神代の戦い 4
邪神は一度飛び下がって僕らと距離を置く。
「くそっ、血肉が足りない!」
邪神は呻く。
「……同じ技を使うのは屈辱なのだがそうは言ってもいられないか」
そして呪文を唱えた。
――――暗黒魔法“武装魔王鎧”
邪神の魔法は最初に体が黒い炎で覆いつくされ、しだいに黒い鎧に収束する。そして背中の羽が三対、六枚の羽となる。
それから持っていた剣を左右に分裂させた。
剣は二対のカタナになり、両手に一本ずつ持つ。
そうか。
大魔王の半身が無かった状態での降臨により、完全なる状態での復活ではないみたいだ。
カレン、セルフィ、ミランダ、すべては無駄ではなかったんだ。
いや、感傷に浸るのはやめよう。
目の前の邪神を倒せなければ、それも何の意味はない。
邪神が呪文を唱えると同時に、ウリシュナが僕と姉さまを呼び寄せていた。左右の指で僕と姉さまの額に触る。
「お前たちに我が“力ある言葉”を与えよう。力ある言葉は――――“真竜”大量の魔力を使うために、本来なら人間の使える技ではない。が、そなた達二人ならいける。さあ、力の軛を解き放て! 我が技を己が物にせよ!」
そうだ、姉さまもハイドワーフの秘術で桁外れの魔力を持っているんだ。
僕と、おそらく姉さまの頭の中に、技の知識が刷り込まれる。
「さあお行き!」
僕と姉さまは顔を合わせると、ウリシュナに頷き邪神に向かう。
「ティーリン、ミオ、行くよっ!!」
「いいわ!」
「わかったにゃ!」
二人の言葉を待たずして僕と姉さまは空へ飛びあがる。
まずは僕からだ!
“真竜彗星斬り”!!
ウリシュナの秘技……一つ目は“真竜”の技。そしてもう一つは二つの力ある言葉を一つにして放てる秘技!
僕の“真竜斬り”は、“彗星”の力を借りて、本来ならあり得ない飛ぶ斬撃となって邪神へと向かう!
放つと同時に体内の魔力をごっそりと持っていかれる。
なるほど。これは普通の人間には使えない。普通の魔導士百人分ぐらいの魔力を消費してる。
もちろん僕の魔力はそれぐらいではびくともしない!
僕の斬撃を追いかけるように姉さまが突撃する!
“真竜攻撃”!!
僕の攻撃が邪神に届いた瞬間に突きを連打する!
それを邪神は両手のカタナを交差させ防ぐが、姉さまの連打に防ぎきれなく青い血を肩と腿から噴き出す!
そこへミオとティーリンが追い付き攻撃を入れる。
ミオが聞いたことのない技を叫ぶ!
“獣人神剣”!!
ミオが体に橙のオーラを纏い攻撃する!
続いてティーリンが……ティーリンも新技か!!
“森人神剣”!!
ティーリンの方は緑のオーラを体に纏い剣を繰り出す!
邪神はすべてを捌ききれず、後方へと吹き飛んだ!