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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第二章
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竜の試練1

 霊峰セブの麓。

 ここは竜の大地と呼ばれる場所だ。

 そこに僕は一人で立っていた。


 ここでは魔法は使えない。

 使えるのは身体強化のような自分に作用する魔法だけだ。

 試しにティノを呼び出す魔法陣を出してみると、出した魔法陣がすぅっと地面に吸い込まれ消えた。

 

 ”ファイアーボール”


 手から離れるとこれもすぅっと地面に落ち消える。

 だめだ、これも地面に吸い込まれる。

 魔道具は大丈夫らしい。背負った袋の重さでわかる。トンカチたちも大丈夫だ。


 ティノはユニコーンの集落? に戻っていれば安心だし、ティーリンは森が近くにあったから大丈夫だろう。


 昔マリーナに教わったことを思い出していた。

 これは竜の試練だ。

 エンシェントドラゴンの仕業だ。

 転移の魔法で強制的に移動させるのは、エンシェントドラゴンの使う竜魔法しかできないと聞いたことがある。


 霊峰セブの北側と麓まで、人の世界と隔離した世界、これが竜の大地だ。

 ひっくり返したお盆の上にこぶし大の富士山を乗っけたと言えばわかりやすいだろうか。

 人の世界に行くにはお盆のはじまで行き、落ちればいい。

 が、ここは竜の結界の中だ。魔法は使えない。ダイブしたら待ってるのは死だけだ。

 まずは知識だ。やみくもに歩いて竜種に襲われたらたまらない。 

 ここにはありとあらゆる竜種がいて、暮らしている。

 獣人も少ないがいるらしい。人に対して好意的な種族もあれば、襲ってくる種族もあるようだ。

 霊峰セブの反対側には僕の育ったハイドワーフの里もある。

 もしかすると見たこともないような妖精族の里もあるかもしれない。 


 で、僕はここで霊峰セブの頂まで行き、エンシェントドラゴンに会わなければいけない。

 それが竜の試練だ。

 

 僕はカンザンから出た瞬間に移転魔法を使われ、気が付いたらここに立っていた。

 ここに来る条件はわからない。

 マリーナの予測では、世界に影響を与えるであろう人物を、鍛えるために用意した場所のようだ、と言っていた。

 実際、竜の試練をクリアした者は歴史上に何人かいる。

 一番有名なのはランドル王国の初代国王だ。ドワーフとの盟約を交わし、国を作った張本人だ。

 そして重要なのは、竜の試練に送り込まれたということは、僕にはクリア出来る実力がある、もしくはクリアできる実力を身に着けることができる、ということらしい。


 僕は早く姉さまを助けたい。

 けど、そのためにはここで実力をもっと付けたほうがいいのかもしれない。

 クリアすれば願い事をかなえてくれると聞いている。

 姉さまを助けるために役立つ何かをしてもらえるかもしれない。


 エンシェントドラゴンは、今この瞬間も僕のことを見ている。


 どちらにせよ、ここに来た以上後戻りはできない。先に進むしかない。


 けど……。


 十二歳の僕にやらせるのは、ちょっと酷くないですかねエンシェントドラゴンさん?


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