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惣上洛の儀。

本膳料理のあたり間違ってたら指摘お願いします。

自信ありません。

1534年(天文3年)4月初旬 山城国 綾小路邸 ~ 山城国 室町第。


綾小路 興俊 17歳


諸侯の惣上洛の期限が迫る中、山科言継さまが二人の僧侶を連れて面会に来られました。

何でも山科言継さまの御養母である父君のご正室の甥御殿。

つまり山科言継さまの義理の従兄弟殿ですね。

そしてもう一方が義理の従兄弟殿のお師さまだそうです。

義理の従兄弟殿を栴岳承芳せんがくしょうほう殿と言い、お師さまを九英承菊きゅうえいしょうぎく殿と仰るそうです。

昨年から建仁寺の常庵龍崇じょうあんりゅうそう上人さまを師として学び、最近妙心寺へ移ってきたのだとか。

常庵龍崇上人さまと言えば詩文で名高い文化人で、東常縁とうつねよりさまの御子息です。

東常縁さまと言う方は二条流歌学を修めた方で、私のお師さまのお師さま、即ち宗祇さまに古今伝授された連歌師と歌人の真祖さまです。

古今伝授半ばの私と栴岳承芳殿は言うなれば兄弟弟子みたいなものです。

永正16年生まれと仰るので私の一つ下ですか?

つまり弟ですね!

私の周りに近い年の方は中々居ないので新鮮です。

弟君!

お兄さんに何でも話してみない。

うちの義姉上をどうにかすると言う相談以外でしたら何でも賜りましょう。

と、弟君の悩み事をお聞きすると、、、

何でも承芳君はとある武家の5男に生まれたらしいです。

武家も公家も長子相続が今は基本ですから、嫡男、次男、三男くらいまではなんとか武家として身を立てる事が出来てもそれ以降の男児は出家して僧侶になるか、どこかへ養子に行くかが普通です。

その為出家して教育係の九英承菊殿と京都の名刹で勉学に励んでいたらしいです。

ところが承芳君の家では数年前にお父上さまが亡くなり、長兄殿が跡を継がれたのは良いそうですが病弱で上洛が難しいのだそうです。

なので亰にいる承芳君を代理出席として認めて頂けないかと、、、

ん~、承芳君の実家ってどこ?

え?駿河遠江守護家?

あ~今川家なのね^^;

もしかして貴方のお母さんって?

旦那さん亡くなってから寿桂尼じゅけいに殿って呼ばれてるって?

あ~はいはい。

前世で死んじゃう前の年に大河ドラマで見ましたよ。

往年の大女優さんが寿桂尼さん演じてましたね。

つまり九英承菊殿が後の太原雪斎殿。

承芳君が今川義元殿なのね。

良いよ良いよ。

君たちが私の帷幕に加わってくれるなら今川家の存続でも何でも許してあげる。

話通り今川家が抵抗せずこちらに降るなら駿河遠江の2ヶ国を本領安堵します。

その場合は東海征路軍の道先案内を務めなさい。

能島村上の村上武吉殿と一緒に関東までの水上補給路を構築して頂きたいですね。

逆に今川家がこちらに従わず抵抗しても存続は許します。

その場合、駿河遠江は取り上げざる得ないけど承芳君を当主としてどこかで今川家を立ててあげます。

と言う感じで未来の代官候補と軍師候補を確保した所で、又、来客が。

播磨守の上条弥五郎定憲殿と宇佐美定満殿の主従です。

今回初陣組の引率をお願しようと思っていたのですが、北陸征路軍の道先案内がしたいそうです。

その功績をもって越後に返り咲きたいと。

まぁ~東征が楽になる事は良い事です。

今回は越中と越後の一向宗も大規模に動員します。

その為の根回しを右田殿と義伯父上の実悟上人さまにお願してありますので相談してください。

いよいよ明日には諸侯が一堂にと思いきや、今度は妙姫とツンツン義姉上さまに呼ばれました。

改まってなんでしょう?と伺うと、、、

なんと出来たらしいです。

そう、私の子どもです。

十月十日と言うから来年の二月か三月頃で生まれるんですね。

まだまだ私がお子さまなので実感が湧きませんが大変うれしいです。

結婚して五年目だから早くはない。

ただ私が忙しくてちっとも嫁さんの所に居つかないから中々出来ないのも仕方が無いと思ってました。

先ずは妙姫!絶対安静だよ。

田代三喜先生に侍医をお願いしなきゃ。

そうそう綺麗な布に、沢山のお湯が必要なんだよね?

酸っぱいものが食べたくなるんだっけ?

妙姫に詰め寄り過ぎてツンツン義姉上さまにパシッと紙でできた警策ハリセンで叩かれるまで我を忘れていました。

たぶんたった今、この世に警策が誕生したんだよ^^;

取りあえず私は役立たずなので乳母の少納言に急使を出して救援要請を出しました。

そんな訳ですっかり翌日の一大イベントの影が薄くなった所で夜が明け当日を迎えました。


全国六六ヶ国の内、五一ヶ国と半国を支配する諸侯や代理の重臣らが一堂に揃う。

大増築した室町第の大広間に収まり切らぬほどの人、人、人。

多分応仁の乱以降初めての快挙です。

諸侯の挨拶を受ける公方さまも大変機嫌が良いようです。

私も公方さまが喜んでくださって嬉しいです。

しかしニコニコされている方だけではありません。

例えば尾張国より参られた斯波義統殿。

判ります。

貴方が本来座るべき席に私が座っていますからね。

本来管領と言う職はお一人です。

それを斯波家、畠山家、細川家の三家が持ち回りで務めて来ました。

しかし、応仁の乱以降先ず斯波家が没落しその後畠山家が没落したので細川家独占の時代が長く続きました。

しかし、その細川家でも家督と管領職を巡る内訌が長く続きます。

その長い騒乱に転機をもたらしたのが1527年(大永7年)の泉乗寺の戦いでした。

この戦いで細川冬元さまと畠山冬堯殿が協力して足利義維(足利義冬)さまに勝利と将軍位をもたらしました。

それによって一つであった管領職が2つになりました。

その後私が魔王に祭り上げられるに及んで私も管領職を頂き管領職が3つになりました。

もともと3管領家だったのですから管領職が3つなら私でなく斯波家と言う気持ちは良く分かります。

特に斯波家は元々3管領家の筆頭だったのですから。

しかし実質織田家の傀儡状態では管領職に任命できないのも事実。

東海征路は総大将が細川さまなのでキチンと武勲をあげる機会は得られると思います。

今回の征伐で武功を上げて欲しいと思ってます。

挨拶が終われば本膳での饗宴です。


先ず公饗の間において式三献を取り行い、その後会所に席を移して料理をお出しします。

式三献と言うのは結婚式の三々九度の式で前世でもやりますよね。


で、席を移して最初に食べるのが雑煮。

お屠蘇(酒)と一緒に雑煮を食べるのはお正月の風習として残ってますね。

正月に食べた正月大饗の名残がその後のお節料理と一緒に残ってるんですね。


次が本膳。

本膳の一の汁は味噌仕立て。

本膳はこの一汁と四菜にご飯と香の物が付きます。


次の膳が本膳より小型の膳で引き落としと言います。

二菜が付きます。

二番目に出す膳ですが汁物を出さないので「二の膳」 と呼ばないそうです。


その次の膳が二の膳。

二の膳にはすまし汁と三菜が付きます。


次の膳も二の膳より小型の引き落としなので汁物が付きません。

二菜が付きます。


その次が三の膳と言いうしお汁と三菜が付きます。


その次に焼き物膳をお出しします。

これは鯛の尾頭付ですね。

鯛はひれを立派に立てることが礼儀で「ひれ立ての事」という盛りつけのきまりがあるそうです。

焼き物膳は脇膳とも言い、与の膳とも言います。

四は死を連想するので与の字を当てるそうです。


次の膳を引き物膳と言います。

口取が盛られたおみやげ用の膳で台引とも言うそうです。

甘いお菓子などが定番です。

これを五の膳とも言います。


この都合七つの膳を規則正しく並べてお出しする訳です。

更にをけ金、亀足きそく金、甲立かわたてと言う飾り付けや、から花と言う造花で見栄えを良くします。

他に食材にも三鳥五魚と言う定め料理があります。

三鳥とは鶴、雉、雁の事を指していて美味しいと評判の定番食材なんですね。

雲雀ひばりしぎさぎなど多くの野鳥、水鳥が食べられていますけど、格式を求めると三鳥となってしまう訳です。

同じように五魚とはこいたいすずきかれいふかだそうです。

料理書の『四條流庖丁書』では、「刺身之事」として鯉は山葵酢、鯛は生姜酢、鱸なら蓼酢など魚によって味付けまで指定されるんです。

どこの美味しんぼだよ!って感じですね。

因みに焼き物膳と引き物膳は箸をつけないで折り詰めにして持ち帰れます。

前世の結婚披露宴の引出物はこの形が変形したモノですね。

後は食べ終わるまで酒が飲めないのが本膳料理の決まり。

飲兵衛はこれだけ食べて、未だ吞めるならどうぞって感じですね。

合計七膳三汁十五菜。

財力を見せつける為だから完食なんて求めて無いけどこんなに並べたら箸が届かないよ。

こんなアホな料理を一日三食、二日間も徳川家康に出したなんて嫌がらせのような気がしますね。

もちろん今回は一食限りですよ。

お腹が満腹なら気分が良くなるのはどこの世界でも一緒です。

完食の上にがぶ飲み始めた強者は置いといて、皆さんに軽く酒を注いで回ります。

特に中山征路でお世話になる人には、こちらが偉いとか言わずしっかりと呑み二ケーション取らないとね。

皆さん宜しくお願いします。

でも、明日は公方さまと一緒に内裏に参内だからあまり飲ませないですね^^;








 



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