聖王国シーサ魔法学園 7
談話室に戻る道すがら、かなりの人数に話しかけられた。
剣神カズマに勝ったからだろう。
中にはチームへの勧誘もあったけど、それはマーガレットが追い払った。
僕らはユニコーンの談話室に戻り、暖炉の前の椅子に座る。
マーガレットが言った。
「さっそく有名人になったわね。いきなりランキング一位よあなた」
ランキングだって? 何の話だろう。
「ランキングって何の話?」
「そっか。ユウは今日来たばかりだもんね」
マーガレットは額に張り付いた髪を鬱陶しそうに耳に撫でつけながら、
「試合で勝つとその人の持っているポイントの半分がもらえるのよ。だからガジルとカズマの持っていたポイントの半分がユウに足されたのよ」
「そのランキングっていうのは何の意味があるんです?」
「まず、魔法学園他校対抗戦に出場できるようになるわ。それで卒業したら破格の条件で引く手あまたよ。一般庶民からしたら、一気にのし上がれるチャンスなのよ」
なるほど。実力主義なわけね。
「団体戦メンバーは一人~四人で組むことが出来るの。カズマみたいな例外を除いて、みんな四人で組んでるわ。さらに補欠に一人。全部で五人まで登録できるの」
それでメンバーを探していたというわけか。
「それでね、ちょっといろいろあってね。私どうしてもアリーアが許せなくて。一か月以内にあなたたちを倒すわって、売り言葉に買い言葉で言ってしまったの」
「ひょっとして負けたら学園を辞める事になってたりする?」
マーガレットは視線を外して宙にさまよわせながら、
「ええまあそうなのよ……つい、ね……。」
なるほどねぇ。
「で、でもね。その時組んでた二人がいれば、惜しいところまでは戦えてたのよ」
「その二人は今どこに?」
「アリーアに懐柔されてしまって、抜けていったわ」
なるほど。さすがアリーア。見事な悪役っぷりだ。
「では補欠も入れて後二人、どうするの?」
「最悪、メンバーが見つからなかったら、ユウ君は強いから、三人でも行けないかな」
まあ行けると思うけど。ていうか余裕だと思うけど。
僕一人で勝っちゃったら組む意味ない気もするしね。
「探していなかったらだね。一応探すだけ探してみよう」
「ええ。そのつもりよ。ただ、アリーアを相手にでき、かつ強い人、そんな人はユニコーンにはもういないのかもしれない」
「ほかのクラスの人を入れることはできないの?」
「それも可能だけど、貴族様たちは絶対に一緒に組んでくれないし、そうすると亜人たちのフェニックスからということになるけど。あんまり接点がなくて話しかけずらいの」
ちなみにリリアンは話に参加せず、僕の左の席で僕の手のひらをもんだり押したりしている。
謎な子だ。
それを見てマーガレットが、
「それにしてもリリアンが、こんなにすぐ人に打ち解けるなんて初めてよ」
そうなのか。そういえば人見知りって言ってたもんな。
……なんか犬みたいだな。
「じゃあ明日からちょっと、フェニックスに戦ってもいいよっていう人を探しに行こうか」
マーガレットは頷いた。
「ええ、そうしましょう」
こうして僕の学園生活は始まった。
一日目からこれだと、なんか先が思いやられるなぁ。