 空振りしたリヨンの拳は前方へ向け衝撃波を放つ。


 ツトムの避け方が正解だ。


 受け流したり受け止めたりすればそのまま衝撃波の餌食となる。


「あぶねえあぶねえ。これじゃあ、近づけねえな」


 ツトムは剣を持ち、左手にはラウンドシールドを装備している。


 ツトムの装備は全身魔法の品のようだ。


 鎧と合わせて、意匠が統一されている。


 セットで特殊な効果が付いているかもしれない。


「よく喋る」


 またリヨンがダッシュし拳を繰り出す。


 ツトムは先ほどと同じようにバックステップで距離を取る。


 が、リヨンはそのままツトムへ向けて逆の拳を繰り出し衝撃波を放つ。


「おっと」


 ツトムは盾を前面に出しその衝撃波を受け流す。


 それだけでもよろけそうになり必死に姿勢を維持する。


 一つミスすればそこで終わりになるだろう。

 

 ツトムの頭の中に他者にはわからない声が聞こえた。


『警戒レベルをレベル四にシフトします』


『おいおいいきなりかよ』


 ツトムの装備の形が変わる。


 鎧が面積を増し、露出が少なくなっていく。


 そして額の鉢がねも形状を変え、頭を覆っていく。


『それでは頑張って下さい』


『わーったよ。ったく』


 ツトムの鎧には人工精霊が宿っており、様々な状況に応じて助言やサポートをしてくれる。


「しゃーねえ、リヨンとか言ったか。本気で行くぞ!」


 リヨンは顔をゆがめる。


「何を」


 いままで手を抜いていたのか。


 そんなことを考える余裕もなく、今度はツトムからリヨンに斬りかかった。


 全身を覆ったレベル四の鎧は身体能力の強化。


 鎧そのものが筋肉の代わりをすることでパワードスーツのように単純な攻撃力が上がる。


 リヨンとツトムはお互い攻撃を打ち合う。


 リヨンの衝撃波は鋭角になったツトムの鎧に受けながされてしまう。


 拳は盾と剣で受け止められる。


 何よりリヨンが信じられないのは、力が互角だという事だ。


 完全に打ち合いになっているのに、打ち勝てない。


 ツトムの頭の中にまた声が聞こえてきた。


『このまま打ち合いをするのであればレベル五にシフトします』  


『げっそれは勘弁してくれ!』


『であれば早めに有効打を入れてください』


『はいはい頑張りますよ、と』


 ツトムが全身に闘気を纏い、黒いオーラが体から立ち昇る。


 それを見てリヨンも通常の薄青いオーラから真紅のオーラへと性質を変えていく。


 ツトムが技名を叫んだのと同時にリヨンも技名を叫んだ。


“螺旋剣”(スパイラルソード)


“鬼神拳”(オーガフィスト)

  

 二つの技が真っ向からぶつかり合う!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ