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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第九章
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魔神迷宮37

 カレンは焦っていた。


 後続が次々と参戦してくれるのはありがたいのだけど、さすがに二百体のグレーターデーモンは多すぎる。


 頼りのミオは、グレーターデーモン五体相手に善戦してるが、さすがに他まで手を回す余裕はなさそうだ。


 むしろ、その状態からグレーターデーモンを時間が掛かりながらも倒していっているのは、さすがとしか言いようがない。


 しかし一体倒すともう一体がすぐに穴を塞ぐように参戦して、常に五体を相手取っている。


 逆に助けを求められてもおかしくない状況だ。


 盾になってくれているドラゴン達も全身から血を流していて、倒れてしまうのも時間の問題だろう。


 後続の皆もこちらに近づくことが出来ず、円陣を組んで戦っている。


 ドラゴン達が壁にいない分、後続の皆の方が危ない。


 さっきから何人も吹き飛ばされているのを見ている。


 見るからに劣勢だが、オルターがボスを倒して参戦するぐらいしか打開策が見つからない。 


 しかしもう魔法使いたちも魔力がつきかけている。


 もうオルターがボスを倒しても間に合うかどうか。


 カレンが物思いに耽った一瞬の間に、ドラゴンの脇を抜けてきたグレーターデーモンがハルバードを振りかぶった。


 カレンは硬直した。


 もう避けられない。あれが振り下ろされたら私は死ぬ!


 姫様ごめんなさい……。


 思わず目を閉じた。


 目を閉じたその瞬間になぜか森の匂いがした気がした。


 しかしいくら待ってもその瞬間はやってこなかった。


 カレンはおそるおそる目を開ける。


 そこには剣をグレーターデーモンの首の後ろに深く突き刺したエルフがいた。


 思わず声が出た。


「ティーリン!」 


 ティーリンはにっこりと笑うと、緑の闘気を身に纏いながら、グレーターデーモンの頭上を飛び回り、次々と首の後ろに剣を刺しグレーターデーモンを屠っていく。 


 と、レッドドラゴンを相手にしていたグレーターデーモン達が帯のような炎に巻かれ、燃え上がっていく!


 エターナルフレアだ!


 しかも同時に十本以上の炎の帯がグレーターデーモンを燃やしている!


 マナだ!


 こんな常識外れのエターナルフレアを唱えるなんてオルターのほかにはマナしかいない!


 そして静かな歌声が、聞こえてきた。


 この歌声は……アンリ!?


 歌と共に光の波動が周りに広がっていく。


 すると傷ついた者達が回復し、死んだ者たちすらも生き返って起き上がっていく。 


 さらにグレーターデーモン達が苦しみだした。


 人間を回復させる呪文は逆にデーモン達には苦痛になるらしい。


 そして光の弾丸が一直線に魔神王の方へと走り抜けていく。


 途中に居たグレーターデーモン達を吹き飛ばしながら。



 勇者アンフィだ!



 カレン達はさっきまでの沈んだ心とは打って変わって、自分の気持ちが高揚していくのを感じていた。


 勇者とその弟。


 この二人に勝てない相手なんて想像もつかない。


 だって二人は邪神ですら倒してしまっているのだから。



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