表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第一章
11/379

カンザンにて3

 冒険者ギルドの扉を開けると、中にいた男たちが一斉にこっちを見た。


「おいおい子供かよ」


「ぼくちゃんたち、ここは大人のお店だよ。帰ったほうがいいぞぉ」


 はやし立てられた。


 一人の男が両手を上げてとうせんぼする。

 僕はめんどくさくなって魔力を開放する。

 全身からものすごい量の魔力が吹きあがり、空気がゆらぐ。

 この場に居た者たちは揃って息をのんだ。


「通してくれますか」


「ひ、ひぃ」


 と声を上げとおせんぼした男は尻もちをつく。


 だれかがぼそりと言った。


「闘気じゃなく単純な魔力でここまでの…」


 僕とティーリンはすべてを無視し、受付にいるお姉さんまでスタスタと歩く。


「ひょっとして、オルター様とティーリン様ですか? 」


 僕らが頷くと、「少々お待ちください」と奥の部屋に入っていった。

 しばらく後、一人の男を伴って帰ってきた。

 大柄の、けど決して太ってはいない、筋肉の塊みたいなスキンヘッドの男、オーレンだ。


「お、来たなマリーナの秘蔵っ子たち。ここじゃなんだから奥に行こうぜ」


「お前たちのことはマリーナに聞いてるぜ」


 どうやらマリーナの知り合いらしい。


「順番は違うが、実技が先な。セスを倒したというその実力を見せてもらうぜ!俺はランクSだからな。全力で来い」


 冒険者ギルドの中庭にある訓練場。誰もいない。今日は貸し切りのようだ。


 「おいおいなんだその装備は。めちゃくちゃじゃねえか」


 武器を抜いた時にマントがまくれ、ミスリルの鎖帷子とアダマントの鎧が見えたようだ。心なしか焦って見える。


「じゃまずは僕からお願いします」


「お、おお、二人まとめてでも……いや、一人ずつのがいいな! 」


 僕は右手に月灯の小刀、左手に虹色のトンカチを構える。

 オーレンは虹色のトンカチに目を奪われているようだ。

 何か言いたそうだったけど無視して言った。


「行ってもいいんですか? 」

「お、おう、来い! 」


 オーレンは両手で木剣を正眼に構えた。

 僕は月灯の小刀を上段に構える。


 僕は一瞬で間を詰めると、小刀を振り下ろした!

 オーレンはそれを剣を横にして受けようとした……ところを左手のトンカチで撥ね上げる。

 そのまま小刀をのど元でぴたりと止める。

 オーレンは驚愕の顔をして固まった。


 僕は、


「これでいいでしょうか?」


 と刀を鞘にもどしながら言った。


 オーレンはしばらく固まった後、


「ま、まて。もう一回だ! もう一回! 見た目で手加減しちまった! 本気出すから! な? な?」


 僕は軽く答える。

「いいですよ」


 初期位置に戻ると、オーレンは闘気を解放し身にまとう。

 瞬発力アップ、攻撃力アップ、防御力アップ、剣にも闘気をまとわせる。


 (Sランクとして、どうしても大人の威厳というものを教えねば!

 決して大人げないわけじゃないぞ! )とオーレンは心の中で弁解する。


 オーレンの体が若干青いオーラに全身がつつまれる。


「よし、いいぞ! こい! 」

「じゃあ行きますよ」


 と、左手で虹色のトンカチを力いっぱい頭めがけて投げつけた!


「おっひょおおおおおおお」


 オーレンはぎりぎりで避けた!


 よし、次は俺の番だな!と木剣を振り上げた所に、真後ろから飛んできたトンカチに後頭部をガツンとやられて盛大に地面に突っ伏した。


(これはあれかな、床ペロってやつだな)


 持ち主契約を使って、投げたトンカチを手元に戻しただけなのだが。

 しばらく突っ伏した後、ズキンズキンと傷む頭を押さえながらオーレンは立ち上がると、


「も、もうおまえAランクからのスタートでいいぞ(あ、あぶねえ。闘気を全身にまとってなかったらやばかった)」


「ありがとうございます」


 僕はにこにこだ。


「さあ、次は私ね! 」


 待ちきれない! とばかりに僕の前に躍り出る。ティーリンはやる気満々だ。


「お、おう来い! 」


 さすがに今度は油断せず、最初から全身に闘気をまとう。

 その間にティーリンは召喚呪文を唱える。


 ヴワンという音とともに左右の手のひらから魔法陣が出現する。

 

 魔法陣を発動し出てきたのは……右手の魔法陣から地の精霊帝と、左手の魔法陣から風の精霊帝。


「うおおおおおおおい! ちょまっ! まてまてまてまて!!! 」


 オーレンの全身からドバっと汗が流れ出た。


「死ぬ、死ぬ死ぬ死んじまう! 降参、降参だ! 」


 ティーリンはどこか残念そうに精霊帝たちを送り返した。

 オーレンはその場でヘタッと座り込んだ。

 

「なんちゅーものを出してくれるんだ。さすがハイエルフ…おまえもAランクからでいいぞ……」


 やったー! とティーリンが小躍りしながら帰ってきた。


「主様、私もやりたい」


 すると裾をちょいちょいと引っ張りながら、ティノが言った。

 僕はティノに頷くと、


「オーレンさん、この子幻獣なんだけど、この子もテスト受けさせることはできますか? 」


 そう言われたオーレンはティノをじろじろと見る。


「ほう。一応、獣人もいるし、人と話ができれば冒険者になれることにはなっている。いいぞ」


 よかった。

 それを聞いてティノがいそいそと、さっきティーリンの立っていた位置まで移動する。

 オーレンもティノに向かって構え、すぐに闘気を身にまとう。


「よし、いつでも来い」


「んー。“ライトニング”」


「“マジックシールド”」


 ティノのライトニングはしかしオーレンが出した透明な六角形の盾に防がれる。

 僕が出すような六角形を組み合わせたドーム型ではなく、前面に一個だ。

 ライトニングは直線なので簡単に防がれてしまう。


「本気で行く。んんっ」


 ティノの本来角があるあたりに、空気が渦を巻いて吸い込まれる。正確に言うと空気ではなく空気中の魔力だ。


 オーレンが少し慌てて、マジックシールドを組み合わせドーム型にする。

 オーレンの額にあせがすごい。がんばれオーレン! 思わず心の中で応援した。


「“すっごい強いライトニング”!」


 あ、これはやばい。


 電撃というより、もはや極太レーザーのようなライトニングがオーレンめがけて発射される。

 オーレンの魔法の盾が悲鳴を上げる。


 2、3秒、パキィィン! オーレンの盾が砕ける、と同時に僕の盾の魔法が間に合った!


 魔法が収まった後には、オーレンがまた尻もちをついていた。

 僕の方を見て「た、助かったぜ、ありがとな……」ぜーぜーと息も絶え絶えだ。


 ティノが小首をかしげ、「もう一発いく?」


「いやっ大丈夫だからっ! 合格だから! き、君もAランクからで! 」


 あっさり合格した。


「ほんとうは全員Sランクをあげたいところなんだがな、一応決まりでAランクからということになっている」


 そうなのか、まあ決まりなのはしょうがないな。



ギルドマスターをオーレンに入れ替えました。

混乱した皆さん申し訳ないです。


冒険者ギルド。とりあえずテンプレ展開は入れていこうかと…。

ていうとこれもないとダメですかね↓

いやでもまあほんとに最弱ですがっ


レダ  「セスが敗れたようだな…」

ガレス 「奴は四天王の中でも最弱…」

デスタイラント「人間如きにやられるとは魔族のツラ汚しよ…」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ