勇者アンフィ vs 鍛冶師オルター 2
夜に時間があったらもう一話アップしようと思います。
姉さまが言った。
「やるわね! かすらせるぐらいはできるかと思ったんだけど!」
僕は、
「次はこっちからいくよ!」
そう言い呪文を唱えた。
――――神級魔法“アブソリュート・ゼロ”
防御不能の神級魔法だけど、姉さまにはきかない予感がしている。
竜体の手と手の間に氷の玉が出来、そこから冷気のレーザーが姉さまに伸びる!
姉さまはしかし、レーザーを避けた!
ええっ!? 今のレーザーはほとんど光速に近いはずなのに!
レーザーは地面を這い、地面を凍らせ、はるか向こうの湖をも凍らせていく。
僕は慌てて呪文を解く。
「視線でバレるのよ! 注意しなさい!」
なるほど。そう言うことだったのか。
そして姉さまが技を叫ぶ!
“聖光星剣”
うっ、しまった。
竜体だと攻撃を避けきれなくてサンドバックになってしまう。
僕はあわてて人間の姿に戻る。
縮む事によって“聖光星剣”を何とかかわす。
僕と姉さまは同時に上へと翼で飛び上がり、剣を交わし、離れ、また剣を交わし、お互い隙を探る。
二人がぶつかるたびに白い魔力があたりに飛び散る。
そして同時に技を繰り出した。
“真竜攻撃”!!
僕と姉さまはお互い白い弾丸になって正面から衝突する!
そして弾かれて、二人とも吹き飛んだ!
くっ、よし、ここはミオに技を借りよう。僕は体勢を立て直すと、
“幻影攻撃”!
分身しながら姉さまに向かって突撃する。
姉さまはすべての攻撃をさばこうとしたが、さすがにさばききれず、上段から下段に打ち下ろされた僕の両手の攻撃をくらい、真下に吹き飛ばされ地面に激突し小さなクレーターを作った。
そこで領主様が、
「勝負あり!」
と大声で叫んで割って入った。
城壁に居た人々がわっと歓声を上げる。
「私はまだいけるんだけど……」
ねえさまが起き上がり、悔しそうに領主様に言った。
「いえいえ、これ以上やるといろいろと、その、破壊してしまう気がして……」
領主様はハンカチで額を拭いながら弁解した。
確かに山は形を変え、湖は凍ってしまっている。
姉さまは首をすくめると、剣を鞘へ戻した。
僕を見上げると言った。
「オルターあなたの勝ちよ!」
僕は地面に舞い降りると、“武装天使鎧”を解く。
白い光の羽があたりに舞い散った。
僕も武器をしまうと、
「一人じゃ無理だったよ。技を借りたミオのおかげだよ」
と、ミオの方を見て言った。
城壁の下にいるみんなに向かって手を振ると、ミオもぶんぶんと手を振り返した。