魔神迷宮9
本日二回目の更新になります。
光の奔流が魔神王ガルバに振り下ろされる!
カズマが慌てて横に転がり抜ける。
ガルバが自分に向かってくる光の奔流を見て目を見張った。
「そ、そんな……」
光の奔流はそのままガルバを飲み込むと、地面をえぐり消え去った。
光が消えるとがガルバの姿はなく、塵一つ残らず消滅してしまっていた。
「終わったか……?」
はっとしてミオの方を見ると、ちょうどグレーターデーモンが崩れ落ちてミオが雄叫びを上げたところだった。
「こっちは終わったにゃ」
「こっちもだよ」
ミオと僕はハイタッチしてお互いを称えた。
僕は“リンク”で他のチームに伝える。
『第一チーム、ユウ、砂の城にて第一階層のボスを倒した。充分の広さがあるから、今日はここで休もうと思う』
すぐに返答がある。
『『『『了解した』』』』
それからしばらくすると、続々と後続が現れてきた。
僕らを称えると、早速夜営の準備を始める。
各チームごとに物資が大量に入る魔道具の袋が支給されているため、食料も充分用意できる。
第一階層では、軽傷者が若干出ただけで一人も欠けることはなく、ここまで来れていた。
この調子でこのまま最下層まで行きたいものだ。
全員が広間に入ったのを確認し、扉に魔法を掛ける。これでレッサーデーモンぐらいでは、何匹きても開けることはできないだろう。
簡単なスープと硬いパンで夕食をすませる。
ティノだけは野菜と果物だ。
夜も一応見張りを置くが、僕らは順番は回ってこないようにしてもらっている。
僕は簡易テントの中で、ティノとミオに挟まれながら眠りについた。
ティノは速攻で寝息を立てた。
僕はすぐには寝れなかったけど……。
***
次の日。
ガルバが上に乗っていた巨大な石の板の下に、おそらく第二階層につながる階段を見つけた。
僕らは僕を先頭に、古竜の牙に掛けた“ライト”の呪文を頼りに階段を下りていく。
長い長い石畳の階段を降りると、暗い夜の世界が広がっていた。
しばらく階段に続いていた獣道の様な細い道を歩く。
そこかしこに光る植物があり、あたりをぼんやりと光らせている。
「場違いなのだけれど、きれい……。」
ミモザがティノの背の上で思わず口に出した。
「僕も同感だよ」
羽と体が細長いカゲロウの様な巨大なヘビトンボが、これも体を光らせながら通り過ぎていく。
今日もティノの上にはミモザとリリアンが乗っている。
リリアンは飛んできた光る羽虫を指に止まらせて眺めている。
謎の子だ。
僕と猫ミオはフェンリルのフェリルの背中だ。
僕らは休憩をはさみつつ、先を進む。道は続いており、しかしデーモンは姿を現さない。
二、三時間は歩いただろうか。かなり先の方にうすぼんやりと光る城のようなものが見えてきた。
『こちら第一チーム、ユウ。遠くに光る城のようなものを発見した。これからそちらに向かう』
“リンク”で後続に伝える。
『『『『了解』』』』
リンクで返事が返ってくる。
そこで僕の気配察知に何かが周りを取り囲んできたのを察知した。
ミオもわかったのだろう。猫のまま猫耳をあちこちに向けている。
何者かはそのまま包囲の輪を縮めてくる。
ミオがフェリルの背中を降りて人間の姿になった。
僕も背を降りて古竜の牙と虹色のトンカチをかまえる。
「何か来るにゃ。みな気を付けるにゃ」
紅の牙のみんなが武器を抜く。
そしてそいつらは姿を現した。