凱旋2 vs魔神王グリフ
――――超級魔法“ブリザード”
グリフが呪文を唱えだして僕は驚愕した。
魔人が暗黒魔法以外の魔法を使うなんて!
だけど残念だったな。
僕に魔法は通用しない!
「ミオ、技借りるよ!」
「はいにゃ!」
“ 魔攻反射 ”
僕達の周りがきらきらと輝く。
ブリザードがそのきらめきに触れた瞬間ブリザードは跳ね返った!
今度はグリフが驚愕する番だ。
「何だとっ」
グリフは慌てて防御姿勢を取ってブリザードを耐える。
「そんな技があるのか……」
僕は胸を張る。
「僕に魔法は通用しない!」
グリフはもう一本ハルバードを出現させると、両手にハルバードを構える。
そして僕に向けて突進を……
そこでグリフの姿が消えた!
なんだ!? 透明化か!?
すると殺気が真後ろに現れた。
やばい、反応が遅れた!
僕は後ろを見ずに聴勁を全開にする。
右側から袈裟懸けにハルバードを繰り出す気配を察知して、居合で抜いたヒヒイロカネのカタナでハルバードを受け止める。
そこを支点にくるりと回り僕はグリフに向き合う。
時間差で振るわれた第二撃はしかしミオのヒヒイロカネのツメに防御される。
そして僕とミオはそのままハルバードを切り飛ばした!
「くそっ」
グリフは大きく後ろに跳んで手から再びハルバードを出現……する前にミオがウリシュナの背を走り攻撃を仕掛ける!
グリフはあわてて翼を広げ空中に逃げる!
が、ミオはそのまま空を蹴って空を走る!
空中歩行のスキルだ!
ウリシュナが大きく旋回しグリフを正面に捉える。
ミオの攻撃はぎりぎりで召喚されたハルバードで受け止めたが、その瞬間ハルバードはまた切り飛ばされる。
「これでも駄目なのかよっ」
なにやら普通のハルバードではなかったらしい。
ミオが追撃を入れる。
「結局これか!」
ミオの攻撃を腰に差してあったナイフで受け止める。
黒く虹色に輝くナイフだ。
こいつもヒヒイロカネの武器を持っていたのか!
受け止められて一瞬固まったミオが、グリフの蹴りを喰らい吹き飛ばされた。
ウリシュナが位置を調整して、僕は吹き飛ばされたミオを空中でキャッチする。
「油断してたにゃ。すまないにゃ」
「うん。油断せず行こう」
「にゃ」
よかったダメージは喰らってないみたいだ。
グリフを見ると、左手に黒いハルバードをまた装備している。
右手にナイフ、左手にハルバードだ。
「そこまでの装備なんて、神々でも装備してるのは少ないのだぞ……」
そうなのか。
「これは他の魔神王が負けたのも納得できる……」
出来るのか。
「では、降参するかい?」
グリフは信じられない、という顔をした。
「何をもったいない。本番はこれからだぞ」
余計やる気を出させてしまった!
しょうがない。とことんまで付き合おう。
――――神級光魔法“武装天使鎧”
「さすが今代の勇者。天使級の呪文か!」
ん? なんか勘違いしてる?
「僕は勇者じゃないぞ?」
しかしこいつはなんか軽いな。
グリフは首をかしげる。
「光魔法を使う人間なぞ勇者しかいないだろう?」
「勇者は僕の姉だ! 僕は勇者の弟、ユウ・オールドリバー! 覚えておくといい!」
あ。偽名の方名乗っちゃった。まあいっか。
僕はそれから魔眼の指輪に魔力を込める。
僕の額に魔力で出来た第三の目が開く。
よし、これで三秒先までの未来が見える。
「勇者ではないだって? それでこの強さなのかよ……」
僕の準備は出来た。今度は僕からだ!
「いくぞ!」
グリフはハルバードとナイフを構えた。
「来いっ!」
僕は空を飛び、そして技を唱えた。
“真竜・流星剣”!
僕の手加減無しの“真竜”の力を乗せた“流星剣”がグリフめがけて放たれた。