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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第七章
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白亜の塔 4


 四階への階段を上る。


「次はミオがやるからにゃ!」


 くぎを刺されてしまった。


「わかったよ。次はミオにお願いするよ」


「にゃ!」


 なんか怒ってる。


 僕らは四階への扉まで上り切り、扉を開けた。


「……」


 扉を閉めた。


「……」


 みんな無言だ。


 今見えたものは気のせいだろうか。


 目をこすってもう一回扉を開ける。


 気のせいじゃなかった。


 リッチが群れてる。


 ぱっと数える。


 ……。


 ……二十八、二十九、三十匹。


 リッチって普通は、一匹でダンジョンのボスをやってたりするほどの強敵だよね!?


 なんで群れてるの!?


 ミオが部屋に一歩足を踏み入れた。


 リッチが全員一斉にミオを見た。


 こ、怖い。思わず扉を閉めそうになるが、


「い、行くにゃーっ!」


 ミオが走り出した。


 リッチが一斉に魔法を唱え始める。


 今のミオの装備は両手に爪だ。


 僕が爪を修復したので、さらに強化されている。


 魔法の一撃を吸収し放出できる効果はそのままだ。


 走りながらミオの体が橙色のオーラに包まれていく。


 ミオは叫ぶ!


 “獣人神攻撃”!!(アニマルアタック)


 一体目のリッチに、橙色に強化された爪を心臓の位置に突き刺し薙ぎ払う。


 二体目のリッチに攻撃する前に、唱え終わったリッチ達の呪文がミオを襲う!


 ミオは四足に構え、体勢を低くしながら二体目のリッチの後ろに回り込み、盾にする。


 炎の玉が、雷が、氷の礫が、かまいたちが、レーザーの様な水流が、闇の玉が、盾にしたリッチを襲い、爆炎に包み込み、ミオの身を隠す。


 二体目は燃え上がりその場に崩れ落ちた。

 

 煙の中から飛び出したミオは、橙色のオーラに包まれ加速していく。


 三体目を走りながら切り裂き、そのまま四体目に向かう。


 四体目の心臓に爪を突きいれ、両足で蹴り飛ばし、その反動で宙を舞い呪文を避ける。


 空中でライトニングとかまいたちを両方の爪で吸収し、反対にリッチに向かい放出する!


 そのまま空中を()()()、軌道を変え、五体目の首を飛ばす!


 地面に着陸した瞬間転がることでダメージをいなし、止まることなく次のリッチの胴体を薙ぐ!


 リッチ達の呪文は、ミオの動きに追い付かず、一瞬前にミオがいたところに着弾していく。


 ミオの動きは止まらない!


 “幻影攻撃”!!(ミラージュアタック)  


 三体に分身することで呪文をさらに当てにくくさせる。


 ミオは凄まじい勢いでリッチを屠っていく!


 炎の玉のような広範囲攻撃の呪文を爪に吸収し、リッチの固まっているところに逆に放つ。


 ミオが攻撃するたびに、リッチ達の数が減っていく。


 気がつくとリッチ達は半数以上ミオに倒されている。


「……すごい」


 リヨンが呻いた。


 僕でさえ一発も呪文を喰らわず、逆にリッチを一撃で屠っていくミオに戦慄を覚える。


 まあ僕もホーリーシンボルを付与した闘気剣なら同じことが出来るだろうが、ミオの場合は、闘気は使っているものの、特にアンデットに効果がある攻撃をしているわけではない。


 純粋な膂力と闘気だけで一撃だ。 


 ミオはどんどん速度を増していき、僕でさえも目で追うのがきつくなってきている。


 まるで舞を見ているようだ。


 リッチ達は呪文の狙いが定まらないのか、発動せずにおろおろしている。


 そうなってしまうとミオにとっては格好の的だ。 


 頭を、胸を、首を、心臓を、腰を、腕を、速度の乗った一撃で吹き飛ばしていく!


 そしてさらにミオが聞いたこともない技を叫んだ!


“魔攻反射”!!!(まじっくりふれくと)


 橙色のオーラに魔力のきらめきが追加され、きらきらと輝く。


 ミオが呪文を避けるのをやめ、ライトニングと炎の玉をその身で喰らうと思った瞬間に、ライトニングと炎の玉は反射して唱えたリッチに跳ね返った!


 まじか!


 ミオは魔法を完全に跳ね返していく。


 これは魔法使い相手に無敵じゃないか!


 それでもミオの速度は止まらない。


 僕らが驚愕してると、次々とリッチを屠り、残り一体になったリッチの首を爪の一撃で吹き飛ばした!


 ミオは高らかに雄叫びを上げる。


「にゃおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉん!!!!!」


 ミオは三十体のリッチをたった一人で一撃も喰らうことなく屠ってしまった。


 

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