表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/69

綾小路家の台所事情。

1529年(享禄2年)2月下旬 筑前国 博多。


綾小路 興俊 12歳


神屋邸に入ると主計殿が出迎えてくれました。

早速管理して頂いている資金の決算報告をして頂く。

一昨年の大永7年の収支が

47,650貫の証文を発行し裏書き手数料として5%を神屋さんに支払っているので50,032貫500文を支払います。

収入が石見銀山の5万貫と荘園や大内家からの援助で200貫なので+167貫500文ですね。

これによって昨年は8600石超の唐船、号して万石船を1隻と千石の和船を2隻手に入れました。

その後万石船は朝鮮、明、琉球との交易に従事してもらっています。

千石船は博多~赤間関~堺の間で荷運びですね。

運用は加計さんにお任せしてます。

昨年は一昨年からの合戦の続きの戦費や悲田院の運営費なども諸々で

44,300貫の証文を発行し神屋さんに46,515貫を支払いました。

収支は+3685貫ですね。

累積3,852貫500文なんですが、少納言に綾小路家が借金をしていたみたいで切り良く500貫返済しました。

と言う訳で享禄元年末での残りは3,352貫500文。

所有船が万石唐船2隻、千石唐船2隻、千石和船6隻と、計10隻の大台に乗りました。

更に今年なんですが、年初めから戦費が良く掛かっています。

約8~9千の兵を40日近く動かしたのでそれだけで2100貫弱掛かっています。

なのに大内家からは2000貫しか戦費を頂けませんでした。

証文の手数料まで面倒は見ないと言うのです。

世知辛いですね~。

その他の大きな出費に、

石見銀山の代官屋敷や大小5つの築城費併せて7000貫

悲田院運営費5000貫

毛利元就殿の報奨費5000貫

等と続き既に47,727貫、手数料併せて50,113貫350文に達しています。

それなのに今年も万石唐船は2隻発注できず、1隻と千石和船2隻しか発注出来ませんでした。

ただ、昨年の交易や廻船業による運上金収入が未だ入ってきてないので大きな戦をしなければ赤字にはならないだろうと言う話でした。

軍費の話と言えば飛騨の国に派遣している3千の兵隊さん、かれこれ1年半も派遣し続けています。

駐留費用は計8,100貫、その他に西村何某勢対処の為に3,000貫程使用しており戦費として与えた11,350貫もほとんど使い切っています。

しかしこの1年半の駐留で飛騨国は姉小路家でほぼ纏まりました。

流石に石高3万8千石の飛騨国。

貫高に直してGDP1万9千貫5公5民で実収が9,500貫と言う地方で、5,000貫の軍役をそのまま彼らの年収近くの軍費費やして1年中戦させたんです。

1年半も付き合えば大抵の国人は破滅しますね。

それで国が荒廃したかと言えばそうでも無さそうで、周辺諸国から大量の物資が金遣いの荒い姉小路勢に流れ込みその割に無理攻めしないのでお金が民衆に景気良く落ちて地方振興策になっているそうです。

その為今しばらく安全と国内の立て直しの為に軍を駐留させて欲しいと嘆願されました。

大統領のカードさんなら嫌だと言いそうですけど、私は中々嫌だと言えない日本人なので取り敢えず年末までの戦費を手数料込みで4,475貫の予算を付けました。


と、面倒な決算報告と予算編成をしてる所に神屋寿禎さんが見かけない方を連れてやってきました。

何でも朝鮮から灰吹き法を学んだと言う技術者の宗丹さんと桂寿さんを紹介してくださいました。

これにより今まで低品質で採算の合わなかった鉱石からも銀や金が取れ、精錬技術が凄く発展するとの事。

凄くうれしい知らせです。

寿禎さんには特別ボーナスを差し上げるようお屋形さまや吉見殿に話しておきましょう。

更に明国との私貿易で東南アジア諸国からの有益な情報を仕入れて来てくださいました。

驚いた事に南蛮人(ポルトガル人)が既に東南アジアに来ていたのです。

1511年(永正8年)に南蛮人はマラカ(マラッカ)王国の首都マラカを攻撃し占領したそうです。

しかし、マラカの歴代王の墓石を要塞建築に使ったりと無茶苦茶な為マラカ王が激怒して5回にも及ぶ首都奪回の軍を起こしたそうですが全て敗北し失意のうちに亡くなったそうです。

マラカ王国は明の朝貢国である為にこの南蛮人の暴虐に明も激怒しポルトガルのマラカの湊に立ち寄る明船も激減しマラカの町は衰退の一途だとか。

そして昨年、亡くなったマラカ王の長男が旧マラカ王国の北部にペラク王国を、次男が南部にジョホール王国を、他にもマラカ王族の一人が前世のミンダナオ島辺りにマギンダナオ王国を建国し3つに分裂したそうです。

大体マレー半島の北部にペラク、中部にポルトガル、南部にジョホールと言う感じらしいです。

で、対岸のスマトラ半島北部のアチェ王国がポルトガルやジョホール王国を攻撃してポルトガルの占領地も幾つか落とされたとか、、、ポルトガルはシャム(タイ)のアユタヤ朝やビルマ(ミャンマー)のペグー朝と友好を結び交易してるとの事でした。

これはもう接触するしか無いでしょう。

採算度外視で鉄砲や羅針盤や航海地図や造船技術等欲しいものは沢山あります。

千石和船2隻の発注を取りやめて3千貫の資金を捻りだします。

それだけでは足りないので神屋主計殿に1万貫を利子2千貫で借り受けます。

私との手数料収入だけでも7千貫以上、造船などでの利益を併せたらその倍以上利益は頂いているとの事で快く貸してくださいました。

何でも東南アジアの流通貨幣は明銭なんだとかで、市中から安く明銭を仕入れてそれを原資にマレー半島に船を派遣する予定です。

実用的な羅針盤は明を訪れたポルトガル人が献上したとかで鉄砲や羅針盤は購入できない事は無いと思うのですが、航海図や造船技術は絶対無理でしょう。

派遣船に忍者を乗せたいです。

忍者って何処で雇えるんでしょう?

忍者ならシュバッとかドロンとかの効果音と共に機密情報を盗んで来てくれる気がします。

伊賀とか甲賀のような有名どころじゃ無ければ河原者さんが主流でしたっけ?

尼子氏とか甲斐の武田氏なんかの忍者は巫女さんや商人に扮してとか聞いたような?

博多に作られた悲田院の責任者さんに問い合わせてみましょう。

と言う訳で博多の悲田院に訪れて責任者さんに忍びの技術を持った人を紹介して欲しいとお願したら、具体的に何を為さりたいのか?と問われので外国での諜報員エージェント特殊工作・・・・が業務で、海外での長期出張なので報酬に出張手当も奮発しますと答えたら、お役目を頂ける上にそのような待遇まで、、、とかなんか凄い感激されました。

悲田院が管理する周辺の溜めに声を掛けて頂いたらほとんどすべての人が応募すると言う凄い事に。

とても面接なんて出来ないし、そもそも必要な人数も判らない訳で博多の悲田院の責任者さんを頭領として丸ごと1,000貫の知行で雇う事にしました。

だってとても採用予定若干名と言える雰囲気じゃなかったんです。

まぁ~意欲は凄くありそうだったので、精鋭を派遣してくれる事を祈りましょう。

こうしてどんどん固定費が上昇して綾小路家の家計が逼迫してくんですね。

最低でも中国語は必修と言う事で昨年出版された中国語の音節表『韻鏡(いんきょう)』を貸し与えたんですけど皆さん必死で勉強してましたよ。

私の場合語学学習の思い出と言えば、前世の大学生時代がバブルの真っただ中で女の子にモテるならレストランでフランス語くらい話せなきゃと第2外国語で仏語取ったのに流行はフレンチじゃなくてイタリアン、、、モチベーションがダダ下がりで単位落としそうだったですね。。

もっとも冷戦終結でこれからはロシア語の時代だと単位説明会の露語講師の話を真に受けて授業初日にキリル文字見て終わったと悟った奴らよりは成績が良かったけどね。

なんか前世の学生と必死さが違うから向こう(東南アジア)に行ったらポルトガル語も難なく取得して帰ってきてくれそう。

思わず期待しちゃいます。

取りあえず加計さんに船の事は任せて先ず周防の大内館を目指して旅立ちます。

大内館に着いたらいよいよ京の都ですね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ