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プロローグ
<極夜戦争>
トート紀八○七年、人々は混迷の中にいた。悪魔と契約する者が後を絶たず、やがて戦争に魔法の力が用いられた。人々が私欲のために押し広げた魔界との道を封じる術は無く、多くの者が悪魔や魔物の手にかかり命を落とした。争っていた人々は結集し、団結し、共に魔界を封じる戦いを繰り広げた。人類にとって長き夜の日々、<極夜戦争>である。
やがて勇気ある者たちの力と犠牲により、魔界は封じられた。それ以降、人々が魔法の力を使うことは不可能になり、人類は自立の未知を歩むことになる。
(中略)
この戦いの中心となった戦士たちを、トート紀の古語で”勇気”の意である、「グロスクロイツ」と呼んだ。彼らが祖となり、グロスクロイツ王国は築かれた。これが、グロスクロイツ紀元年である。以降、グロスクロイツ王国を中心として世界の復興は進み、現在に至る。
(グロスクロイツ紀三九七年発行 「創世記 第三稿」)