魔神迷宮12 vsデーモンクイーン
遅くなりました。本日二回目の更新です。
クイーンは暴れながら口から液体を吐き出し攻撃するのを、紅の牙のメンバーが盾で防ぐ。
その液は盾を徐々に溶かしていく。強酸性なのか!
酸を吐くためにカズマは接近を躊躇ってしまっている。
少し離れた位置から飛ぶ斬撃で攻撃をしている。
――――“剣戟両断”
まただ。皮膚に当たると、白い皮膚が波打ち、受け流されダメージは入らない。
チェインバインドの効果時間はそれ程長くはない。
それまでに倒そうと焦ってしまっている。
僕は両手の闘気剣を構え、呪文を唱えながらクイーンに接近する。
一応左手は“剣戟結界”を使う。液体に効果あるかはわからないけど。
クイーンが僕に向けて口を開いた!
酸が来る!
僕は右前方へと飛び、酸の攻撃をやり過ごす。そのままに回転して立ち上がると闘気を右腕だけに集中させ、古竜の牙に流し込む。
「くらえっ!!」
そのまま突き入れる!
一本目と二本目の足と足の間に古竜の牙を根元まで、いや、古竜の牙を掴んでいる手首までねじりこむ!
そこで先ほどから唱えていた呪文をクイーンの体内に解き放つ!
――――超級魔法“ライトニングスパーク”
破裂を伴うライトニングがクイーンの体内で反射する!
急いで古竜の牙を、足でクイーンを蹴りながら引き抜く!
一瞬後僕のいたところに酸の液をぶちまけられる。
危ない!
今確実にライトニングスパークは体内で炸裂したはずだ!
なんで動けるんだ!?
時間切れだ。
チェインバインドの拘束が解け、鎖がだらりとクイーンから離れると土に戻ってばらばらと地面に落ちた。
動けるようになったとしてもあの長い体だ。そうそう素早くは動けないだろう。
しかしクイーンは予想外の行動に出た。
ぶちぶちと嫌な音をさせると、産卵管である尻から後ろの部分を切り離したのだ!
なるほど。
だからライトニングスパークは効かなかったのか!
――――超級魔法“チェインバインド”
リリアンが再び唱えた。
地面から出た石の鎖は、咄嗟にバックステップしたクイーンに避けられ、むなしく宙をかいた。
リリアンは悔しげだ。
僕は戦慄した。
なんだ今の動きは! やばいな、あの速度で魔法使い達を襲われたら、すべて防ぎきる自信がない。
くそっ面積が大きくなると、酸を避け難くなるから使いたくなかったんだが仕方がない。
僕は呪文を唱える。
――――竜魔法・変化“土竜王”
僕の体がゴツゴツとした岩に覆われた漆黒の竜に変化する。
今回はドラゴンの中でも防御力に特化している土竜王だ。
僕は息を思い切り吸うと、
“サンドブレス”
をクイーンめがけて放つ。
細かい砂の粒子がクイーンを襲う!
……。
ダメだ! 全然効いてない!
僕はそのままクイーンに殴りかかる。
今の僕はクイーンよりも一回り大きい。
クイーンは酸を吐くが思った通り肌までは喰らわない!
僕がクイーンを抑え込む!
リリアンがこっちに向かいダッシュした!
そしてぎりぎりまでクイーンに近づくと唱えていた魔法を解き放った!
――――超級魔法“ウォーターカッター”
超高速の水撃が、クイーンの左肩を切り飛ばした!
きちんと顔の死角から唱えるあたり抜け目がない。
ていうかほんとに戦闘中だと別人だな! リリアンは!
いや、心強いけど!
リリアンはそこから動かず、ウォーターカッタ―を連発する!
ウォーターカッタ―がクイーンを切り刻む!
そこで呆然と見ていたカズマがはっとしたあと、慌ててリリアンの前まで走りこみ、直にクイーンの体を攻撃しだした。
僕はクイーンの首を掴み、持ち上げる。
リリアンが通常より魔力を上乗せして最後のウォーターカッターを放つ。
ウォーターカッタ―はクイーンの胸を貫通しそのまま両断すると、下半身が地面に落ちた。
落ちた後にも下半身は、まだびくんびくんと動いている。
そして僕はクイーンの頭を大地にたたきつけ、止めを刺した。
しかし今回の功労者はリリアンだ。
そのリリアンは、僕が見ると、やはりふんす、と胸を張って自慢げな顔をしたのだった。