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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第八章
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聖王国シーサ魔法学園 4

今日の分の更新になります。続きを今日中にアップできたらしようと思います。

 僕らは立ち話もなんだから、と、ユニコーンの寮の談話室に移動した。


 まず亜麻色の髪をポニーテイルにしている、ちょっと気の強そうな少女が口を開いた。


「自己紹介をするわね。高等部二年のマーガレットよ。クラスはユニコーン。あなたの先輩ね」


 そしてもう一人、ワインレッドの髪をツインテールにしてる灰色の瞳の少女を前に立たせ、


「ごめんね。この子は人見知りが激しいの」


 マーガレットがせっつく。そこでようやく口を開けた。


「……私はリリアン。ユニコーンの中等部二年です」 


 一年先輩だ。


 二人とも整った顔をしていて、街で見かけたら思わず振り返ってしまう程の美少女だ。


「私がアーチャー、この子が魔法使いよ」


 ふむ。後衛二人だね。


「僕は、ユウ・オールドリバー。魔法戦士です」


 二人が驚く。


「魔法も使えるの!? 戦士にしてもあんなに強いのに!」


「……当たりですね」


 ん? リリアン、当たりってどういう事だ。


「私たちはどうしてもアリーアに勝たないといけないんです」


「……たぶん、アリーア組に勝ったのは剣神以外ではあなたが初ですよ」


 ん? 今聞き流せないことを言ったぞ。


「剣神とは?」


「東方から学びに来てる“カズマ・ユキシロ”です。高等部一年生。先代の“剣神”が行方不明なので、後を受け継いだ人です。一人で四人相手に、今のところ負けなしです」


 スカイドラゴンに捕まった爺さんだな、きっと先代と言うのは……。


「確か、あと少ししたら彼の試合があったはず。見に行きますか?」


 それは面白そうだ。僕は頷いた。




***




 コロシアムはかなりの人ごみになっていた。


 僕らははぐれないようにと、マーガレットが僕の右手、リリアンが僕の左手を繋いでいる。


 ちょっと恥ずかしい。


 でもこの人ごみではぐれない自信がないのでしょうがない。


 両手に花って感じもするけど。


 僕らは席の中ほどに空いてる席を見つけ座る。


「はーいそれでは選手の入場です。東門から剣神カズマ・ユキシロ選手! いつものごとく何の魔法もかかっていない木刀を持っての入場です!」


 カズマは気負うことなく悠々と歩いて入場する。


「対する東門からはでました! アーリア様と、剣士ヨウ選手、魔法使いケイス選手、僧侶カメリア選手、入場です!」


 こちらは少々緊張してるようだ。微妙に歩き方がぎこちない。


「アリーア様の武器は持つものが素早くなるレイピア、ヨウ選手の武器は力が強くなる刀、ケイス選手とカメリア選手の装備は魔法が掛かっておりません!

 

 ていうかアリーアかよ! 部下に戦わせるだけかと思ったら結構行動的なんだな。

 

 僕はマーガレットに聞いてみる。


「どっちが勝つと思う?」


「十中八九カズマです。言ったでしょう、四人相手でもまだ負けなしだと」


 なるほどね。じゃあお手並み拝見と行きますか。


 皆、身代わり人形を作り、青く光らせていく。


 そして試合線の上に立つ。


 剣神カズマと剣士ヨウは一番内側、そのほかは一番外側の試合線上だ。



「ではいきますよー、スリー、ツー、ワン、ファイ!」



 ファイ、と言う掛け声にかぶさるように剣士ヨウが動いた!


 これは捨て身だ。


 相打ち狙いか! 


 喉元を狙って電光石火の速度で体ごと突き入れた! 


 さあどう捌く!?


 その瞬間僕と確かに目が合った気がした。


 マーガレットが、


「今こちらを見たわね。というかユウ君に向けてだけと思うけど」


 甲高い金属の音がして、剣士ヨウの剣が半分ほどで折れて飛んだ!


 呆然とするヨウに蹴りを入れ、吹き飛ばす!


「やっぱり意識してるみたい」


 僕の時とは違い、カズマは木刀にこめた闘気だけで魔法の掛かってる剣を折っている。


 僕への挑戦状のつもりなのか。


 ここからは圧倒的だった。アリーアは一撃で人形を壊され、魔法使いも僧侶も何もできずに共に一撃で人形を壊された。


「勝負あり! 勝者剣神カズマ!!」 


 歓声が起きる。


 とくにアリーアの事を快く思ってない者も多いらしく、拍手喝采だ。


 アリーナはカズマを親の仇! みたいな目で睨んでいるが、カズマは涼しい顔だ。


 そして声を上げた。


「オレはいついかなる時でも、誰からの挑戦でも受けて立つ! 我こそは、と思うものは名乗りを上げろ!」


 カズマはこっちを向いている。


 これは喧嘩売られてるな。


 よし。ちょっとテングになってる剣神の鼻っ柱を叩き折るのも悪くないかもしれない。


 僕は立ち上がった。


 カズマはにやりと笑った。


「ちょっと行ってくるね」


 僕の左手をまだ掴んでたリリアンの手を優しくほどき、頭に手をぽんぽんと置き、そのまま重力魔法を使って飛びあがる。


「ちょっ行くってユユユユユウ!?」


 マーガレットが驚いているがもう遅い。



 僕は重力魔法で空中を飛び、一回転して剣神カズマの前に降り立った。 



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