凱旋6
グリフのツノに火花が散った瞬間、僕はスキル“受けながし”を使った。
視界が真っ白になるが、僕は僕に向かって放たれた電撃をすべて受け流す!
ミオも反対側で“受けながし”を使ってるみたいだ。
姉さまの方を見てみると、姉さまへ向かった電撃はすべて両手の武器に纏わりついていく!
「これが新しい技よっ」
姉さまが声を上げる!
「電撃を力に変えてっ!喰らえっ!“真竜・電撃剣”!!!」
ミオと僕が電撃を受け流してる間に姉さまのカウンター攻撃が炸裂する!
姉さまの神剣と聖剣の両剣が雷撃を纏いグリフを斬り付ける!
防御する暇もなくX文字に胸を切り裂かれたグリフはそのまま地上へ落下した。
「おっと」
僕はグリフの手から離れたカタナを空中でキャッチする。
よし、回収できた。
武器が強力だと敵の手に渡った時に大変なことになると今回勉強した。
速いところティーリンに持ち主契約の魔法を付与してもらおう。
僕はそんなことを思いながら空中からグリフを追いかける。
グリフは盛大に胸から赤黒い血を吹き出し、きりもみしながら木々の間を落ちていった。
僕とミオと姉さま、そして生き残ったグレーターデーモン達がさらに追う。
姉さまと僕が着地する。
一瞬間をおいてミオが着地した。
三人の真ん中でグリフが仰向けに倒れていた。
傷口はふさがっている。もう血は流れていない。
しかし起き上がることはできないのかピクリとも動かない。
グレーターデーモン達がグリフと僕らの間に無理やり割って入るように着地した。
グリフは部下?からは慕われているらしい。
僕らに向かって牙をむき出し近づかないようにと威嚇する。
グリフがやっとのことでか喋りだした。
「……強すぎだろ、お、お前達は……。……降伏したい」
姉さまが答えた。
「魔神と人間は相容れない生き物だ」
それにグリフが反論した。
「……そ、そんなことはない。魔神と人間は、共存できるはずだ……」
そこでグリフは盛大に血を吐いた。
「我を見よ。……普段は人間として暮らしている。こ、今回だって火をつけただけで人間は殺してないはずだ……」
姉さまは難しい顔で黙り込んだ。
「どんな条件を望むにゃ?」
ミオが引き継いだ。
「我は……。そ、そうだな、我らの降伏を受け入れるのなら、一生そこの男の下に付こう」
「ユウが先に死んだらどうするにゃ」
「その子供、またその子供。し、子々孫々までそなたの家族を……守ろう」
「何に誓うにゃ」
「魔神の誇りにかけて。わ、我らが生涯をその男とそのし、子孫に捧げよう」
そこで姉さまが口を挟む。
「私は勇者としてお前が死ぬまで戦わなくてはならない。が、そうだな、町が気になるから私は帰ろう」
そして後ろを向き、翼を広げ、
「とどめはユウに任せる」
そう言うと飛び立った。
なるほど。僕にまかせるという事か。
「よし。それなら僕に降れ。それと今後一切人間に危害を加えることを許さない。たとえ自分が攻撃されてもだ。僕の命令がない限り反撃は許さない」
「承知」
「では魔法陣を」
グリフは空中に魔法陣を描き出した。
僕はそれを読む。
契約内容は先ほど言ってた通りだ。
一生を掛けて僕の子々孫々まで守るという事と、人間に危害を加えない、僕らの言うことは何でも聞く、という事だ。
僕は五芒星の頂にチェックを入れていく。
それが終わると、魔法陣は二つに分かれ、僕の胸とグリフの胸に吸い込まれるように消えていった。
そこでグリフはゆっくり上半身を立て、片膝をついた。
グレーターデーモン達も僕を中心に片膝をついていく。
「我らが新しい王に忠誠を」
なぜかミオが誇らしげだ。
こうして僕は魔神達を従えることになった。