魔神迷宮7 vs魔神王バルガ
総合評価 600pt行ったので上機嫌で書いてたら、筆が進んだので二回目の更新行っちゃいます。
城はまるで砂で出来ているようだった。
いや、よく見ると石で出来ている。
どうやら石が風化して砂を吹いているのだ。
その城は、近づくと城と言うより砦のようだった。
城へ近づくと、グレーターデーモンを一回り小さくしたようなデーモンが大量に襲ってきた。
どうやらレッサーデーモンと言う、グレーターデーモンの下位種のデーモンらしい。
僕達は襲い来るレッサーデーモンを倒しながら先に進む。
後続の皆も同じような状況らしい。
レッサーデーモンが弱くて助かった。ここで戦闘の経験を積めばグレーターデーモンも苦戦せず倒せるようになるだろうから。
***
砂の砦の最奥地。
巨大な謁見の間のような場所だ。
石の王座にそいつはいた。王座と言っても椅子ではない。
石でできた板のようなものに寝そべっていた。
脇にはグレーターデーモンが控えている。
カズマ、マーガレット、リリアンが息をのむのが分かる。
グレーターデーモンのプレッシャーが強い。
王座に居る王には全くプレッシャーを感じないのが逆に不気味だ。
そいつはグレーターデーモンの体に頭が五つ。下半身は巨大な黒い虎だ。一見ヒドラのようだが強さは段違いだろう。
僕が声を上げた。
「お前がこの階層の王か」
「……外が騒がしいと思ったらこういうことか」
首の一つが喋りだした。
「もうすぐ神の結界も解ける。それまでは誰一人ここを通すわけにはいかぬ」
「それをさせるわけにはいかない。僕らはここを進み魔神王ウルヌスを倒す」
そいつはのそり、と立ち上がる。
「我は魔神八王が一人、“暴食”のバルガ。我の前に現れたものはすべて我が喰らってやろう」
バルガの右手に闇が集まり黒いハルバードが現れた。
バルガはそれを両手で持つ。
グレーターデーモンもいつのまにか黒く巨大な両刃の斧を構えている。
僕が声を上げる。
「ミオ! グレーターデーモン、一人でいけるな?」
ミオは闘志むき出しで答える。
「まかせるにゃ! 人質さえいなければ思う存分やれるにゃ!」
「よし。では任せる! あとは全員バルガだ!」
「「「「「はい!」」」」」
僕は右手に古竜の牙、左手に虹色のトンカチだ。それに闘気剣を纏う。
ミオがグレーターデーモンに向かって走る!
それを開戦の合図として、魔法使いたちが魔法を発動させる。
一番最初は意外なことにリリアンだ。
小さな声で呪文を発動させる。
――――超級魔法“チェイン・バインド”
バルガの足元から石の鎖が飛び出し、虎の下半身を拘束する。
小さな声でも効果は絶大だ!
リリアンはふんす、と少し自慢顔だ。
そしてマリーナのエターナルフレアが、ティノのライトニングが、セルフィのバーニングエクスプロージョンがバルガに迫る!
そこで僕は目を見張った。
魔法はすべて大口を開けた五つの口に食べられてしまった。
「なんだと!?」
「くくく。美味美味。そうら、お返しだ」
五つの首が天を仰ぐと、一斉に口を開けた。
そこからはなんと、エターナルフレア、ライトニング、バーニングエクスプロージョンが僕らに向かって放たれた。
くそっこれは反射してるようなものじゃないか。
考える間もなく、僕は呪文を唱える。
――――竜魔法・変化“レッドドラゴン”
炎耐性を上げ、巨体となったその体で全部の魔法を一身に受け、耐える。
その動きが一瞬止まったバルガに、脇に走りこんだマーガレットの放った魔法の矢がバルガの目をつぶしていく!
何本かはその鱗に阻まれたが、三つの頭の目に矢が刺さっている。バルガがマーガレットに一瞬意識を奪われる。
その瞬間を逃さず、僕は依然見たウリシュナのメテオストライクを防いだブレスを真似し、極限まで圧縮したドラゴンブレスを吐き、首を一つ焼き落した!
「うおおおおおおおおおおおおお!」
そこへカズマが特攻する。
――――“攻撃反射”
走りながら技を発動する。
首の二つがカズマに向かい口を開け、飲み込もうと襲い掛かる!
だがカズマはその攻撃に対してカウンターを放ちバルガの口を切り刻む。
よし、よくやった!
そこへカレンが、シズカが、ロミが、“彗星斬り”を放ち、カズマの援護をする。
カズマはそのまま全力疾走で胴体まで入り込む!
そしてゼロ距離から“剣戟両断”を放った!
バルガの体から黒い血が噴き出す。
僕は竜魔法をもう一度使い、人間の姿に戻ると、止めを放つべく技名を叫ぶ。
――――“真竜・勇者の一撃”!
僕の体から光の奔流が天に轟き、その奔流を魔神王バルガに向かい振り下ろした!