東征⑥2月18日。
お待たせしました。
書いては書き直し、書いては書き直し。
時系列の調整に失敗して諦めました。
修正が数話に跨ぎそうなので諦めてこのまま出します。
現実の日記なら有りなんだろうけど、物語としては順番がぐちゃぐちゃです。
きちんとプロットを書かないからこう言うことになる><
物語的には今回が第一章終了です。
次回はアフター何年?みたいな感じで時間置いて世界編だけど。
日記的には東征の結末を書かないなんて有り得ないのでもう少し続きます。
1535年(天文4年)1月~2月18日 相模国 小田原城。
綾小路 興俊 18歳
新年を迎え東征を再開と行きたいところですが越後方面は降雪の為兵も物資も移動できません。
陸奥国もいつ降雪で立ち往生となるかも判らないので陸奥国石城郡の大館城と陸奥国白河郡の小峰城に物資と兵を集積し春の4月になってから侵攻する事とします。
大館城は岩城重隆殿の、小峰城は結城義綱殿の居城なので安心して物資を集積する事が出来ます。
越後方面は雪解けと共に兵や物資を動かしましょう。
1月中旬のある日、側室として連れてきている那那姫が身籠りましたと言われビックリしました。
まぁ~やる事やってるのだから何の不思議も無いのだけど、妙姫とは中々出来なかったからね。
でも子供が出来るのは嬉しいよ。
問題は生まれるまで、そして生まれてからも暫くはこの地で過ごして貰わねばならない事だよね。
それとも安定期になったら大坂城まで行ってもらおうおかな?
安定期に入ってから輿でゆっくり行く分には問題ないよね?
ついでだから過剰戦力を国元へ帰そうか?
支配を受け入れた関東と北陸の諸侯の軍も併せれば征路軍は30万を超えるけど半分の15万入れば十分だよね?
半数を国元へ帰させて負担軽減を図ろう。
でも、ボーナスが無いと可哀そうだから少しくらいお金を支給して帰って貰おう。
非正規の小者は銭5百文くらいかな?
正規雇用の足軽が銭2貫、組頭が銭10貫、それ以上は一律で銭50貫。
ただし策を弄して弱いものから銭を巻き上げる馬鹿は族滅と言う事で、、、
故郷に帰って家族の為に使うも良し、この地の戦災復興で金を落として行くも良し。
天下統一事業の一端を担ってくれたんだから気分良く帰って欲しいよね。
その国元へ帰す軍の一つとして那那姫の護りとして1万くらい付ければ余程のことが無い限り大丈夫でしょう。
海外の追加情報も入って来ました。
小早川興景殿率いる第二次新大陸遠征隊の連絡船が帰って来たそうです。
とは言っても第一目的地のハワイイからの帰国ですけどね。
ハワイ諸島は第二次遠征隊がカパアウ王国をてこ入れして統一王国が成立したそうです。
人口にして12万人前後と琉球王国をそれほど変わらないですね。
早い内に日本の藩王国として使節を派遣して貰いましょう。
前回の遠征隊は500名程でしたが今回は6000名を越えます。
内500名程をハワイ王国に置き、大商館や寺院を建設する予定です。
又第二次新大陸遠征隊の派遣と同時に呂宋島などのフィリピン諸島の主要島への大商館建設を神屋彦八郎大提督に命じています。
11月の終わり頃にポルトガル船団がマラカ奪還に来航しマラカ港に駐留していた水軍は全て沈められたそうです。
ただし陸戦では完勝し停泊していた南蛮船を数隻拿捕したとの事。
海戦における敗北の原因が詳報によって判りました。
南蛮船の軍船は舷側に可能な限り大砲を搭載して舷側の攻撃力が非常に高く接舷が非常に難しいようです。
更に接舷出来ても和船や唐船は水面からの高さが低いので南蛮船に乗り込む事が不可能であり、高い船首楼や船尾楼が砦のような役割を果たすので銃撃戦でも著しく不利であるとの報告でした。
又、和船や唐船と違い複数の帆柱を装備して風を最大限に受ける為、複雑な風を非常に上手く捉える為、安定して速度が出せる事と三角帆を前面に持つ為ある程度風上に切りあがれるとの事です。
帆船の海戦では風上に位置した船団に交戦するか?逃げるか?の選択肢が与えられるそうです。
その為我々も南蛮船のような帆船を建造すべきであると言う提言が報告書に添えられていました。
反対する理由がありません。
拿捕した南蛮船を堺や博多、大坂に回航し船大工に大規模に製造させましょう。
前世で映画で見たカリブの海賊に出てきた戦列艦のスケッチを描いて同様の物が出来ないか?研究させましょう。
大砲の量産も必要ですね。
大砲は鉄製だと難しいらしい。
しかし青銅砲の生産は日本でも難しくないそうです。
お寺の梵鐘を製造する方が難しいらしい。
同じ青銅でも大きさが違うからね。
大きさは違うけど中に空洞があると大砲は破裂するし、鐘は良い音が出ない。
そう言う事らしい。
海戦で完敗したのに何故陸戦で勝ったのかと言う詳報も届いてました。
海戦で負けてマラカの町に居た日本人はポルトガル人が建設した石造りの要塞に立てこもったらしいです。
で、上陸してマラカの町を占領したポルトガル人は串刺しの案山子を見て逆上し大砲を幾つか陸揚げして要塞を包囲しつつあったらしいです。
しかし負け戦と同時に半島の反対側のパタニ王国へ向かった使者が直ぐに大商館に駐留していた兵3千を連れて戻って背後から襲った為に壊乱したそうです。
陸に上がっていた南蛮人で逃げ切れた者は居ないとか。
その時悲田院で神屋次郎太郎殿の肝入りで養成されていた忍者もどきの工作員が夜の間に海を泳いで船に取り付いて戦闘と同時に船を襲撃したらしいです。
中々映画や漫画のようにはいかなくて船内潜入に成功したのは5割くらいで後は死んだと言う話ですが、替わりに船に上がってからは無双状態だったらしいです。
船に30人くらい残っていても4、5人で制圧したと言う話ですから凄いですね。
これが拿捕出来た船と言う事らしいです。
その他の船は捕まえられず遁走したらしいですね。
ただ陸戦で討ち取った兵が2千近いと言うのでかなり打撃を与えたんじゃ無いでしょうか?
周辺の地域も抑えて1万くらい増援を送った方が良いかもしれませんね。
南蛮船の水軍を10隻単位で養成したらどんどんインド洋に派遣してポルトガル船を潰していくべきです。
マラカはその橋頭堡となる感じがします。
綾小路家の資産が持つ限り造船に最大限の努力をすべきですね。
余裕が出来たら新大陸にも南蛮船を廻し、太平洋を内海と出来たら船大工や水主、航海士などを大量に派遣してカリブ海側にも南蛮船などを造船する必要があります。
経済的に無理ならメキシコの諸王国に人材や技術を提供してヨーロッパ、アフリカ方面の通商破壊をして貰っても良いです。
案外恨みから熱心にしてくれるか知れません。
ただ戦意は有っても戦争技術が無さ過ぎるのが問題ですが。
人材や技術提供の為にも人材育成と知識の体系化は急務です。
天下統一が成ったら大々的に学校を建設しましょう。
義務教育を行うにはまだまだ国力が無さすぎですが門徒の教育をどの宗教でも布教の必須条件として定めるのが良いですね。
教育度や啓蒙度で宗派をランク付けすれば変な思想も出て来ないし、宗教問答も優劣が付きやすいでしょう。
寺小屋のような教育と少し宗教色の付いた道徳教育を初等教育として整備するのは有りですね。
ただし統治や社会生活にとって異端となる教義は断固として排除すると言う事で。
諸侯や公家の高等教育は奨学院を復活させて教えましょう。
公家の子女と大名(五千貫以上の所領)の子女は無試験でそれ以外の子女は試験で選抜かな?
試験の上位者には学問料(奨学金)を与えて勉強しながら生活が出来る優遇処置を与えましょう。
ただし入学してからも定期的に試験は必要だよね。
綜藝種智院も復活させてみたいです。
綜藝種智院と言うのは庶民の教育機関ですね。
寺小屋の初等教育で特に秀でている成績の者(卒業生百人につき5人くらいの割合?)に受験資格を与えて合格者には学問料を与えて主に農学や鍛冶、通詞、鉱石の精錬や採掘、建築、美術、工芸、調理などの実学を学んでもらうと言う事で殖産興業の担い手育成を目標にしたいね。
原則相伝とか古臭い徒弟制度を廃止して兎に角、数を養成しないと需要に追い付かないんじゃないかな?
あと替え玉受験を避ける為に指紋照合は必要だよね。
替え玉で不正が行われると真に必要な人材が得られないからね。
指紋で本人確認が出来てしまうと言う事実は最初はびっくりするだろうな。
本願寺のような巨大な寺院には私学のような位置づけで勧学院を作らせるのも良いかもね。
寺小屋の上位版?
基本は僧侶育成などスポンサーの欲する人材を育ててくれれば良いけど、奨学院と勧学院の卒業生の中から大学進学の受験資格を与えると言う感じで大学の進学者人数によっては補助金を支給しても良いかも。
大学は国の最高学府だよ。
学び舎と研究所の二つの面を持つ国の知恵袋だよね。
卒業生には師の称号を与えても良い。
替わりに卒業には一角の研究成果を要求したいけど。
他にも芸亭院と呼ばれた図書館を大規模に復活させたいよね。
目指せ蔵書百億帖!百億巻!
公家は先祖代々の文書を文庫や文車に残してるけど経済的な負担が重くて散逸する事も少なくないからね。
芸亭院に引き取ってなるべく多く複製して分散化し後世に伝えていきたいよね。
現在運営されている典薬寮も綜藝種智院に助力して貰って衛生学の確立を図りたいよね。
まぁ~現代社会を知っている私の脳内なら幾らでも構想を立てられるけど、実際に形にする為には課題が相当ありそうだけどすべてに必要なのは人材。
これに尽きるよね。
航海術や天文観測や地図作成、気候、海流、文化、産物などの地理情報を含む膨大な知識を必要とする航海士は特に優秀な人材を必要とします。
又、航海士は知識だけでなく経験や統率力など頭だけでは足りないものもある為、各地に有る大商館が知識を保有し航海士のレベルに応じて教育しその修得度に応じて免状を発行すべきですね。
これは神屋加計さんにお願すべき案件ですね。
神屋寿禎さんからは佐渡金山についての報告がありました。
未だ現地に山師を派遣して日が経って無いので一報と言う感じで試掘段階ですが非常に有望だそうです。
有望すぎて年間どのくらい採掘できるのか?
推計が未だ出来ないと言う話だそうですが兎に角非常に大きい鉱山を掘り当てたようです。
神屋主計さんからは国内の大商館についての報告がありました。
大商館を中心に徐々に国内の物価が下がっているようです。
大商館が直営している工房や農家は基本的に大規模運営ですからね。
仕入れ値が元々安いんです。
直営農家の農民は全て土地を所有していない小作人です。
そして収穫物から納税と小作料を支払う仕組みでなく給料制であるのがポイントですね。
不作であろうが何だろうが絶対飢えない程度の収入はあらかじめ保証しているので小作人の応募率は凄いです。
収穫が想定より多ければボーナスも払いますしね。
そしてトコトン道具を使います。
便利なものがあるのに使わないと言うては無いですね。
必要人数を超える応募があってもそのまま雇いいれ工場制手工業に人員配置すれば良いのであまり悩まずに済みます。
ただこうして小作人を吸収していく方法は既存の有力者には嫌われるので一定数の本職さん配置を忘れてはいけません。
相手が村人を集めて百人くらいで騒ぎ始めたら完全武装の兵士を五百人程派遣して庄屋の家を囲めば良いのでそれほど手間はかかりません。
一年や二年なら持つかもしれませんが、その内庄屋さんや村の豪農さんでも自分で田畑を耕さないと生活できなくなります。
それ以外の土地持ちの本百姓さんなんて言わずもがなですね。
跡取りの長男さんが次男三男さんをこき使って耕していたとしたらその頃には皆に逃げられて居るでしょう。
そして自分で耕していても、綾小路家で雇われている小作人さんの方が遥かに良い生活をしていると、、、
やってられませんよね。
↑今この辺らしいです。
あと数年も経てば私の直轄領では自営農家はほとんど消滅するでしょう。
そして周囲の諸侯からもどんどん人を吸収していくでしょう。
その傾向は既にあるようです。
そして人口爆発の兆しもみられるようです。
今まで農家の次男、三男では中々所帯を持つことが叶わなかったけど、綾小路家は従業員に優しいですから。
働かなくても生活が出来るような収入は差し上げられませんが、結婚して所帯を持って嫁さんと子供を食べさせて行くくらいの収入は差し上げたい。
あとは子供を寺小屋に通わせられる余裕くらいかな?
そうして直営の工場や農家から生み出された産物がどんどん溢れ出て物価を押し下げ既存の豪商を圧し潰していく訳ですよね。
こちらで調整している物価で生活できる給料を従業員の皆さんに支払っている訳ですから独占禁止法違反の極みですね。
そして効率良く生産され続ける商品は国内から溢れでて世界中にバラまかれるでしょう。
資源との兼ね合いもあるので生産力には上限があり、又上限の生産力に必要な労働人口も自ずと上限がある訳です。
人口爆発が求人数を上回って溢れた時、歴史的にはそれを吸収する手段は一つだけ。
少なくとも私は軍隊以外に知りません。
前世での欧米の帝国主義を経済の側面で見るならそうとしか解釈できない。
だから今から頑張って富国だけでなく強兵を造成しなきゃいけないよね。
私が死ぬ頃にはまだ無理でも私の前世の時代まで進む頃には日本による世界征服が成って居るかもしれない。
ただしそれは今から行う施策が行きつく必然であって、その時の施政者の野心でも何でもないと思うのは私の妄想かな?
日本人をこの段階で教育レベルを引き上げ、封建社会と言う土地の軛から解き放ってしまうのは正直怖い。
次に起こる社会変化は間違いなく民主化なので、私やお主上さま、公方さまの子孫達が対応を誤ると普通は革命とかで断絶だよね?
でも対抗馬が全く居ない今だからこそ、やれば日本人の成功が約束される。
まぁ~まだ始めたばかりだし私がどれだけ生きられるかも判らないから今は未だ寝言だけど、、、
と、一人であーだこーだと悩んでいた所に2月18日に大坂より急使が来ました。
いや、急使だけど急使じゃないと言うか、予定通りと言うか、、、
妙姫と私の子供が無事生まれたそうです。
それも男の子!
無事に生まれて来てくれれば女の子でも私は気にしないんだけど、妙姫も含めて気にする方が沢山居るからね^^;
素直に男の子で嬉しいです。
春になれば天下統一の総仕上げ!
今年は良い事が続きそうです。