幕間 淫婦の目覚め
ふ、はぁ、は、はははははははははははははははは!
何これ!?
何これ!
何これぇ!
私、生まれ変わった?
あははははははははは!
やっぱり神様っているのよ!
イケメン達にチヤホヤされる美少女の私を妬んで、イジメなんてクソくだらないことしかできないブスでアホな奴らのせいで引きこもりになった私を生まれ変わらせてくれなのよ!
それも『君華』の世界なら言うことはないわ!
引きこもってる間、こればっかりやってた。
一字一句台詞を覚えるぐらいやり込んだ。
設定なんてそらんじられる。
王族の長子、イフェリウス=ケド=ロマリア様。
武官最高位に着くヘット公爵家の長男、トラクス様。
暗部を取り纏めるアイン伯爵家の長男、ポロプス様。
第一騎士団長のメム伯爵家の次男、アリウス様。
宰相のシン侯爵家次男、セクール様。
彼ら一人一人と結ばれる個別エンドは何度も見たがどこか満たされない。
逆ハールートだけだ。
心を満たしてくれたのは。
主人公に自分を重ねる。
その間だけは現実を忘れられる。
親も!
学校も!
何もかも全部!
何よ!
誰でもよかったわけじゃない!
美少女の私にはイケメンが相応しいのよ!
それなのにどいつもこいつも『そんな女なんて知らなかった・・・』『もうお前とは会いたくない!』なんて言い出す!
美少女たる私の体であなた達だっていい思いしたじゃない!
何度も何度も求めたのはあなた達じゃない!
それなのに淫行がバレた途端手の平返して!
大なり小なり誰だってヤッてることじゃない!
何で私だけなのよ!
委員長だって月末にラブホに彼氏と入浸っているの知ってるのよ!
委員長だけじゃない!
他にもヤッてる奴らはいるのに何で私だけつるし上げを食らうのよ!
何で私だけ皆にいじめられるのよ!
不公平でしょ!
・・・だけど今ならわかる!
私は『君華』の世界で逆ハーレムで幸せになるために現世で過酷な目に遭ったのだと!
フレアなんて名前は気に入らない。
前世とは比べようもない慎ましい胸も我慢できる。
だって私はイフェリウス様と結ばれて王妃様になるのだから。
イベントも望まれている言葉も何もかも網羅している。
トラクス様、ポプロス様、アリウス様、セクール様。
全員私の虜にしてやる!
前世より更に美少女になった私なら出来る!
今度こそ最高の人生を歩んでやる!
それなのに!
今度の人生でもやることなすことにケチをつける馬鹿がいる!
何でめんどくさい礼儀作法を完璧に覚えなきゃいけないのよ!
適当でいいでしょ!
他にも爵位を持つ家を全部覚えろなんて!
全部覚えられるわけ無いじゃない!
モブの家なんて覚えるだけ無駄よ!
無駄!
私は主人公よ!
こんなこと覚えなくても攻略対象者は私の虜にしてみせるわよ!
私が王妃になったら子爵家なんか公爵家にまで大きくしてあげるわよ!
それなのに皆口を揃えて『子爵令嬢が王妃になるなど無理です!』なんていう。
・・・ふふふ。
イフェリウス様を惚れさせたら彼は私にベタ甘になる。
この国の王太子たるイフェリウス様に逆らえる者などごくわずか。
きっと無理を通して道理を引っ込めてくれるはずよ。
そうなったらこいつらなんかクビにしてやる!
フケイザイってヤツよ!
あー!
早く学院始まらないかしら!
十五歳になる私は今年から学院に通う。
あと十日で入学になる。
待ち遠しいわ!
『君と咲かせる愛の華』の舞台で私は主人公として咲き誇ってみせる!!




