竜の試練4
集会場に着くまでに、僕はミオに姉さまのこと、仲間のこと、魔華四天王とのことを話した。
ミオは姉さまのことを話したら自分のことのように怒ってくれた。
「絶対助けるにゃんよ!」と。
***
岩石地帯の真ん中にその広場はあった。
直径10mぐらいの丸い広場になっていて、そこを中心に岩が取り囲んでいる。
岩の上の思い思いの場所にいろんな猫種がいた。
広場に突き出てる、一番良い場所だと思われるところにライオンが寝そべっていた。
広場の中心には大きな楕円形のテーブル、岩をそのまま真横に切って作ってある。
椅子もちゃんとある。こちらも石を削って作られた円柱型の椅子が何個もあり、テーブルを囲んでいる。
全員が裸だと思っていたら、粗末ではあるが服を着ている猫族もおり、服を着てテーブルに着いて隣と談笑している者たちもいた。
そして黒い金属鎧を着て虎の顔をした、なかなかいかつい感じの男がにこりともせずに椅子に座っていた。
僕は迷わず鑑定した。
サーパ 33歳 男 種族:虎人 LV:34
職業 :戦士
体力 :550
筋力 :550
防御 :250
魔防 :450
敏捷 :770
魔力 :30
闘気 :400
属性 :地闇
スキル :剣術lv4/牙術lv9/爪術lv8/体術lv5/闘気lv6/気配察知lv7/雄叫lv6
やっぱりそうか。こいつは魔華四天王の虎魔人ガレスの部下だ。
なるほど。この集まりが何を話し合うために開かれたのか予想がついた。
すると、黒い豹が私たちの方に近づいてきて、歩きながら人型になり、話しかけてきた。
「族長代理、お疲れ様です。来ないと思ってたのでどういう風の吹きまわしですか」
と、僕の方をちらっと見て、こいつ誰だ、みたいな顔をされた。
「うん、今日はミオも言わなきゃいけないことがあるから。大事なことにゃ」
「はい、ミオ様の命に従います。族長にすべて任されてますので、ミオ様のやりたいことが一族の総意となります。」
おお。ミオって結構偉いんだな。
そうこうしてるうちに、猫族たちは次々と広場に集まってきた。
大きさもまちまちだ。ヤマネコからライオンまでかなりの数が集まってきている。
円卓には11人、内、人型になってるのが7人、残りは猫型のまま席についている。
「ではそろそろ人数も集まったし、話し合いを始めようか。」
いつの間にかライオンから人型になって胡坐をかいている男が静かに声を出した。
「まずはサーパ。話してくれ」
やはり黒鎧の男だ。立ち上がって話し始めた。
「単刀直入に言おう。おまえら全員ガレス様の下につけ。悪いようにはせん。魔王様に降れ。」
ライオン男が言う。
「たしかに今代の勇者は負けたようだが、次の勇者が出てきて魔王を討ち果たす可能性もあるだろ?」
そこでサーパはにやりとした。
「いや今回はそれはない。魔王様は今回秘策をもって勇者を氷の中に永久に閉じ込めることに成功した。死んではいない。永遠に魔王城の謁見の間に居てもらう」
「どういうことだ?」
「死んではいないから、次の勇者は生まれてこないということだ。勇者は永久に氷の中だ。」
ざわっと空気が動いた。あ、この空気はやばいな。降るほうに話が行きそうだ。
ミオが僕と目を合わせた後に立ち上がる。
「すこしいいかにゃ?」
「どうした豹人の。」ライオン男が言う。
「逆に言えば謁見の間まで攻め込んで、勇者を助け、そのまま魔王を倒せばおわりにゃ。」
サーパは馬鹿にしたように、
「ほう。勇者すら敗北させた魔王様に勝てる人族がどこにいるんだ?もはや魔華四天王にすら勝てる人族すらいないだろう」
「ミオがいるにゃ。ガレスには確実に勝てるにゃ」
サーパは一瞬絶句する。虎族のガレスと豹族のミオは何回か戦ったことがあるらしい。ミオは一度も負けてないそうだ。
「…ガレス様は昔のガレス様とは違う。魔王様より新たな力をもらっている。私もそうだ。お前ひとりで何ができる。」
サーパの体から黒いオーラがゆらりと立ち昇る。
「ミオは一人じゃないにゃ。」
「まさかそこの子供の人族か?」
「そうにゃ」
「ぶははははははは、これは楽しい冗談だ」
そこで僕は立ち上がった。
「ミオの言うとおり。僕とミオがいれば勇者を助けられるだろう」
「…お前みたいな子供に何ができる」
僕は黙ってドラゴンのマントの留め具を外す。バサッとマントが地面に落ち、中の装備が明らかになる。夜目にも鮮やかな半透明のアダマントの鎧、その奥にはミスリル製の鎖帷子が透けて見える。どちらも籠った魔力の強さが見てわかるほどだ。
国宝級の装備だ。いや、どこの王宮にだってこれに匹敵するものはないだろう。
猫族たちから感嘆の声が上がる。
「…すこしばかり強い装備を持ってると言ったって、中身が子供では底が知れてるわ!魔華四天王にすら歯が立たないだろうよ!」
吐き捨てるように言う。
僕は言ってやる。
「魔華四天王などもはや存在しない」
「なんだと?」
「もう四天王ではなく三天王だろうよ」
「どういうことだ」
「四天王の一人はすでに倒したと言っている。」
サーパは口を開けたまま固まった。
「そんな虚言がつ」
「これが証拠だ!」僕はサーパの言葉をさえぎって言った。
袋から鋼のインゴットを取り出し、テーブルに積んだ。そのインゴットからは黒いオーラが立ち昇り、空気が揺れる。
「ば、ばかな…」
サーパの顔から汗が噴き出す。
僕は後ろに5歩下がる。
「それと、これを目に焼き付けて魔王に伝えるんだな。勇者の弟オルター・ドヴェルグがお前の首を取りに行く!首を洗ってまってろとな!」
僕は右手に虹色のトンカチを持ち、両手を上空に向けて呪文を唱える。
僕は気が付いたのだ。通常のファイヤーボールも発射はすることができた。
蛇口から出る水の勢いではだめなら、もっともっと勢いよく水を出せばいいのだ。
こんなふうに!
”ファイヤーボール”
10倍?100倍?1000倍?いや、10000倍の魔力を込めてファイヤーボールを上空に放つ!
超巨大なファイヤーボールがものすごい速さで上昇していき、上空で大爆発を起こす。さながら花火のように。
ドグゥオォォォォォォン!!
「あっはっは!」
ライオン男が楽しそうに手を叩く
サーパは開いた口が塞がらない。
皆がサーパに注目する中、サーパは何も言うことができず、逃げるようにその場を去っていった。
評価ありがとうございます!
すごいうれしかったです!(ぺこり)
時間はバラバラになると思いますが、毎日更新頑張ってしますので、どうぞよろしくお願いします。




