魔神迷宮11 vs魔神王パゴス
夜、24時前までにはもう一話更新したいと思います。
それは白く巨大なデーモンだった。
人の三倍はあるだろうか。
上半身はグレーターデーモンとほぼ同じだが、角は鼻の上から一本ついているだけだ。
こいつもやはり目がない。羽もないが体はカマキリに似ていて昆虫のような足が六本、そして下半身の先端から卵を地面に植え付けていた。
広大な部屋だが部屋の半分は卵で埋まっており、さらに卵からデーモンが生まれている。
さしずめこいつはデーモンクイーンと言ったところか。
城は白いデーモンに占領されていた。
僕らは倒しながら進んで、玉座の間の後ろに大口開けた洞窟を潜ってきたのだ。
デーモンクイーンを見つけたのはその最奥と思しき部屋だ。
僕たちが部屋に入った事にもデーモンクイーンは気が付いていない。
僕とマリーナは顔を合わせ頷くと、同時にドラゴンブレスを使い卵とデーモンクイーンに攻撃する。
卵はあっさりドラゴンブレスに燃やされていく。
だがデーモンクイーンにはあまり効いていないようだ。
こちらを振り返ったデーモンクイーンに向かってリリアンが“チェインバインド”、ティノがライトニング、セルフィがバーニングエクスプロージョンを唱える。
そして動けなくなったデーモンクイーンにマーガレットが魔力を込めた矢を射かけていく。
「ギシャアアアアアアアアアァァァ」
たまらずデーモンクイーンは声を上げる。
おや? こいつはそこまで強くないみたいだ。
脅威を感じない。
が、おかしい。
ミオも特攻していない。
「ミオ、どうした」
「あいつより強いのがいるにゃ」
ミオの視線の先。
洞窟の最奥。
そこから何かがやって来る。
デーモンクイーンを押しのけるようにそいつは姿を現した。
「……ヨクモ我ガ子供達ヲ燃ヤシテクレタナ」
白い巨体に巨大なツノに長い尻尾。
体は闘気を纏って青く光っている。
「我ハ“憤怒”魔神王パゴス。我ガイカリヲ思イ知ルガイイ」
そう言うとパゴスは突進してきた。
白い体に白いツノ。
僕は一瞬体が固まった。
こいつはあの僕の左足をちぎり取った土竜亜種ににてる。
そう思ったら足がすくんでしまった。
ミオも気づいていない。
やばいこのままだと避けられない!
そこに小さな声で呪文を唱える声がした。
「……“チェインバインド”」
地面から生えた鎖がパゴスの後ろ足を絡めとる。
パゴスは頭を地面に打ち付けた。
僕が感謝の視線をリリアンに向けると、
リリアンはまたもふんす、と右手で力こぶを作って見せた。
うん、力こぶにはなってないけどね!
僕は恐怖を振り払うと、古竜の牙と虹色のトンカチに闘気剣を作る。
しかし次の瞬間、パゴスは鎖を引きちぎった!
リリアンは残念そうな顔をしているが、この一瞬はありがたかった。
普段はおとなしいのに戦闘に入るとなぜか動きは機敏だし、頭も回る。
普段の姿は一体何なんだろうと思う。
そこへミオが橙色のオーラを纏ってパゴスに斬りかかった!
パゴスは青いオーラを纏ったツノと拳でミオを迎え撃つ。
クイーンの方は魔法組がダメージを与えてはいるのだが、どれも決定打とは言えない状況だ。
体にはマーガレットの放った矢が刺さっているが、それも効いているかどうかが分からない。
動きは機敏で変わらず弱ったそぶりがないからだ。
よし、少しの間パゴスはミオに任せよう。
僕はクイーンを標的と定め、呪文を唱え始めた。