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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第七章
122/379

新たなる魔王

24時前にもう一話更新します。


 突然姉さまが声を上げた。


「止まって!」


 スカイドラゴンは急ブレーキをかけ、その場にホバリングした。


「姉さま、どうし……」


 姉さまを見た僕もそのことに気が付く。


 首から下げたクリスタルが光っている!


 僕は慌てて、自分のクリスタルを見ると、こっちも光っている!


「スカちゃん! ここまででいいよ! 降ろしてください!」


 スカイドラゴンは何かを言いかけたが、首を振って、なにやら諦めたようだ。


「……。わかった」


 スカイドラゴンは全員を下ろすと、一声吠え、あっという間に去っていった。


「姉さま、二手に分かれましょう」


「そうね!」


 急いで二手に分ける。


「僕、アンリ、ミオ ティーリン、姉さまの方は、姉さま、レン、マナ、リヨンで!」


「わかったわ」


 マナが、


「発見したら上空にファイヤーボールを撃って合図にしましょう!」


 僕は頷くと、


「了解! では散開!」


 僕は北、姉さまは南に駆け出す。


 ティーリンは木から木へと飛び移りながら、なにかの痕跡はないかと上から探していく。


 ミオと僕は、気配察知のスキルを使っているのだが、結構いろいろといるらしく、あまり参考にならないかもしれない。


「気配察知でかかってきた大きい反応を一つづつ潰していこう」


「わかったにゃ!」




***




 リヨンは大森林の上空に居た時から、ソレに気が付いていた。


 だから散開した時からいてもたってもいられず、その気配に向けて走り出した。

 

「リヨン?」


 アンフィが何か言ったが既に走り始めていたリヨンには聞こえなかった。


 甘美な気配がする。甘い甘い何か。どうしようもなく惹かれる。


 リヨンの本能がそれを欲しがっている。


 だからリヨンは駆ける。


 そのどうしようもなく惹かれる甘美ななにかに向かって。


 頭の中からそれ以外の事がすっぽりと抜けてしまう。


 どれくらい走ったのだろうか。


 その存在もリヨンに気が付いたようだ。


 こちらへ向かってくる気配がある。

 

 リヨンはにやりと笑う。


 見えた。


 ゴートだ。大きなツノが頭の左右に伸びている。そして額に大きな黒いツノが生えている。


 一撃だった。


 走ってるそのスピードのまま近づき喉元に衝撃波を込めた拳で一発で仕留めた。


 止めを刺す前に“ソウルアタック”をしなければならないなど頭の中から抜けてしまっていた。


 ただ、本能のままにリヨンはゴートを殺したのだ。


 倒れたゴートの体から、黒いボールの様な闇の塊が出現し、リヨンの方へと近づいて来る。


 なんて愛おしい。リヨンはうっとりとし、それを抱きしめた。


 するとそのままリヨンの体の中に黒い闇は入り込む。


 体中を歓喜と快楽が襲い、思わずため息が出た。


 そこで初めてそれ以外の事を考える余裕が出来た。


 リヨンは思った。


 彼に会いたい。そして彼と私は愛を育むのだ。


 抵抗するなら縛り付けてでも彼を独り占めするんだ。


 きっと彼もわかってくれる。


 リヨンは己の妄想に酔いしれ、身悶えする。


 でも駄目だ。


 彼の周りには邪魔者がいっぱいいる。


 全部を排除するには私はまだ弱い。


 もっともっと集めないと。


 そう。もっともっと私が強くなれるものがある。


 リヨンは遠くにあるその存在へ向かい走り出した。

 


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