表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第九章
159/379

魔神迷宮21

本日二回目の更新です。

 5層の一番奥の細くなった通路を進んでいく。


 最奥に階段があった。黒大理石でできた階段だ。ここに入った時の魔法陣の部屋のつくりと同じ作りだ。


 僕らはその階段を進んでいく。


 一応罠を警戒してヤヨイに先頭を歩いてもらってはいるのだが、罠は一切なく、淡々と階段を下っていく。


 どれくらい歩いただろうか。


 突然開けた場所についた。


 天井が高い。


 黒大理石の床に僕らの足音が響いていく。


 入口からずっと、歩く両脇百メートルほどの距離を置いて、これも黒大理石の柱が立ち並んでいる。


 横二百メートル、奥行き百メートルほどの間隔で立ち並んでいる。


 僕らはその大理石の柱の間を進んでいく。


 天井は三、四十メートルはあるだろうか。


 しばらくライトの明かりを頼りに進む。


 何時間かそのまま進み続けていると、変化があった。


 柱が増えていく。


 そして柱の上にはガーゴイル達が僕らの事を見下ろしていた。


 ヤヨイがガーゴイルを見上げているので僕は声を掛ける。


「危険を感じるのか?」


「いえ。しかしおそらく本物ですね。ただの石像ではないと思います」


 そこでマーガレットが弓に矢をつがえながら、


「敵なら今のうちに攻撃しておく」


 ぎりぎりと弓を引くと、矢に闘気を込め、ガーゴイルめがけてその矢を放った。


 矢は狙い通りガーゴイルの首に当たると首を貫通し、頭だけ下に落下する。そして地面に当たり砕け散った。


 本体はそのままの姿勢だ。


「そんな……。本物の石像?」


 マーガレットがぽつりとつぶやく。


 僕も本物だと思っていたからこの結果には驚く。


 それから先はいろんなものの石像が、柱の上に乗って僕たちの前に姿を現してきた。


 大きいものではミノタウロスやベヒードスが台の上に乗っている。

 

 もっと大きいものでは大理石の柱に取りつき、下に向けてブレスを吐こうとしてるワイバーンの像なんかもあった。


 すべての石像が黒い大理石で出来ている。


 まるで芸術家のアトリエに迷い込んだかのような石像たちの群れだ。


 僕らは慎重に進んでいく。


 そして唐突にそれは現れた。


 行き止まりの壁が見えてきた。


 そしてそのすぐ下に、場違いな大きな天蓋付きのベッドが“ライト”の呪文に照らされて僕らの視界に入ってきた。


 僕らはその天蓋付きのベッドに近づく。


 棺桶だ。


 ベッドには透明なクリスタルの棺桶が置いてある。


 ミオが近づいていく。


「人が寝てるにゃ」


「皆はここで待っててくれ。僕らは調べてくる」


 僕とミオはヤヨイと一緒に天蓋付きのベッドに近づく。


「ベッドに罠はないようです」


 ヤヨイがいろいろと調べてから言った。


 棺桶は薄く削ったクリスタルで出来ているようだ。


 白い花がいっぱい下に敷いてあり、その上に裸の女性が寝ていた。


 その女性は十代後半ぐらいだろうか。すごくプロポーションがいい。


 黒髪は長く腰まで届き、その顔は彫が深く整っている。


 肌は白く、胸は大きく形のいい乳房が上を向いている。


 腰は細く、足はすらりとしている。


 僕はクリスタルの棺の蓋をそっと外し、横に置いた。


 少し調べてみる。


 女性は呼吸をしていなかった。


 白い花も硬く、女性の肌も硬く押しても凹むことはない。


 僕は振り向いてマリーナを呼んだ。


「マリーナ師匠、こちらに来て見てもらえますか」


 マリーナはすぐに僕の横まで来ると、女性を調べ始めた。


 そしてすぐに結論を出した。


「この棺の中だけ時が止まっているね」


 僕も同じように考えていた。


「どうすればいいですか? ディスペルマジックで解けますか?」


「いや、その前にやるべきことがあるだろう」


 マリーナはそう言うとにやりと笑いそして言った。



「古来から眠った女性を起こすには、男性のキスと決まっているのだよ」 




評価か感想、レビューを頂けると励みになりますので、よかったらお願いします。

モチベーションが上がるのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ