第18話 伝授継承
クソ!
指一つ動かせねぇ・・・。
気を抜くと意識がトビそうだ・・・。
前後不覚で自分の状況すら把握できない・・・
このまま・・・死ぬのか・・・?
?
今、俺は何を飲み込んだ?
!?
今、一瞬激痛が体を走ったのにそれがすぐに無くなった!?
目の焦点がまだ合わねぇ・・・!
『気・・・た・・・だな。』
!?
誰だ!?
『ま・・・りぬ・・・。』
そうだ・・・、俺はさっきまでヒュペリオンと・・・!
『もっ・・・そ・・・。』
目の焦点が合ってきた・・・!
五感も戻ってきた・・・!
体は・・・まだ動かねぇ・・・!
!!
目に飛び込んできたのはヒュペリオンの姿。
それもかなりの至近距離。
・・・抱き起こされている!?
何だ!?
何が起きたんだ!?
さっきまでヒュペリオンと真剣勝負していたはずだ!
そのヒュペリオンが俺を何で抱き起こしている!?
あっ!
僕の額冠が無い!
虚ろな目をしていない!
・・・?
何だ?
体が熱い?
俺の体に何が・・・。
!?
視線を体に向けるとヒュペリオンの右手から神の血が流れ落ちている。
それが満遍なく俺の体に降り注がれている!?
脚、胴体、腕、頭・・・。
まさか・・・さっき飲み込んだのは神の血!?
視界の端には神の血に塗れた鳳嘴刀が見える。
だ、大丈夫だから!
俺には不死鳥の権能、治癒と再生が・・・!
『太陽神の権能は不死鳥の権能を超える。現に貴公は死にかけていた』
・・・・・・。
『これで命はつなぎ止めた。私に残された時間は残り少ない。貴公が持っている武器や道具をすべて出せ。神の血を注いで神具にする』
!?
なんで・・・!?
しんぐ?
何が・・・!?
『速くしろ! この世界に施された封印が働けば私は元の世界に送還される! その間流れ落ちる我が血を無駄にするつもりか!』
あー! もう!
出します!
出せば良いんでしょう!
ヒュペリオンは俺が空間収納から出した聖炎の赤竜王様の鱗や皮、炎蛇の武具、朱鳳刀、炎の剣、鳳嘴刀等々に神の血を降り注いでいる。
これでただでさえ強力な武具が更に強大な力を秘めたことになる。
さすがは神の血。
その神の血を浴びた俺の体はと言えば完全に快癒している。
おっ。
満足したのかこっちを見たぞ。
『これでこれらの武具は神具となった。我が権能に応えてくれるだろう』
?
それは・・・?
どういう意味だ・・・?
『今更もう一つ権能が増えても問題あるまい?』
そう言って快癒している俺の体に神の血を注ぎ始める。
『貴公には我が権能を受け継いでもらう。』
!?
俺には雷霆や精霊王の権能が・・・!
『・・・僕の額冠が破壊されたとき私はすぐにでも復讐のために化け物を殺しに行こうと思った。だが、私には殺すことは出来ても滅ぼすことは出来ない。奴の魂までも滅却させるには雷霆の力が必要だ。この世界でそれが出来るのは貴公のみだ。その貴公が死にかけている。ならば取れる術は一つ。我が神の血で命をつなぎ止め太陽神の権能を受け継がせることだ。私の代わりにあの化け物を抹殺して生まれ変わることすら出来ないように雷霆で魂を爆砕して塵も残さず焼き尽くしてほしいのだ』
邪神討伐は言われなくてもやります!
だからそれ以上神の血を流すのは止めてください!
このまま流し続けたら御身は・・・!!
『神の心配など不要だ。貴公は一口でも多く神の血を飲むのだ。一滴でも多く神の血を浴びるのだ。そして我が権能を受け継ぐのだ』
しかし!!
『・・・そういえば貴公の名を伺っていないな』
・・・フレデリック=ケテル=ロマリア。
ここ、ロマリア王国の第三王子です。
『歳は?』
・・・十二です。
『その歳で神を滅ぼす定めを背負わせたか・・・。許せ・・・』
許すも何も邪神討伐は俺の意思です!
だから・・・。
『ふふふ・・・。あれは邪神などという上等なものでは無い。あれはただの化け物よ』
ヒュペリオンの体から光の粒子が舞い始める。
『どうやら送還されるようだな・・・。よいかフレデリック。ここから更に北に進め。そこに秘匿された神殿がある。今のお前なら奴の存在を感知できるはずだ。さぁ、口を開けよ。一滴でも多く我が神の血を飲み干せ! 太陽神の権能を受け継ぐのだ!』




