新たなる魔王 3
今日の分の更新です。
僕らは一旦聖王国シーサに戻ることにした。
そしてシーサの宿に着いた時にそれは起こった。
姉さまのクリスタルが光っている!
慌てて僕もクリスタルを確認した。
光っている!
まさかリヨンが帰ってきてるのかと思って、急いで宿屋に行ったが宿屋にはいなかった。
「リヨンとは別のやつなのだろうか」
姉さまも渋い顔だ。
「どちらにせよ、おそらく町中だと思う。ここから半径一キロだからね」
僕も頷く。
「もう門が閉まる時間だから、この中に居るというのは間違いないね」
「じゃあとりあえず明日ミモザに連絡をとって協力を仰ごう」
ティーリンが、
「それなら食事をしたら今日はもう休みましょう」
「そうだね。もうお腹ペコペコだよ」
***
翌日。
ミモザへの面会はすぐに通った。
今回は姉さまと僕だけだ。
応接間に通され、すぐにミモザと王様、シメオン三世がやってきた。
今日のミモザはピンクのドレスを着て、すっごい可愛い。
挨拶の後、
「ミモザ、そのドレス似合ってるね。すごい可愛いよ」
褒めたらミモザは真っ赤なバラのよう頬を染めた。
「ありがとうございます、オルター様」
思わず抱きしめようとしたが、王様もいるので我慢した。
打ち首とかになったら嫌だしね!
「とりあえずは席に座りたまえ」
僕らは席に着くと、さっそく本題に入った。
魔王の種子のこと、クリスタルの事、リヨンの事。
すべて話した。
「なるほど。ちょっと待っておれ」
シメオン王は城と城下町の地図を持ってこさせた。
地図を広げる。
おお。かなりの詳細な地図だ。細かく色々と書き込まれている。
「宿屋はここだ。ここから一キロだとこうなる」
国王はコンパスで円を描いた。
「城内部までは届いていない。とすると、む。ここは寮だな」
ミモザが答える。
「はい。魔法学園寮ですね」
王様はふむ、と考えだす。それからオルターに聞いた。
「話によると暗黒の種子を持ってるものを倒すのは、そこまで急いでないのだよな」
僕は頷いた。
「ええ。魔王になるまで百年はかかるということですから」
王様は続ける。
「邪神復活を拒むには一つその種子を見つければいい」
「はい。たとえ十七個集めようと、十八個目がなければ邪神は生まれないという事です」
すると王様はふむ、と何かを考えてから、僕の目をまっすぐ見ながら言った。
「そうか。ならばオルターよ。そなた魔法学園に入学しないか?」
僕は目を見開く。魔法学園にだって!?
聖王国シーサの魔法学園と言えば格式高くて有名だ。貴族の子供の行くところだと僕は認識している。
「なぜ魔法学園に?」
「ここに寮があるだろう」
「はい」
僕は頷いた。
国王は地図を指さしながら、
「昨日から入寮が始まっている。その中にいる可能性が高いのではと思うのだが」
なるほど。確かに。その可能性もある。
僕は少し考える。魔法学園に入学。これには心惹かれる。
「ではまず魔法学園から一キロぎりぎりまで離れて、魔法学園寮の中にいるようだったら入学しましょう」
姉さまが、
「善は急げね。さっそく調べに行きましょう」
王様が頷きながら、
「では調べ終わったらまた来るように。ここに通すように伝えておく」
僕らは頷き、城を後にした。