魔神迷宮3
本日二回目の更新になります。
次の日。
ミオが教職員の集会に行くために早起きしたので、僕は行ってらっしゃいのキスをして送り出した。
それから僕はラフェを連れて、マーガレットを呼びだし、なぜかついてきたリリアンもつれて、ドラゴンの寮まで行き剣神カズマを呼び出した。
カズマは訝しげに寮の入口まで出てきた。
僕は単刀直入に言う。
「カズマ先輩、今よりも強くなりたくないですか」
急な言葉だが、カズマはすぐに返事をした。
「……なりたい」
「ではちょっと来てもらえますか」
カズマは何か考えてるようだったが、結局は頷いた。
僕らは試合場の横にある鍛錬場に向かう。
鍛錬場には誰もいなかった。さすがに朝早いからか。
僕はさっそくラフェに言った。
「ラフェ。じゃあマーガレットとカズマ先輩にお願い」
「わかったわ。特別だからね。オ、じゃなくてユウに報酬を先払いでもらってるからね」
ラフェは右手をカズマの頭にのせ、左手をマーガレットの頭にのせる。
おそらく今二人の頭の中には新しい技が刻み込まれているのだろう。
カズマは驚愕の声を上げた。
「これは……“力ある言葉”か!?」
「ええそうよ。ユウに感謝しなさい」
僕は言う。
「まだダメだ。カズマ先輩には今日中にあと二つも使えるようになってもらう」
それから、マーガレットに言う。
「マーガレットはこれで弓矢で近接戦闘が出来るようになると思う」
カズマは呆然と、
「俺は……まだ強くなれるのか。しかしなぜ今なんだ?」
ああそうか。まだ生徒たちには話が行ってないのか。
「昨日出現したグレーターデーモン。その巣窟に乗り込み、一番奥に居るデーモン達の王を倒さなければならない。倒さなければ地上にデーモン達があふれ出ることになる。時間がないから乗り込むのは明日の朝に決定している」
僕は続ける。
「迷宮へ行く条件が、戦士は技を持っていること。魔法使いは超級の魔法を使えること」
マーガレットが納得した顔で、
「なるほど。リリアンは超級が使えるから条件はクリアしてるわね。私もこれで迷宮へ行けるのね」
僕は頷く。
「カズマ先輩が覚える後二つは“剣戟結界”と“剣戟両断”だ」
「技を使うコツがつかめたら、おそらく覚えられると思う。血族が見出した技だからね」
カズマは真剣な顔だ。
早速木刀を構え、“攻撃反射”の技を繰り出している。
よし。僕はこの間にマリーナに連絡を取ろうと思い、まずティノを呼びだす。
僕の前に展開した魔法陣からユニコーン姿のティノが姿を現す。
『お久しぶりです、“主”様』
あれ? そんなに久しぶりだっけ? そういえばしばらく見てなかった気もするか。
「リアンに連絡を取ってマリーナを召喚してもいいか聞いてくれるかい?」
『はい。お待ちください』
ティノはしばらく目を瞑る。
『……今エリクサーを作っているので、それが終わったら大丈夫だそうです。夕食後ぐらいで呼んでくださいとのことです』
「わかった」
それからは僕はマーガレットとカズマの練習に付き合った。
僕の予感は的中した。
昼前にはカズマは技を二つとも使えるようになっていた。
「あれほど練習しても一向に身につかなかったのに……」
カズマは呆然とそう洩らした。