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東征⑤

1534年(天文3年)10月初旬~12月大晦日 相模国 小田原城。


綾小路 興俊 17歳


関東の諸侯は続々と降ってくるのですが、東北の諸侯は全く音信不通です。

音信不通の直接の理由は東北の盟主たる伊達家が妨害してるからですが伊達家が何故降らないかと言うと嫁取が絡んでいると言う話でした。

伊達家当主の伊達稙宗殿は勤皇、勤幕の方で1522年(大永2年)、幕府から前例の無い陸奥国守護職に任じられたのは以前書いた事が有ると思います。

そんな稙宗殿の嫡男さん、昨年足利義冬さまの偏諱を受けて元服し冬宗殿と名乗られているのですが今年になって恋をしたんだそうです。

思い人の名は久保姫くぼひめ

陸奥国大館城の岩城重隆いわきしげたか殿の娘御です。

冬宗殿16歳、久保姫14歳。

歳を見ればお似合いのお二人なのですが問題がありました。

久保姫には既にお相手が居たのです。

結城義綱ゆうきよしつな殿36歳。

しかし冬宗殿は東北で並ぶもの無き伊達の御曹司です。

許嫁なんてそんなの関係ねぇ~と婚礼の当日、岩城と白河(結城)の中間地点である滑井で待ちうけて兵300を以て花嫁の輿を奪ったそうです。

岩城殿も結城殿も当然怒るよね。

私でも怒ります。

知らせを聞いて花嫁を取り返しに猛追した結城勢を一蹴して悠々と国に花嫁を連れ帰った冬宗君は得意満面だった事でしょう。

もうね、野獣から美少女を救ったぜぇ~って感じじゃないでしょうか?

久保姫の父君である岩城重隆殿は結城義綱殿に申し訳が立たんと娘さんを義絶したそうです。

結城義綱殿もコケにされた伊達家に戦を仕掛けたそうです。

ところが伊達家だけでなく伊達家の縁戚である蘆名家、石川家、二階堂家、相馬氏まで伊達側に加わって袋叩きにされました。

花嫁だけでなく所領まで失った結城義綱殿が公方さまに伊達家の天下惣無事令違反を訴えるのは当たり前と言う訳で、いい年した男が大泣きに公方さまへ訴えている訳ですよ。

かなり精神に来るものがあります。

彼の前で爆笑しなかったのは偏に精神修行の賜物です。

もう少しで悟りが開けるかもしれません。

そんな訳で伊達氏とその一党に対する治罰の御教書が年末を待たず発令されました。

討伐の為の進軍を行う為にも関東の仕置きをさくさく進める必要があります。


山内上杉の上杉憲政殿は上野国半国に当たる7郡(24万石)のみ安堵。

関東管領職は召し上げました。

約55万石から24万石へ減封。(-56%)


北条氏綱殿は伊豆国一円(7万石)のみ安堵。

約48万6千石から7万石へ減封。(-86%)

理由がどうであれ公方さまの実家を潰した罪が問われました。


扇谷上杉の上杉朝定殿は武蔵国の3分の1に当たる7郡(22万2千石)のみ安堵。

約25万石から22万2千石へ減封。(-11%)

武田勝千代の懇願により優遇されてます。


古河公方の足利冬氏殿は下野国の3分の1に当たる3郡(12万5千石)のみ安堵。

約16万石から12万5千石へ減封。(-22%)

足利義冬さまの偏諱を受けている為優遇されています。

又正式に関東公方と承認されました。


宇都宮興綱うつのみやおきつな殿は下野国の3分の1に当たる3郡(12万5千石)のみ安堵。

約18万7千石から12万5千石へ減封。(-33%)

大内家の豊前国国人で同族の城井(宇都宮)長房きいながふさ殿の訴えにより宇都宮家の家政を壟断していた壬生綱房みぶつなふさ殿並びに芳賀高経はがたかつね殿、芳賀高孝はがたかたか殿らを切腹させました。


那須政資なすまさすけ殿は下野国の1郡(4万石)のみ安堵。

約5万石から4万石へ減封。(-20%)


佐竹義篤さたけよしあつ殿は常陸国の4郡(19万2千石)のみ安堵。

約29万石から19万2千石へ減封。(-34%)


部垂義元へたれよしもと殿は常陸国の2郡(9万8千石)を安堵。

佐竹義篤殿のご舎弟で宇留野義元うるのよしもとと言うのが元の名前。

1529年(享禄2年)佐竹家の宿老である小貫俊通殿の部垂へたれ城を攻略し部垂義元と改名したそうです。

内訌の機会を伺っていたようで小田原参陣命令の使者が届くと佐竹義篤殿より早く参陣しました。

で、まぁ~ヘタレと聞いてツボにはまって爆笑が止まらなかったのが私。

本人を目の前にして名前が可笑しくて爆笑したとは言えず、何より厳しい顔が出来なかった為佐竹家の分家として取り上げた旧領をそのまま与える事になりました。


小田政治おだまさはる殿は公方さまの叔父に当たります。

その為常陸国2郡(9万6千石)を本領安堵の上、下総国半国(18万6千石)を加増し28万2千石となりました。(+194%)

又関東管領に任命されました。


鹿島神宮の惣大行事職を務める鹿島治幹かしまうじもと殿は常陸国鹿島郡(4万9千石)を本領安堵。

鹿島治幹殿の一族に塚原城の塚原卜伝殿と言う高名な剣豪が居りまして仕えてもらう替わりに本家の本領安堵となりました。


常陸国の江戸通泰えどみちやす殿は改易。

姪婿の大掾通幹だいじょうみちもと殿に鹿島家を乗っ取らせようとした為。

済州島で5百石にて開拓を命じました。


常陸国の大掾忠幹だいじょうみちもと殿は改易。

実弟の大掾通幹だいじょうみちもと殿に鹿島家を乗っ取らせようとした為。

済州島で5百石にて開拓を命じました。


千葉昌胤ちばまさたね殿は下総半国(18万7千石)のみ安堵。

37万3千石から18万7千石へ減封。(-50%)


小弓公方を自称していた足利義明あしかがよしあき殿は改易。

済州島で5百石にて開拓を命じました。


房総管領を自称した真里谷恕鑑まりやつじょかん殿は改易。

済州島で5百石にて開拓を命じました。


上総武田氏の武田吉信たけだよしのぶ殿は上総国半国(18万石)の所領を上総国一円に加増し37万9千石となりました。

武田氏なので綾小路側として参戦していたのですが水軍衆の暴走でかなりの被害を受けた補償も含まれています。(+110%)


里見義堯さとみよしたか殿は改易。

太平洋第一環礁(ジョストン島)の開拓使として2百貫を給付する事にしました。

白井氏の南海探検において補給などを協力した里見義豊さとみよしとよ殿を殺害した罪により半分流罪ですね。

里見義豊殿の子を里見俊宗さとみとしむねとして元服させ安房国一円4万5千石を任せます。

とは言え未だ4歳ですので上総の武田吉信殿に後見を命じます。


上杉憲政殿の家臣に室町幕府より名族の新田氏の後継として認められている新田岩松家と言う家があります。

しかし戦国の世の習いと言うか1495年(明応4年)岩松尚純いわまつひさずみ殿は陪臣の横瀬成繁、景繁父子と衝突し敗れ強制的に隠居させられました。

横瀬景繁は岩松尚純殿の嫡男、岩松昌純いわまつまさずみ殿を岩松家当主とするも横瀬景繁の子、横瀬泰繁が岩松昌純殿と対立し1529年(享禄2年)に彼を殺害しました。

現在岩松昌純殿の子、岩松氏純いわまつうじずみ殿を擁立していますが上杉憲政殿の家臣である長尾氏らの訴えがあり横瀬一族を誅滅しました。

岩松氏純殿の祖父である岩松尚純殿は私のお師匠さまである宗碩さまの兄弟子の宗長さまに師事した従兄弟弟子に当たります。

又、東国武士の連歌におけるマナーの低さを嘆いて連歌会席式と呼ばれる作法書を記した連歌の功労者でもあります。

奸臣の誅滅後は私の直臣として上野国半国(24万石)を与え仕えてもらう事にしました。


土岐治頼ときはるより殿は美濃国守護の土岐頼芸殿のご舎弟です。

常陸江戸崎の土岐(原)家に養子に行ったのですが頼芸殿には引け目があるので転封とし武蔵国7郡(22万3千石)に加増しました。


過酷な仕置きとなった北条家については対東北戦で戦功が有れば必ず加増すると言う朱印状を与えました。

こんな感じで関東の仕置きは終わりました。

次に越後国、佐渡国の仕置きを始めます。


兄君の上杉定実殿は隠居とし上条定憲殿が越後国守護職に就任されました。

宇佐美定満殿は枇杷島城主に返り咲き越後国守護代に任じられています。

越後一円を領国とされ国人の仕置きはお任せしました。

長尾為景ながおためかげ殿、その嫡子の長尾晴景ながおはるかげ殿、次弟の景康かげやす殿、三弟の景房かげふさ殿は大坂城預かりとなりました。

四弟の虎千代君は私が欲しかったのだけど上条改め上杉定憲殿が養子とされました。

虎千代君の守役には宇佐美定満殿が就いたようです。


佐渡国は本間家が支配していましたが私の密命を受けた松浦興信殿率いる水軍衆の攻撃を受け本家と分家2家仲良く滅亡しました。

そして佐渡国1万7千石は綾小路家の直轄領となった訳ですが、直轄地になった直後より金山が発見されたようです。

この頃、世間では私の事を山師が神さま扱いしていたとか。

甲斐の武田信虎殿への恩賞として南蛮吹きなどの技術供与を行ったり、伊豆一国に閉塞させられた北条家に

土肥鉱山といこうざんなどの伊豆金山群の開発援助をしたからかも知れませんね。

こうして小田原へ参陣した諸侯の仕置きが終わって東洋のトロイア戦争が始まるのでした。







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