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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第八章
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聖王国シーサ魔法学園 13

短いです。今日はもう一話更新します。


 僕は慌ててミオのもとに飛ぶ。 


「ミオ、大丈夫か!」


 ミオを抱きしめる。


「ミオはもう大丈夫にゃ。でも生徒たちが……」


 泣きそうな顔だ。


 ミモザは目を瞑り何かを考えている。


「いまなら……」


「ミモザどうした?」


 ミモザが決意を込めた強い眼差しで、ミオの目をしっかりと見ながら言う。


「ミオさん。生徒たちが襲われた場所はどこですか?」


「第二運動場だにゃ」


「分かりました。ユウ様、私を第二運動場まで連れて行ってください。急いで!!」


「う、うん分かったよ。ミオも掴まって!」


 僕は、重力魔法を使い、三人一緒に空を浮かばせる。


 ミモザの指さすほうへ高速で移動する。


 そんなに遠くない。


 第二運動場へ着くと魔法をとく。


「これは酷い……」


 僕は絶句する。


 第二運動場は惨憺たるありさまだった。


 所々に血が大地を染めている。


 生徒たちが五人、いや七人倒れていた。


 全員体の一部が食いちぎられている。おそらく即死だ。


 ミオは庇いながら戦ったのだろう。


 それでもこの状況だ。ミオはどれほどの絶望を味わったということか。


 ふつふつと、僕の中に怒りが沸き上がってくる。


 すぐにミモザが呪文を唱え始めた。


 知らない呪文だ。詠唱が長い。


 ミモザは詩のような、歌のような呪文を唱える。


「……、この世は愛で満ち満ちて。花は花、人は人。美しき者達よ、あるべき姿へ戻りたまえ」



――――神聖魔法“ヒーリングオール”



 ミモザは頭の上に手を差し出すと、そこに白い花びらのかたまりが生み出された。


 そこから白い大量の花びらが噴き出し、生徒たちを覆っていく。


 見ていてわかる。


 ミモザの魔力がどんどん減っていく。


 限界まで魔力を絞り出すと、ミモザは倒れこんだ。


 僕は慌ててミモザの体を支える。


「ごめんなさい、私にできるのはここまでです。足りないようでしたらユウ様が続きを……」


 そこまで言うと、ミモザは気を失った。


 生徒たちに目を向けると、死んだはずの生徒たちがみんな起きだしてきていた。


 僕は唖然とする。


 ミモザは死んだ生徒たちを生き返らせることができるのか。


 女神が起こした奇跡と同じことをできるということか。


 生徒たちは穴の開いた服を、そこから覗く傷一つない体を見て不思議そうな顔をしている。


 ミオが生徒たちを抱きしめる。


 ミオはわんわん泣いている。 


「よかったにゃーあいつはユウが倒してくれたからにゃ、もう安心にゃよ」 


 ミオには悪いけど、まだ安心できる状況じゃない。


 僕の怒りもおさまらない。


 魔神族か。


 今度はこちらから攻め込んでやる。


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