魔王の種子
サブタイトルも今後変えるかもです。
とりあえず短いですが深夜の更新。
深夜と言えばやっぱり……。
僕はベッドの中で目を覚ました。僕を中心に右にウリシュナ、左にラフェが寝ている。
僕は上体を起こして、手を開いたり握ったりしてみる。
引き締まった体、長い手足。僕は今、いつもの僕ではない。
ウリシュナに言われて竜魔法を使って、本来の歳である二十九歳の体に変わっている。
今後、強敵が現れた時の為に、その姿に慣れておきなさい、と言う事だった。
決してその体格の方が都合がいいから、と言うことはない。と、思う。いやでもウリシュナだしな……。
竜魔法が使えるようになると竜達は皆、いろんな人間の姿になるそうだ。その中で一番しっくりする姿を使い続けるらしい。
なので僕は、十七歳の体と、二十八歳の体を試してみたというわけだ。
なぜか十七歳の体より、二十八歳の体のほうが僕にとってはしっくりきた。
「んー、おはようオルター」
ウリシュナが僕を見上げながら声を掛けてきた。
まだ眠そうだ。
目をつむって心なしか唇を突き出してる。
僕はその唇にキスをする。
それから起きようとしたところを、引っ張られウリシュナに覆いかぶさってしまった。
「だぁめ。もう一回して?」
ウリシュナは目をつむっておねだりした。
どうやら僕の朝はまだ来ないらしい。
***
僕らは遅い朝食を食べてから、話の続きをすることにした。
「邪神を倒したときに、最後の言葉と、黒いものが飛んで行ったのが見えたんです」
ウリシュナは、ふぅとため息をつくと、
「見えちゃったか」
「見えちゃいました」
そしてまた、深くため息をつく。
「そうだね……。闇の因子とは魔王の種子。飛んで行った黒い物とはこれの事だね。こぶし大の黒い種だ」
ふむふむ。
「これが一定以上の悪の心かを持っているものか、動物や魔物、そして魔族が触れると、体の中に入り体を魔王へと変えていく。まあ、百年ぐらいはかかるけどね」
ウリシュナは紅茶を一口飲んで口を湿らす。
「これの厄介なところは、体の中に入ったまま死ぬと、転生する魂についていき、そのまま魔王への成長を続けるということだ」
僕は聞いた。
「ではどうすれば?」
「人間ならわかりやすいんだ。いきなり力が強くなったりするからね。獣も猟師たちの噂になる。例えばクマに宿るとツノとかが生えてきて、狂暴になったりするから」
「それが十八個。それがあの時に飛び散ったすべてだね」
そんなに……
「で、君はそれを聞いてどうする?」
ウリシュナは試すようなまなざしで聞いてきた。そんなのは決まっている。僕はウリシュナの目を見て即答した。
「探し出して滅したい」
ウリシュナは、
「うん、君ならそう言うと思ったよ」
と、なぜか嬉しそうだ。
「それならこれを持っていくといい」
ウリシュナは懐から金色の水晶のついたペンダントを取り出し僕に渡した。