凱旋3
いくつもの剣閃がグリフに迫る!
その攻撃がグリフに届くかと思った瞬間に、グリフの姿が掻き消えた。
見える!
一秒後、斜め後ろから僕に向けてハルバードの攻撃をする姿が!
僕は振り向きざま剣を振るう!
そこにはあわててハルバードを戻すグリフがいた。
またテレポートか! 厄介だな。
グリフが口を開く。
「なんで今のがかわせるんだ!」
「さあてなんででしょう」
僕はそう言うとカタナを構える。
しかしテレポートが本当に厄介だ。うかつに攻められないぞ。
ん?
ああそうか、真面目に戦うことはなかった。
僕は思いついた戦法を使わせてもらう。
それには先ほどと同じ状況を作らないと。
僕はもう一度僕はグリフに向けて同じ技を放つ。
“真竜・流星剣”!
今度は一秒後に左後ろにテレポートしてハルバードを振り上げる姿が見える。
グリフの姿が消えた一瞬に、僕は転移先のグリフのさらに後ろへとテレポートをする!
グリフのテレポートは“模倣”させてもらった!
グリフがハルバードを振り上げたまま固まってる。
「こっちだ!」
慌てて振り向いたグリフに向かってカタナを振り下ろす。
袈裟がけだ!
入った!
赤黒い血が胸から吹き出る。
「ぐっ」
グリフは僕を睨んだまま胸に力を入れ、筋肉で無理やり血を止めた。
そして苦し気に吐き捨てるように言った。
「なぜおまえがテレポートの魔法を使えるんだ。しかも我と同じ無詠唱でだと……」
まあもっともな疑問だな。
僕はそれには答えず、
「デーモンの姿にはならないのか? そっちのほうが戦闘力が上がるだろ」
グリフは一瞬あっけにとられた後、いきなり笑い出した。
「何がおかしい?」
「ククク。いやなに、この姿が本来の姿だ。デーモンと人間のハーフなんでな」
なんだって? 僕は驚愕した。そんなことがあるのか!?
「まあ本気を出すとしたらこのぐらいかな」
グリフが額のあたりをなでると、頭から二本のツノが現れた。
「これで破れたらまあ、悔いはないかな」
そう言った途端、二秒後にグリフの体からあたり一面に雷が広がるのが見えた。
僕は驚愕する。なんだこれは! 逃げ道がないぞ!
その二秒後、対抗策を見いだせなかった僕は、全身もろに雷を喰らってしまった。
体全身が悲鳴を上げ、凄まじい激痛が僕を襲う。
そして僕の体はそのまま落下する。
体が動かない! 羽もピクリとも動かない。
やばい、魔力がきちんと働かない!
僕が焦り慌てていると、ウリシュナが僕を掬い上げるように飛んできて、その背中でミオが僕をキャッチした。
「よかった。まだ生きてるにゃ」
僕の全身からいくつもの煙が立ちのぼっている。
「クククククク、あはははははは。あーははははは!」
グリフの上げた笑い声が辺りに響き渡った。