二十二章
簡単な説明を受け、十数人の女の子たちと一緒に私たちはステージに並んだ。女の子たちは確かに挙ってお洒落でかわいい。雪乃ちゃんは遠目にも緊張していることが丸わかりな程青白く固まっていたけれど、手を握ってどうにかステージへと一緒に並ばせた。するとそこには思った以上の観客が集っていた。ライブハウスでの経験がある私でさえ、一瞬たじろいだくらいだ。凡そ百名にもなろうかという男子学生が、ぴかぴか光る棒のようなものを持ちながらああだこうだと騒いでいた。
一番の番号札を付け、最初に自己紹介を命ぜられたアイドルみたいな子は、髪に花を飾り、チュールのミニスカートを着用していた。舌足らずな口調で、お洋服の説明をし、その後アイドルの曲を掛けてもらい、踊った。次の子も、その次の子も、アイドルみたいな子ばかりだった。披露する演目は新体操だったり、ヒップホップだったり、手品の子もいたけれど、どの子もキラキラした明るい子たちばかりで、何かを言うたび、演じるたびに、観客は「うおー」と野太い歓声を上げた。デスメタルだったら、女が出てきた瞬間に罵声が飛ぶのに、何という違いだろう、と私は溜息が出た。その矢先に、私たちの出番が来た。先ずは、とりあえず自己紹介だ。
「私たちは、文学学群の一年生です。私たち、とっても仲良しで、一緒にお買い物に行って、二人してとっても気に入って買いました。でも、今日ここには急遽出場することとなったので、ここでお見せできる技は用意していないのです。ごめんなさい。でも!」私はここぞとばかりに声を張り上げた。「今日五時から、湖上ステージでライブをします! トリです! トリということは、学園祭実行委員さんに、エントリーしたバンドの中で一番素晴らしい曲だと認められたということだと思います! そして、本当に素敵な曲なんです! 私、弾きながら毎回感動するんです! 皆さん是非来て下さい!」
隣で雪乃ちゃんも必死に何度も肯いた。そして、遂に大声で目を瞑って叫んだ。「絶対、来た方がいいでーすっ!」
観客たちが「おおー」とどよめいた。
「雪乃ちゃん、ありがとう。これでたくさんのお客さんが来てくれるはずだわ。」
ステージを降りると、私はそう言って雪乃ちゃんを抱き締めた。まだ緊張からか震えが残っていた。無理をさせてごめんね、ありがとう、という思いを込めて、もう一度強く抱き締める。
ファッション・コンテストに出ることとなってしまった為に、その後の予定の幾つかを繰り上げて、湖上ステージ前での再会を約束し、私は再びサークル棟へと戻った。ギターとエフェクターボードを引っ提げて、ステージへと向かう。そこでは既に他のバンドのライブが始まっていた。小野瀬に似合いそうな爽やかなパンクバンドが、大勢の観客を相手にぴょんぴょんと飛び跳ねている。私はこっそりと裏手へと回った。




