私の初恋
不意に私は空を見上げた。
秋田雪穂。高校二年。
私は幼いころの思い出を思い出した。
私は幼いころから体が弱く病院で入退院を繰り返していた。
だから友達もいたことも無く両親は海外出張のためお見舞いに来る人はあまりいなかった。
そんなある日。
「今日も一人...。もう嫌だよ...。」
一人、ベンチで泣いていた。
その時...
「君...大丈夫?」
泣いていた私の顔を覗き込んできた。
「え...?」
私は顔を上げるとそこにはにっこりと微笑んだ彼がいた。
「はい。これハンカチ!」
「え...。あ、ありがとう...。」
差し出されたハンカチはとてもいい匂いがした。
彼は暖かいその手で私の頭を撫でた。
「もう大丈夫だよ。泣かないで。」
その笑顔が夕日に照らされてとても綺麗だった。
「あ、あの...あ、ありがとう...。」
照れながらも私は聞こえる程度の小さい声でお礼を言った。
彼は笑顔でうん!って言うと去って行った。
まだ残っている暖かさが余計私の心をバクバクさせた。
それから彼とはそれ以来会っていない。
もう一度会いたくて...会いたくて...。
だけど会えないうちに時は過ぎて行った。
それが私の初恋だった。