幕間 解放
体中を雷が走っていった。
そのおかげで額にはめられた忌々しい呪具も破壊されて自分を取り戻すことが出来た。
さすがは全知全能の雷霆。
だが、それ以上に驚きなのは目の前に倒れ伏している人の子だ。
神を相手に怯むこと無く向かってくる勇気。
普通であれば蛮勇として痴れ者呼ばわりだろう。
だが、今だからこそわかる。
背負ってきたのだ。
思いを。
約束を。
願いを。
この世界の封印が働き始めている・・・。
暫し時を置けば私はこの世界から弾かれ元の世界に還れるだろう。
だが、それでいいのか?
唯一神を名乗るあの化け物のせいでこの世界はどうなった?
目の前の人の子は神々の思いを背負ってここまで来た。
この世界の多くの信仰対象達との約束を果たす為にここまで来た。
ここ一帯の人々の願いを受けてここまで来た。
それがわかる。
わかってしまう。
それだけのことをしたのだ。
この人の子が来なければあの化け物の傀儡として私はどうなっていた?
駒としてどうなっていた?
私も恐怖の化け物に成り下がっていたのでは無いか?
それを考えれば目の前の人の子は私(神)を救った勇者。
!?
命の火が消えかけている・・・!
このままにしてはおけない!
化け物を殺しに行く時間は十二分にある。
だが、それをすればこの小さき勇者は確実に死ぬ。
斯くなる上は・・・。




