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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第九章
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魔神迷宮

 シメオン王が口を開く。


「レッドドラゴンだと」


「はい、上空を三体! 旋回しております!」


 僕が慌てて言う。


「知り合いかもしれません! 行ってきますのでお待ちください!」


 シメオン王は、


「お、おう」


 と短く返事をした。


 僕は慌てて外に出て上を見る。


 確かにレッドドラゴンだ。


 三体旋回している。


 僕は重力魔法を使い飛び上がる。


 上空へと飛びながら“心話”で話しかける。


『ラフェ!!どうした!』


 返事があった。 


『オルター。良かった。魔神族が出現したのを感知したから盟約に従い助っ人に来たのよ。降りようとしたら攻撃されたので様子を見てたところよ』


『待っててくれ、北と東の見張り台に話をつけてくる。そこに降りてくれ、ラフェは人間になって』


『わかったわ』


 僕は北と東の見張塔に飛んで、味方だから兵士たちに攻撃しないように伝える。


 それをラフェに伝え、人間になったラフェと一緒に王宮の中庭に降りる。


 レッドドラゴンは北と東の見張塔の上に一体ずつ降り立つと、中央を向いて動きを止めた。


 中庭には先ほど会議室にいた全員が外に出ていた。


 僕らはその前に降り立つと、ラフェが剣を鞘ごと地面に突き刺し、そこに両手を乗せる。



 真紅の髪と赤いマントがひるがえる。



「我はレッドドラゴン“勇猛”のラフェ! 古の盟約に従い魔神族を滅ぼすために助っ人に来た!」





***





 僕達はラフェを加え、会議室に戻った。


「そうか。竜種とそのような盟約があったとは。知らなくて済まぬな」


「問題ない。人の一生は短い。竜とは悠久の時を生きるもの。我々が覚えていれば盟約は有効だ」 


「ありがたい」


「それで、どうなってる? 魔神族は」


「魔神族はオルター殿が倒してくれた」 


 ラフェはちらりと僕の方を見た。


「そうか。それはおそらく斥候だな。倒したならしばらく大丈夫だろう。どうも中からテレポートが出来る個体が斥候で飛んできたようだ。長距離を飛べる個体は少ないのだろう。地上へ届かぬ場合は、地中で死ぬことになるのだから」


 ラフェは続ける。


「それで王よ。魔力を込めた翡翠玉はどのくらい出来ている? それすら失伝してしまっているか?」


 それには神官長が答えた。

 

「それならば! 元日の儀式として毎年作っております。出来た翡翠玉は翡翠殿に貯めております」


 ラフェは頷くと、


「それは迷宮の脱出に使うからな。あればあるだけ良い」


「迷宮の脱出と言うと?」


「迷宮の中で砕けば一瞬で地上に出てこれる。デーモンには使えぬ魔法の玉だ」


「翡翠の玉にそんな効果が……」


 宮廷魔術師の白髪の老人が言う。


「ラフェ殿、迷宮の中で使うというたか。迷宮に乗り込むということか?」


「そうだ。今なら魔神ウルヌスもまだ準備できてないだろう」


 王が訊く。


「魔神ウルヌス。それが敵の名か」


 ラフェは頷く。



「魔神八王が一人、魔神ウルヌス。八階層からなる迷宮を統べる魔神の王だ」


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