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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第九章
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魔神迷宮6

 シャドーたちを倒してから、何事もなく順調に進む。


 おそらくシャドーの縄張りを出るまでは敵は出てこないのだろう。


 僕はユニコーンティノから降り、ティノにはミモザとリリアンを乗せた。


 やはり魔法使いは体力がないからね。


「じゃあこっちに乗るにゃ」


 ミオが集中する。


「契約により出るにゃ。“フェリル”」


 なんとミオの前に魔法陣が開き、そこから巨大な狼が現れた。


 フェンリルだ。そういえば魔王城でミオはフェンリルに話しかけていた。


 あれはこういう事だったのか。


「お呼びですか我が主よ」


「ミオとユウをしばらく乗せるにゃ」


「承知」


 僕はミオに促され、フェリルの背に乗る。するとミオがまた猫の姿に戻り、僕の背中の袋の上に陣取ると肩に手を乗せた。


 他のチームはどうやらペースを落としてきているようだ。


 僕らは斥候のように先に進む。


 あと城まで三キロぐらいだろうか。


 敵に囲まれた。


 黒い犬の体に頭が三つ。


 ケルベロスだ。ケルベロス二十体ぐらいだろうか。円形に包囲し、じりじりと包囲を縮めてくる。


 一番後ろにひときわ体の大きなケルベロスがいる。あれがボスか。


 僕はまず“リンク”で仲間に知らせる。


『第一チームユウ、敵に遭遇した。ケルベロス約二十だ。他のチームも注意されたし』


 すぐに返事がある。


『『『『『了解』』』』』


 よし。まずは魔法だ。魔法の先手で出来るだけ削りたい。 


 マリーナが“エターナルフレア”、


 セルフィは“ブリザード”、


 ティノは魔力で強化した“ライトニング”、


 リリアンがウォーターカッター、


 僕が“アブソリュート・ゼロ”


 一斉に唱えられた魔法がケルベロス相手に炸裂する!


 戦場を魔法の嵐が吹き荒れる!


 魔法がおさまった後に生き残ったのは、わずかに六匹とボスだけだった。


 その生き残りにカズマが“剣戟両断”(ソードクラッシュ)で、マーガレットが弓で、戦士たちは“彗星斬り”(コメットスラッシュ)でトドメを刺していく。


 そうか。


 このメンバーの戦士は全員が飛ぶ斬撃を使えるんだった。


 さっきみたいに見えない敵でもない限り、遠方から攻撃してしまえばかなり被害を少なくできるな。


 後はボスだけだ。


 それにはミオが、


「すぐ済むから一対一でやらせてもらえにゃいか」


 と言ったので任せることにする。


 ミオはケルベロス相手にオリハルコンの爪を構える。


 ミオの体が橙のオーラに包まれる。


 ケルベロスは自分に向かってきたミオに、歯をむき出して威嚇をする。


 その体から薄い青色のオーラが立ち昇る


 さすがケルベロスのボスだ。闘気をあやつれるらしい。


 しかし僕にはミオが負けるイメージはまったく思い浮かばない。


 ミオが動く。


 残像を出しながら襲い掛かる。


 速い!

 

 ケルベロスの噛みつきを飛んでかわし、そのまま空中を蹴り、死角から攻撃し、残像を残しまた死角に回る!


 一瞬たりとも同じ場所に居ない! 


 ケロべロスはあっという間に切り刻まれ血を流していく。


 気が付いたらミオは右の頭の付け根を足で踏みつけ、中央と左の首根っこを右手と左手で後ろから抑え込んでいた。


 何かをケルベロスに言っている。


 ケルベロスはしばらく身をねじったり唸ったりしていたが、ミオにはかなわないと悟ったのだろう。


 体から力を抜き、お腹を見せた。


 これで決着だね。


 僕らは武器をしまう。


 さらにミオが何かを言うと、ケルベロスはとぼとぼと去って行った。


 ミオが、


「これでいまのやつもいつでも呼び出せるにゃ」 


 と得意げだ。


 そうか。ミオはケルベロスのボスと主従契約を交わしたんだ。


 フェンリルのフェリルが当然だ、みたいな顔をしてミオの顔をベロンと舐めた。


 よし、ここまでは順調だ。



 もう城は目と鼻の先だ。気を引き締めていこう。

 


次回、ボス戦!

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