魔神迷宮2
今日は夜にもう一度更新しようと思います。
ラフェは続ける。
「時間がない。シザリス神が掛けた結界がいかなる理由か破れかけている。完全に破れる前に魔神ウルヌスを倒さねばこの世はデーモンに蹂躙されてしまう。魔神ウルヌスが新たなデーモンを生み出しているからだ」
なるほど。ウルヌスを倒せばいいんだな。
「だが一定以上の力を持っていなければ無駄死にするだけだ。迷宮に潜るメンバーは厳選したい」
アムルゼンが訊く。
「どのくらいの強さが必要ですかな」
ラフェが答える。
「まずは技持ちだ。それから魔法使いと僧侶は超級以上の呪文が使えること」
「翡翠石があるからと甘く考えてはいけない。相手に準備されたらウルヌスのもとにたどり着くことすら困難になる。潜った後は速さが勝負だ」
それならば、と将軍が口を開ける。
「我が軍からは三十人ほど出すことが出来る。魔法使いはどうかな?」
宮廷魔術師が口を開く。
「超級と言うと、儂の補佐の二人しか無理じゃ。儂も行きたいが速さが勝負だと儂は足手まといになるから行けぬ。アムルゼンはどうじゃ?」
「儂のほうか。超級と言うと、生徒に四人ほどいるだけじゃ。僧侶も四人ほどおるな。技持ちは三人じゃ。あとは儂も行くぞ」
神官長が続ける。
「超級を使える僧侶となると、うーむ、出せるのは三人か。私はこちらに残り、玉を使って脱出してきたものの治療にあたろう」
ラフェは頷く。
「レッドドラゴンは三人とも潜る。それでオルター、勇者はいないのか?」
僕は答える。
「今各地の迷宮に潜り、技を集めに行ってます。戦闘中の可能性もあるため召喚で呼ぶことはできません」
もしドラゴンと戦闘中だった場合、一人欠けただけでも全滅の可能性があるからね。
シメオン王が口を出す。
「それなら各国に使者を出し、勇者に連絡が行くようにしよう。そうだ、冒険者はどうかね。ギルドに募集を出すのは」
ラフェは頷いた。
「それもお願いしよう。上位の冒険者ならば心強い。よし。では出発は明後日の朝とする。それまでに準備をするように」
皆は頷き、会議は解散となった。
***
僕はまた、二十九歳の姿になっている。
ラフェは計画を詰めるから、ということで当たり前のようにミオと一緒に僕の部屋についてきた。
僕が二十九歳の姿になると、ミオは興奮し、珍しく先に根を上げ寝てしまった。
「ラフェに聞きたいことがある」
「なぁに?」
ラフェは、裸でベットにうつぶせになり、両手で自分の顎を押さえて僕に顔を向ける。
「ラフェは技を教えることはできないのか?」
「できる。私の教えられるのは技だけだけど」
「どんな技?」
「“攻撃反射”という技よ。数分の間、相手の物理攻撃に対してカウンターを放ち反撃することが出来るという技」
「技を放つ前に準備がいるから戦闘が始まってからだと使いにくいけどね。こっちに来て」
僕がベットに腰掛けると、ラフェがベットの上に座り、僕の頭に手を置く。
技の知識、使い方が頭に刷り込まれていく。
「ありがとう。もう一つお願いがあるんだ」
「なぁに」
「この技を僕の知っている学園の学生二人にも教えてほしいんだ」
ラフェはちょっと考えた後、
「二人ね。わかったわ。お代は、ね?」
ラフェは僕を引き寄せると僕の唇に自分の唇を合わせた。