もちとしての人生
僕の名前はもち太もち太郎、もち米から作られたもちである。
これから僕はなにか食べるものになる、なんになるのか物凄くわくわくしている。
正直、市販のもちにはなりたくない。理由は簡単である、早く食べられたいからである。それにもし売れ残ったら・・・。これはもち粉先輩に聞いた話だが
「先輩!!もし売れ残ったらどうなるんですか?」
「そうだな、私も昔気になって私の先輩に聞いたんだけど、食べられることなく永遠に同じ場所に放置されて、最終的にとても臭う場所に持ってかれて焦げるまで燃やされるらしいよ。」
と先輩は言っていた。そのもち粉先輩はというと、とてもおいしそうないちご大福になって笑顔が素敵な子供に食べられたと聞いた。
僕も先輩やいままでのもち達のような、食べられ方をしたい!
そう思ってから僕は、いつか誰かに美味しいと食べられるために、おしるこになった時、お雑煮になった時、もしくは普通に焼かれた時を妄想して、食べられる時どんな顔をしようとか、一緒に食べられる仲間と何を話そうとかっていう些細なことを考えていた。
そういう日々を超えてやっと出荷の時が来た。僕と僕の仲間達は揺られながら、何処かに向かって進んでいる。
「どこに向かっているんだろー。」
「もしかしたら先輩達が言ってたあれかな?」
「そそそ、そんなわけないだろ・・。」
とても怖い、何日たっただろうやっと光がさす。そして話し声が聞こえてきた。
「○○さん、お届け物です。」
どうやら僕たちは配達されていたようだ、よかったスーパーとかで売られていたら売れ残ることが多いいけど、これなら安心できる。
「わぁーお母さん、おもちだー!!」
元気そうな子供が僕達を指さして笑っている。この子も喜んでいるが僕たちも大喜びだ。
「よっしゃー!!」
「よかったー。ここならちゃんと食べられる。」
「俺こんがり焼かれたいなー。」
「私は甘いおしるこになりたい!!」
みんな何になりたいか話し出した。ちなみに僕は誰かが笑顔で食べてくれるならなんでもいい。とにかくひと安心だ。
数日たった、最初に持っていかれたおもちはいいなーとか、次は僕かなーと考えているうちに僕の番がきた。
僕は温まったオーブントースターに入れられた、どんな人に食べられるんだろう、身体中が喜びとワクワクで膨らみ始める。そしてその感情が最高潮まできたときに僕は取り出された。
お皿に乗せられて、醤油くんと一緒に持っていかれる。この家の主人だろうかとても疲れている様子だ。醤油くんをかけられ食べられる。僕はこの人にいう言葉がふと思いついた。
「毎日、お疲れ様です。」
僕を一口食べた。次第に疲れていた顔から笑みがこぼれてくる。その時僕にはこの人の感情が手に取るように伝わっていた。
(疲れた、もうやめたい。でも頑張らないと。)
「・・・・おいしい。」
その人がふと呟いた。その言葉は僕にとって、とても嬉しい言葉だった。僕だけでこんなに喜んでもらえる、本当に良かった。
僕を食べ終わった後の顔はしらない、でもたぶん笑顔だっただろう。なぜか僕はそう思った。




