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スカウト。

凄く短いです。

でもタイトル的にここで区切るしかないんです。

1531年(享禄4年)正月下旬 安芸国 佐東銀山城。


綾小路 興俊 14歳


今年に入って公方さまより書状が届きました。

一言で言えば、、


「ピンチです。

助けてください。」


ですね。

昨年の播磨での負け戦で柳本冬治殿が亡くなられ小寺氏、別所氏、在田氏の居城を攻められているのは話しましたが、それに伴って浦上氏の庇護を受けていた前将軍さまや前管領の細川高国さまも7月6日に備前国を出立し聖地の高砂泊に着陣されたそうです。

そして7月27日までに在田氏の居城有田城、小寺氏の居城庄山城が落城し小寺政隆殿も戦死、別所就治殿も敗北し三木城から落ち延びていったそうです。

この為播磨国は前将軍方の浦上氏の手中となり、8月27日には摂津に入国し神呪寺城に陣を張ったそうです。これに驚いた細川管領さまはすぐさま伊丹城、富松城に増援を派遣しましたが9月21日に富松城が落城し、増援に出向いていた薬師寺国盛殿は大物城(尼崎城)に逃げ去りまして、更に11月6日には大物城も降伏したそうです。

これは薬師寺国盛が高国軍の快進撃を見て寝返ったからだそうで、流石にここまで来ると(細川、畠山)両管領さまも態度を軟化され、私や三好冬長殿を排斥した首謀者は亡くなられた柳本殿であると責任転嫁し私や冬長殿に京へ戻ってくるよう主張しているそうです。

私にしてもお屋形さまにしても公方さまとは義兄弟の間柄ですし個人的に御恩も有ります。

お屋形さまの許可を得て石見と安芸の国人衆、約12,000を率いて海路より畿内へ進む事にしました。

その時安芸国佐東銀山城に軍勢を集めたのですが国人衆が裏切らないとよう質を出させます。

人質になるのは妻とか娘とか息子とかですね。

私自身はあまりそう言うのが好きでないので嫡男出せやコラ~みたいな事は言いません。

皆を信じてるけど一応作法だからね~みたいな緩い感じですよ。

そんな訳でぞろぞろ連れて来られる人質さんを一人一人面会して留守役の冷泉殿や少納言に任せるんですが、ひとりまだ3歳くらいの小童君がキリって感じで私を睨みつけて言うんです。


「お願いします。

姉ちゃんを助けてください。」


って、、、姉ちゃんって誰?

後ろに控えている少納言が少し怖い顔してるから正確に説明してくれるかな?

と言うか後ろに控えてる質の予定の若い娘さんが怖がってるから、、、

キチンと話して^^;

ほらそこの山県重秋殿、、、蒼い顔して息子を黙らせない。

黙らせると私の誤解が解けないじゃん!!

結局父君の重秋殿に拳骨を喰らったので泣き出してしまい、泣き声で語られても良く判らん。

それを翻訳してくれた重秋殿が言うには、子供の姉君でなく重秋殿の妹君、つまり彼の叔母さんがピンチらしい。

彼、源四郎君にとって姉のような存在だった叔母上は甲斐国の縁戚へ昨年の秋嫁がれたらしい。

しかし嫁がれた早々その旦那さまは止むに止む得ぬ渡世の義理と言う奴で主君への謀反を決めたらしいです。

相手は巨大な甲斐守護家ってちょっと待て!!武田家じゃん!!

その武田信虎殿が山内上杉氏の前関東管領、上杉憲房の正室さんを側室に迎えたんだって。

正室のお子さんには信玄君が居るとは言え子供の扱いは身分が大きい。

幾ら後家だってそんな人を側室に迎えたら内訌必死だよね?

武田家に愛想を尽かして甲府から退去を決めたらしいです。

誰よ?その縁戚のご仁。

えっ?もう一度!!


『飯富兵部少輔虎昌』


貰った~~何としても口説き落とす。

早速お主上に奏上のお手紙を届けます。

要約すると、、、


「身分高き姫君を側室に貶めて我が物にするは乱世の極みです。

又それを諫めた忠臣を攻め立てるのも乱世の極みです。

順逆を正すために勅使の派遣を是非とも宜しくお願いします。

もし信虎殿が忠臣を疎ましく思うのならわたくしが引き取ります。

そう言えば身の危険を感じて何も言わずに下向してしまい大変申し訳ありませんでした。

我が身は中々京に戻れませんが心は常にお主上さまの元に有ります。

お勤めできぬ替わりにせめてもと思い1万貫送りますので、何かにお使いください。

お主上の忠実な臣より。」


うん、こんな感じだよね。

あとはこれが吉と出るか凶と出るか、、、

ではサクサク面会終わらせて東へと進みますか。

あっ、源四郎君は人質じゃなくて今日から私の近習ね。

と言ってもまだ小さいから毛利少輔太郎君が面倒見てね。

バシバシ英才教育だよ。

君たちは将来綾小路家の看板武将になるんだから。

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