魔神迷宮27
僕らはガーゴイルをすべて倒した。
次はいよいよ最下層だ。
ガーゴイル戦で負傷者がかなり出たのだが、僧侶たちの回復のおかげで死者はゼロに抑えられた。
順調だ。
僕らがボスに集中できるのも、後衛の皆が雑魚を押さえていてくれるからだしね。
そして最終突入メンバーは以下の通り。
シーサ精鋭部隊一、9人
シーサ精鋭部隊二、11人
シーサ精鋭部隊三、10人
学園部隊 12人
冒険者部隊 10人
僕らは13人 僕(魔法戦士)、ミオ(武闘家)、カズマ(剣士)、カレン(戦士)、シズカ(剣士)、ロミ(戦士) ミモザ(僧侶)、ミランダ(僧侶)、ティノ(ユニコーン)、マリーナ(魔法)、マーガレット(弓)、リリアン(魔法)、セルフィ(魔法)
あとユウカだ。
ユウカには翡翠玉を渡してはいるのだけど、僕から離れるのが嫌だという事なので、後衛に守ってもらっている。
僕たちはこの階層で最後の休息を取ることにした。
と、その前に、王座の後ろにある金銀財宝の中の、武器と防具を鑑定して有用そうなものを探そう。
僕は鑑定スキルで次々と鑑定していく。
ほぼすべての武具が魔法を帯びているのが恐ろしい。
一体どれだけの敵を倒したというのだろうか。
ウリシュナの所にある武具と同じぐらいはある。
一人だといやになる量があるが、鑑定スキルを持っているミオにも手伝ってもらっている。
「これは振ると炎が出る武器にゃ、こっちは魔力を流すと光るメイスだにゃ」
鑑定スキルはかなりのレアスキルなので、残念なことに他に使えるものは居なかった。
マジックアイテムは通常、鑑定スキルのスクロールを使い鑑定するそうだ。
僕らは魔力の高そうなものから鑑定して、配っていく。オリハルコンの武器がかなりある。
オリハルコンの剣、短剣、槍、斧、大剣。
それらが次々と配られる。
木製の弓、杖もかなり性能がいい物がたくさんあった。
マーガレットには狙ったターゲットを外さない弓を渡し、リリアンには呪文の威力が劇的に上がる杖を渡した。
これはシーサ王国の精鋭たちがかなり強化されていくなぁ。
場所的にもシーサの地下だから取得権はシーサ王国にあるのかな?
シーサ王国の精鋭部隊の隊長に聞いてみると、
「私たちの分は王国に収めることになっています。他の者たちが手に入れたものは各自で持ち帰ってもよい、という事です」
なるほど。結構太っ腹だ。
セット物の鎧も数十個はあるので、揃えて配る。
炎の攻撃の五十パーセントカットとか付いているアダマントのセット鎧とか、レア装備すぎる。
僕も欲しいけど、自前の鎧があるから諦める。
自動サイズ調整の効果がついてないと、大人に変化したときにえらいことになるからね。
カレン達やミモザも装備を一新した。武器は魔法の品を使っているから防具だけだけど。
ミオと僕は装備の変更は無しだ。
と、思ったのだけど。
財宝の真ん中。金貨を山と積んである一番下に、半透明のドーム型のクリスタルがあるのに気が付いた。
中に一振りの虹色に輝く剣が収められている。
僕はどきどきしながら鑑定してみる。
名称:神剣?????
鑑定:ヒヒイロカネで作られた、神???の武器。武器に選ばれしものしか装備することはできない。
短い。けど、神の使う武器だ。
これは心惹かれる。僕はかぶせてあったクリスタルを脇にどけ、剣を拾おうとした。
瞬間。はじけるような電撃を指先に感じて、思わず手を引っ込める。
そうか、この武器は使用者を選ぶのか。
「なにしてるにゃ? ミオにも見せるにゃ」
ミオが剣に向かい手を伸ばす。
「あ、あぶない!」
「なにがにゃ?」
ミオは武器を拾い上げる。
「!!! な、なんでもない……」
これはミオを武器が認めたという事か?
すると武器が光りだし、その形態を変えていく。爪だ。手甲に爪のついた武器に変化した。
「爪になったにゃ」
ミオが驚きの声を上げた。
「ミオが武器に選ばれたみたいだよ。僕の作った爪の片方は予備にして、片方はその武器にしなよ」
ミオはしばらく考えていたけど、
「わかったにゃ。そうするにゃ」
ミオは複雑そうな顔だ。
僕からもらった爪を外したくないのと、新しい武器を装備したい思いで揺れたのだろう。
しかし神の使う武器だ。
さすがにオリハルコンの爪よりは強いはずだ。
これで全員、何かしら装備を新しくした。
大幅な戦力アップになった。
残る魔神王はウルヌスただ一人。
間違いなく激戦になるだろう。
だが全員で生きて帰ろうと僕は心に誓った。