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第23話 魔女の招待(強制)

側室ルイーダ。

カウリー伯爵家の側室に生ませた三女。

父親や兄たちを戦と病で次々と亡くした不幸の人。

女ながらに近衛騎士団の参謀を務めていたがこれを機に退団。

カウリー伯爵家の女当主になる。

そう、女当主。

婿を迎えるんじゃなく自分が当主に納まったのだ。

当時はかなり叩かれたみたいだが外交面で卓越した手腕を発揮すると誰も文句を言わなくなった。

周辺国のやり手どもが『ロマリアの魔女』と呼んで天敵や天魔のごとく恐れたのだからさもあらん。

なのにこの女傑からなんでイフェリウス(バカ)が生まれてきたのやら・・・。



今日はその『ロマリアの魔女』からの呼び出し日。

何を詰問されるのかな・・・?



部屋の空気がスゴク悪いです!

対面に座るルイーダ様の口元はほころんでいるのに目がまったく笑っていません!

むしろ抜き身の刃のようです!

四十目前のはずなのに見た目二十代で通じそうなところが魔女っぽくてコワイです!

様子をうかがう僕ちゃんが気に入らないのか机を蹴りました!

しかも二回も!

何でこんなに攻撃的なの!?



「ふぅ」

やっと落ち着いたのかな?

「フレデリックよ」

はい、なんでしょう?

「御主と腹芸をするだけ無駄じゃから単刀直入に聞こう」

はい。

「なぜ玉座に手を伸ばさなかった?」



「御主なら出来たはずじゃ! 帝国の遠征軍を鏖殺し国境を万全にした! 今後の交渉を進めるにあたりこれは強力な手札じゃ! この功績を持って玉座に手を伸ばすことが出来たはずじゃ! エグザリス派がそれも止む無しと思っていたのを知らぬとは言わせぬぞ! エグザリスは治世においては名君になれようがこの戦国乱世では食われるわ! 強い者が残らねば! 強い者が率いねば! フレデリックよ! 御主はこのロマリアをどうする気じゃ!」

・・・ルイーダ様、俺が立太子したと仮定しましょう。

「うむ」

早けりゃ三年、遅くとも五年です。

「何がじゃ?」

ロマリアが滅びる時間ですよ。



「なん・・・じゃと!?」

今のロマリアには俺が鍛え上げた一軍を預けるに値する将たちが何人もいます。

しかも忠義が篤く信頼できます。

ですがそれに比べて圧倒的に足りないものがあります。

なんだと思います?

「兵か? 物資か?」

いえいえ、そんなものじゃありませんよ。

人材ですよ。

じ・ん・ざ・い。

「御主さっきは将が何人もいると申したではないか?」

それでも足りないんですよ将が。

そしてそれ以上に足りないものがあります。

「・・・なんじゃ?」

それらの将をまとめる総大将、すいです。

残念ながらこの帥を務めることが出来るのは今のロマリアには俺しかいない。

現存の将から何人かは育てていますが少なくともあと十年はかかる。

俺が立太子すると王城に詰めなけりゃならなくなる。

前線に行くこともままならない。

さて、そうなると何が起こるか?

「・・・」

今度の敗戦で帝国は拡大していた戦線が膠着状態に陥るでしょう。

それぐらいロマリアとの戦で負けたというのは痛い失態なんですよ。

で、膠着状態に陥った諸外国を降すのに一年弱かな?

そこから国境を万全にするのに二年?

そしてロマリアへ向けて今度こそ帝国全軍で進撃かな?

名誉挽回のために。

たぶん・・・十五万から二十万が押し寄せてくるぜ?

「!?」

で、この大軍を少ない将で押し返せるか?

無理ですよ。

帥たる俺が前線にいないのに。

籠城してもこの大軍です。

各個撃破されて終わりますよ。

そしてロマリアを灰燼にするまで破壊の限りを尽くしますよ。

見せしめのために。

「・・・見せしめじゃと?」

『自分たちに逆らったらこういう目にあうんだぞ。文化、風習、何もかもすべて失うんだぞ。嫌だったら帝国に帰順しろ! 降れ!』って具合?

「・・・・・・」

だから俺は軍部の掌握に努めたんですよ。

祖国存亡に関わる重要な情報を平気で握りつぶすイフェリウス派を排除して俺の派閥で染め上げるために。

玉座?

それにこだわって祖国滅亡なんて憂き目に遭うわけにはいかないんですよ。

国益を最優先にする『ロマリアの魔女』ルイーダ様、そんな『損失』を許容できますか?

出来ないでしょう?

だから現状が最善なんですよ。

「・・・最近エグザリスが数日がかりで遠出をしておる。それも何度も。その準備かえ?」

えぇ、エグザリス様こそ帝国大軍を打ち破る勝利の鍵ですから。

「陛下は知っておるのかえ?」

勿論です。

「妾も助力しよう。御主が引いた絵図面を見せい」



ルイーダ様、目をつむってもう一時間以上黙ってるなぁ・・・。

「・・・・・・」

腹を痛めて生んだ我が子の扱いが気に入りませんか?

「うん? あぁ、そこか。そこはどうでも良いのじゃ。」

どうでも良いとは?

「とっくの昔に見限っておるわえ。奴はダメじゃ。まかり間違っても玉座には着けられん」

・・・・・・。

「腕っぷしを誇っておるがそれとて町の破落戸(ごろつき)を相手にじゃ。将はおろか兵も務まらぬわ」

・・・・・・。

「知っておるかえ? 奴は貴族御用達の娼館に入浸って胤をばらまいておる。王家の血を軽んずるわけにはいかんゆえに内々に手は打っておるがの」

あのバカ・・・。

「ゆえにイフェリウスを廃嫡させてエグザリスを玉座に着ける。そして御主は国防に全力を注ぐ。妾も全面的に協力しよう。ただし一つ条件をつけさせよ」

「我が子イフェリウスは永蟄居ではなく処刑せい」

・・・・・・思い切りますねぇ。

理由を聞いても?

「妾の体には王家の血が流れておる。陛下と妾はいとこ同士じゃ。」

!?

「故に妾は国益を最優先にする。我が子でも例外はない。イフェリウスとその派閥は国の害悪になりつつある。国を守れて害悪を排除できる。まさに一石二鳥じゃ。」

そう言ってルイーダ様は立ち上がり俺に深々と礼をする。

「ロマリアのためになにとぞ尽力を願う。フレデリック将帥」

お引き受けします。

ルイーダ様。


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