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トメ・ピレス。

1534年(天文3年)1月 山城国 綾小路邸。


綾小路 興俊 17歳


上洛すると言う返書が続々来ています。

西国は大友家など大内家と微妙な関係の家も含めてすべての大名から上洛するとの返書を受けました。

しかし、東国は微妙です。

三河の松平家、尾張の斯波家、美濃の土岐家、飛騨加賀の右田・姉小路家、能登の畠山家より以西と甲斐の武田家からは上洛の返書がありましたが、それ以外の大名からは色々言い訳が届いています。

でも言い訳を一つ聞けば、皆聞かなきゃいけなくなるから一律で処分だよね。

一応上洛できる方々には4月で調整をお願しよう。

そのような細々とした調整をしていた所、その他の報告も上がってきました。


先ずは朝鮮王国との通交使の結果。

済州島を日本国が買収する事に同意が得られました。

あちらの宮廷のとって済州島は島流しの場所にしか過ぎない事が大きいようです。

島の大きさもしっかり把握してないかも知れませんね。

しかし遣明船の仲介に関しては完全に失敗したようです。

寧波の乱の後は明国の対日感情が相当悪化した事で私貿易でもトラブルが増えているのだそうです。

具体的には日本商人の足下に付け込み積み荷の代価の支払いを拒否する明側の密貿易者が続出しこちらも自衛上武装を強化して食料と水を補給する為、大陸本土で略奪をするようになっているそうです。

ただしあちらの生活困窮者や失職官史などに手引きさせてるので一方的な略奪になってるそうですが。

てっきり真っ当な商売してると思っていました。

交易船は寧波付近の船山列島を制圧しているそうです。

そして真っ当な交易をしてくれる相手には正当な取引を行ってるようですが、足下見てぼったくりとか支払い拒否をする相手には傭兵を募って村や町を焼き払ったり、城や要塞を落としているようです。

沿岸部の幾つかの湊からは税も納めさせているようで。

そんな事一言も聞いてないよ?

てっきり倭寇狩りの為のギルドと想定してたけど、ふたを開けたらギルドが最大の倭寇と言うオチ?

坊津や山川に九州産の木材や屋久島杉を持ち込んで畿内から呼び寄せた船大工がほとんど休みなく船を作ってるらしいです。

その船が薩摩隼人などの浪人たちに薩摩刀や豊後刀、火縄銃などを持たせて満載し琉球王国に送り出しギルド登録させてるらしいけどこれって侵略って言うんじゃないかな?

その倭寇と言う名の交易で襲った明国の町で南蛮人を捕らえたらしいです。

名前はトメ・ピレス。

1517年にポルトガルの遣明大使として明の広州に上陸して1520年、北京に向かったんだけど前年に同じポルトガル人が倭寇モドキの略奪と奴隷売買をやらかして、マラッカ王国から王都占領の訴えもあって謁見が叶わず広州に戻されて投獄されたそうです。

その後解放されて帰化し広州で嫁さん貰って過ごしていたらしいけど私の交易船に捕まったらしいです。

元々薬種商で父君はジョアン2世、トメ・ピレス殿もアルフォンソ王子の薬剤師を務めていたとかで南蛮語や西欧事情以外にも貴重な情報を持っていそうで良く連れて来てくれたと万歳三唱しちゃいそうでした。

特にポルトガルの給水地や寄港地などの事情が判るのは素晴らしい。

中国人の奥方やお子さんも一緒に亰でお暮しください。

いやと言われても選択肢は差し上げられませんが、それ以外の事だったら可能な限り意に添わせましょう。

済州島は私を襲った方々に入植して頂きましょう。

当然、それだけでは全然人が足りないので一向宗門徒の皆さんで希望される方もどんどん派遣しましょう。

もちろん流刑で無くて入植なので物資などは充分に送るつもりです。

後は硝石をどうするかですね。

今の所、明から密貿易で輸入してますが兎に角高い。

火縄銃で1発撃つだけの火薬で約5文掛かります。

200発撃ったら1貫です。

前世の頃は硝石なんて空気と水と石炭で作れるものだったから産地なんて全然判らないんだよね。

名前でチリ硝石って言葉は地理の時間に習ったけどチリのどこにあるか判らない。

ボーキサイトならまだ判るんだけどね。

取りあえず南蛮船を喜望峰以西に押し戻してインド・アラビア航路を確保して世界中から硝石を集めないといけないね。

鉄と火薬の備蓄量が今後の戦争の勝敗を決めるだろうし、その為には先ず東南アジアから西欧諸国を締め出さねば。

噂ではベトナムの王国が内戦中で分裂してるそうだし小王国や内訌してる国に介入して少しずつ利権を確保するべきでしょう。

水軍衆や国人衆を5千程、現地の傭兵を3万程雇ってマラカを攻略してみようか?

ジョホール王国が攻略した首都の返還を求めたならシンガポール島と交換と言う感じで、イスラム系国家とはなるべく友好的に勢力を伸ばしましょう。

神屋加計さんは海外ギルドの総元締めとして必要だし、綾小路家の商船団運営は彦八郎殿で、国内ギルドの総元締めは主計殿、鉱山経営は寿禎殿、施薬院系は次郎太郎殿。

マラカ攻略の財務方に孫八郎殿を持ってくると東征の財務方が足りないんだよね。

5年、10年後なら唐営の人材を海外ギルドの元締めに使っても良いけど今は無理だしね。

堺の豪商、天王寺屋の津田宗達殿にお願しようか?

動かす米麦は最低でも50万石くらい?

日本海航路を利用して北陸道を進む北軍10万と、太平洋航路を利用して東海道を進む南軍10万。

そして中山道を利用して一番困難な道を進む中軍5万。

併せて25万を想定して物資、武器を集積させましょう。

4月に亰に顔を出さねば終わりです。

諸侯が集った場でお主上さまに公方さまから出師表すいしのひょうを奏上して頂きましょう。

ふむ、文は義姉上に推敲して貰うが吉ですね。

推敲だけでなく奏上の監修もして頂きましょう。

ツンツン貞子姉さまの災厄は義兄上さまや私だけでなく同じ兄弟で分け合わないと。

万里小路家は儒学、文筆、有職故実が家業で左大臣近衛稙家さまと言うか代々近衛家の家令です。

才媛として名高い姉上ならきっと家庭教師の役目を果たしてくださるでしょう。

ついでに万里小路家に義兄上さまと一緒に里帰りされれば感謝と言わずとも、私に対する当たりも少しは和らぐはず。

たぶん、、、







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