表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第九章
161/379

魔神迷宮23 vs魔神王マモン


 僕たちはもう一度マリーナに台座をどけてもらい、出現した階段を降りる。


 そしてまた、長い長い黒大理石の階段を下へと降りていく。


 残る所あと二層だ。


 ここまで来たら全員無傷で帰りたい。


 後から知ったのだが、リヴァイアサン戦で、数人の戦士が尻尾の攻撃をかわせなかったので翡翠玉を砕き、逃れたそうだ。


 大事に至る前に帰れたのなら、それはそれでいいと思う。

 

 命大事だしね。


 そうこうしてるうちにまた、開けた場所についた。


 作りも同じだ。


 黒大理石の広大な部屋だ。


 僕らはまた、ライトの明かりを頼りに、先へ先へと進む。


 僕らの足音だけが広大な空間に響いていく。


 まただ。


 また、彫刻された石像が現れだした。


 今回は柱にまとわりついたワイバーンがやたらに多い。


 僕らは柱と柱の間を通り先に進む。


 どれくらい進んだのだろうか。


 ライトの光に照らされて、そいつは姿を現した。


 僕らは息をのむ。


 6層のベッドがあった位置に王座があり、何者かが座っている。


 グレーターデーモンだ。


 血が滴っているかのような真紅の肌をしている


 見た目はグレーターデーモンだが、普通のグレーターデーモンより大きさが三倍ほどもある。


 ドラゴン並みの大きさだ。


 そして特筆すべきは王座の周りだ。 


 王座は金貨や宝石、武器防具に囲まれていた。


 王座の後ろには金貨の山があり、ライトの明かりを受け、きらきらと光り輝いている。


 グレーターデーモンはゆっくりと立ち上がると話しかけてきた。


「お前たちは何者だ。なぜ人間がここに居る。我が宝を盗みに来たのか」


「いや違う。僕らは魔神王を倒しに来たんだ」


「なんだと……。リヴァイアサンがいる限り、ここに人間はたどり着けないはずだが」


「それはもう倒してきた!」


 グレーターデーモンは目を見開く。


「なるほどな……。見かけ通りの強さではないという事か」


 グレーターデーモンは王座の両脇に立てかけてあったハルバードを左右の手に一本ずつ持つと吠えた。


「ならばここで死んでゆけ! 我は“強欲”の魔神王マモン。お前たちの装備、死体からはぎ取って我が戦利品としてやろう!!」 


 マモンはその巨体とは思えないスピードで僕めがけて突進してきた。


「させにゃい!」


 ミオとカズマが先頭に立ちデーモンに向かい武器を振るう!


 しかしマモンはなんとその巨体で二人の上をジャンプしそのまま僕めがけて走り寄る!


 やばいこの速さは行動の選択を間違えるとそこで詰む!


 迷ってる暇はない! 僕は惜しげもなくその呪文を唱える。



――――竜魔法・変化“レッドドラゴン!!”



 僕は竜体となりマモンの体当たりを体当たりで相殺する!


 が、さすがに押し負けてわずかな距離だが吹き飛ばされてしまった。


 そこへマリーナも竜体になり、僕の前に立ちふさがった!


 マリーナが“リンク”で言う。


『ユウ、私一人じゃ手に負えない。後続が来るまで防御に徹しよう』


『わかった。現在第一チーム、魔神王と交戦中。通常の三倍はある真紅のグレーターデーモンだ。レッドドラゴンの参戦を望む』


『『『了解した』』』


 ラフェ達の返事が頼もしい。


 そこへリリアンの魔法がマモンに向かう。



――――超級魔法“チェインバインド”



 地面から生えた石の鎖がマモンの足に絡みつく。


 だがマモンは鬱陶しそうに足踏みをすると、あっさりチェインバインドを消し去ってしまった。


 リリアンは悔しそうだ。


 やはりこいつは一筋縄に行きそうもないか。


 マモンはハルバードを日本同時に振り回し、僕とマリーナを近づけさせない!


 ミオとカズマもたたらを踏んでしまっている。


 あのハルバードはかすっただけで人間など一瞬でミンチにされてしまうだろう。


 ハルバードは金色に光を放っている。


 しかも明らかに強力な魔法の品だ。


 竜体だと動きが鈍いので避けるのが精いっぱいだ。


 それでも僕は隙を見て右腕にとりついた。


 マモンは左手のハルバードを振りかぶり、僕に向けて攻撃しようとしたところをマリーナが左腕を押さえる!


 そのまま地面に押し倒そうとしたところ、まるで動かない!


 なんという膂力だ!


 それどころか徐々に押されていく。


 こちらは二体なのに!


 マーガレットが弓に闘気を纏わせ攻撃しているのだが、矢は刺さっては行くが、ポロリと落ちてしまう。


 これは“再生”か!? 


 

 そこへ風を切る音がして後ろから何かが猛烈な勢いで近づいてきた!



 レッドドラゴンだ!



 そのままのスピードで両足の爪を構え、獲物を掴む鷲のようにデーモンの顔に急降下してきた。


 マモンはそのヤギのツノで足を踏ん張り反撃をしようとしたところを、ミオが叫ぶ!



 “捨て身ひっかき”(マシンガンスラッシュ)!!



 いつの間に近づいた!?


 ミオの攻撃がマモンの左足を削っていく!


 それに気を取られた一瞬にラフェの蹴りが頭に決まり、マモンは後ろへ吹き飛んだ!


 そこへ時間差でもう一体のレッドドラゴンが倒れたマモンの頭を狙い急降下する!


 マモンはそれを体をひねってかわすと、ハルバードを振るう!


 レッドドラゴンはかろうじて飛び上がりその攻撃を避ける。


 最後のレッドドラゴンが到着したが、マモンはハルバードを構え隙が無い。


 僕が言う、


「ドラゴン五体だ。お前に勝ち目はない!」


 するとマモンは、


「我が一体だと誰が言った? 我は“強欲”の魔神王。我が配下はすべて我が魔力により作られる」


 マモンの魔力が膨れ上がっていく。


 一体何をする気だ!?


「さあ、目覚めの時が来た! この侵入者どもを抹殺せよ!」




――――暗黒魔法“クリエイトガーゴイル”!!




 その呪文と共に、飾りだと思っていた黒大理石でできた像たちが動き出した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ