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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第九章
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魔神迷宮30

遅くなりました。


 僕らは密林の中を歩いていた。


 ここで襲ってくる魔物は上の世界と対して変わらない。


 ゴブリンにオーク、スケルトン。


 ただし全部肌が黒い。デーモンの眷属という事なのだろうか。


 幸いにも強さは地上に居る魔物と大して違わなかった。 


 後は超巨大な蛇だ。


 見た目は黒いアナコンダのブラックサーペント。


 巨大なくせに素早く動けて、なかなか厄介な相手だ。


 僕らは時たま襲ってくるそれらの魔物を倒しながら先に進む。


 一応獣道のような道が黒いピラミッドまで続いてるので迷うことはない。


 不気味なのはデーモン達が姿を現さないことだ。


 僕らはそのまま歩き続け、黒いピラミッドにたどり着いた。


 デーモンの大群と戦うことになるかもと思っていたのに拍子抜けだ。


 いや、もしかしたらこのピラミッドのなかに大群が待ち構えているのかもしれない。


 油断はできない。


 僕らはピラミッドの入口で少し休憩をして、軽く昼食(と言っても硬い黒パンだが)を取った。


 みんな緊張しているのが分かる。


 ほとんど会話がない。


 そしてピラミッドの中に入る。


 先頭はまたヤヨイにお願いすることにした。


 “危険察知”のスキルはありがたい。


 僕も模倣させてもらって持ってはいるけど、これは隠れてこっそり使うことにする。


 バレたらまずいしね。 

 

 ピラミッドの中は、やはり黒大理石でできていた。


 正面から入ると、地下に続く階段がある。


 ヤヨイを先頭にして進む。


 ここも“ライト”で明かりを作って先に進む。


 階段を降りると、いつもと同じ構造になっていた。


 すなわち、高い天井、黒大理石の巨大な柱と床。


 僕も“危険察知”と“気配察知”の両方のスキルを使いながら先に進む。


 三十分も歩いた所だろうか。


 突然強いプレッシャーが僕らを襲った。


 なんだこれは!


 邪神クラスのプレッシャーだぞ!


 ぼくは慌ててミモザに頼む。


「ミモザ、歌を!」


 ミモザは一つ頷くと、聖歌を歌いだす。


 僕らの心が勇気で満たされていき、プレッシャーの効果がなくなっていく。


 居る。


 スキルにはまだかかってこないが、この先にウルヌスが居る。


 存在の大きさがプレッシャーになって襲ってきているんだ。


 そしてそれは、“ライト”の明かりに照らされて、見えてきた。


 王座に座ったデーモン種だ。


 !


 柱が邪魔で見えていなかったが、王座の前、脇に隊列を組んでグレーターデーモンが並んでいる。


 僕の額から汗が噴き出す。


 右側と左側……。ハルバードを持ったグレーターデーモンが百体づつぐらいいるぞ……。


 これは……。


 いや、もう撤退が出来る状況ではない。撤退なんかしたら後ろから襲われておしまいだ。 


 やるしかない。


「ヤヨイさん、もういいよ。さがってて。ありがとう」


 ヤヨイは真っ青な顔で一つ頷くと後方へとさがる。


 全員が示し合わせたかのように武器を抜く。


 僕もカタナに手を掛け、いつでも居合で抜けるようにする。


 王座に座っている黒いデーモンは、グレーターデーモンに比べると小さい。


 二メートルぐらいか。


 しかし筋肉が盛り上がっている。頭についてるのはヤギのツノではなく、丸くなった羊のツノだ。


 王座にすわり、頬付けをつきながら、こちらを見ている。


 王座の後ろにはプールなようなものがあり、銀色の液体がぶくぶくと泡を立て、不気味に渦巻いている。


 僕らはグレーターデーモンの手前で止まった。


 グレーターデーモン達はピクリとも動かない。



 僕は声を上げる。



「お前が魔神王ウルヌスか!」



 その男が答える。



「そうだ、幼き人間よ。我が魔神王ウルヌス。デーモン種の頂点に立つ存在だ」



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