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人生ゲーム  作者: 唐木勇士
4/5

試練

「ここのエリアは一体・・・」



四人の前には不気味なコースが立ちはだかった。



「ここはお前達の職業を決めるエリアだ。ワクワクするだろ?」



「くっそ、そんな事まで・・・」


ルーレットの結果


翔、公務員

勇司、土木建築士

信吾、製造業

香織、フリーター



「ふざけないで!!私の人生なんだから私が決める!!」



香織はラークに訴えた。


香織には、夢があった。看護師になって多くの患者を救いたいという立派な夢が。

その為に残り少ない学校生活の中で、学校受験の為に勉強をしていたのであった。

しかし・・・



香織は試験に落ちてしまった。理由は定かではないが、不景気の為、急激な倍率の上昇が原因ではないかというのが進路担任の見解であった。



その夜、翔は香織の側に寄り添っていた。くしゃくしゃの受験票を握りしめながら泣き崩れる香織に対し、翔は励ましの言葉をかけてあげられなかった。

ただ、黙って手を握っていた。



「あいつさえ現れなければ・・・」



翔が唯一口に出したセリフだった・・・



「よし、絶対6に当ててやるぞ!」



その日の信吾はやけに張り切っていた。翔達が6マス先に目をやると、(宝くじに当たる100万もらう)と書かれていた。



「これで、お袋達に親孝行でもしてやるかな!」


矢を構えながら信吾は言った。



「お前・・・」



流石の翔達もうるっときた様だ。


バシッ



「10かよ、ちぇっ」



残念そうに信吾はマスを進んだ。


しかし・・・


内容は信吾の期待とは裏腹であった。


「か、火災でい、家を失う・・・」


信吾の声は震えていた。



「どうしたんだよ、信っ」



駆けながらしゃべっている翔の声を遮断して信吾は泣きながら叫んだ。



「な、何でだよ!!頼むから家族だけは・・・」




信吾の両親は二人共、体が弱かった。家も貧しく、その事で小学校の時はよく苛めを受けていた。欲しい物があっても信吾はいつも我慢をしていた。


「家の子はとても強く、優しい子なんです」


家庭訪問の時、母が泣きながら、先生に話していたのを信吾は涙をこらえ陰で聞いていた。


その時、信吾は心に強く誓った。

俺がいつか家族を幸せにする・・・と。



「火事・・・」



「う、嘘だろ・・・」翔達は目を疑った。



「ごめんなお袋、

俺、何もしてあげられなかった」


信吾の膝には沢山の雫が落ちた。


「信吾君・・・」


香織は黙って信吾の手を握った。



「はっ!!」


翔はサイレンの音で目を覚ました。


「ま、まさか!!!」


慌てて外を見た。

真っ暗な街の中に、1ヶ所だけ真っ赤な場所があった。



慌てて外を飛び出し翔は走った。



そこはやはり、信吾の家であった。

消防車、救急車の音に便乗し、野次馬達が群がっていた。



「信吾~~」


「危険ですから近づかないで下さい!!!」


「離せ、中に俺の親友が!!」


「今、救助隊が中に入ってますから!!!!!」



「う、う・・・」



翔はその場で膝から崩れ落ち、ひたすら泣き続けた。



次の日、学校で緊急集会が開かれた。信吾含め両親共に、帰らぬ人となった。


校長先生のその言葉に、どれだけの人が泣いたであろうか。

その日は、半日で学校は終わった。



「何であいつがこんな事に・・」


「へらへらしてたけど良い奴だったよな・・・」


「ゆ、許さない!!!」



翔達は信吾の遺影の前で誓った。


絶対に生き抜いてやると。


「おやおや、一人脱落かね、残念だね~」


ラークは他人事であるかの様な表情であった。



「てめぇ~ぶっ殺してやる!!!」


翔と勇司はラークめがけて走り出した。


「やれ!!」


ラークの一言で再び何者かが二人を取り押さえた。



バチバチッ


「うわぁぁ~」



翔達の悲鳴が響いた。


「俺達はあいつに誓ったんだ!!絶対に諦めないって!!」


翔のその言葉は、他の二人にはいつにもなく、頼もしく聞こえた。



「だっから、自分の力で道を切り開け!!このゲームを制覇してみよ!!!」



この瞬間、翔は全てが繋がった。



「まさか、最初の俺の夢に出てきたあの男も・・・」


翔は不思議と、冷静な気持ちになった。その時、翔の心に信吾の声が聞こえた。


「俺は本当の意味での強い男になってやる!!」


生前、信吾がよく言っていた言葉であった。



どれくらい沈黙が続いたのであろうか。翔がゆっくり話し始めた。



「確かに、俺達人間は地球を破壊してきた。己の文明の事ばかりを考え、争い様々な命を奪ってきた。皮肉な事に、今更己の愚かさを思いしらされてきた。しかし、今は地球、生命の尊さを知り、緑化活動・Co2削減等様々な活動に取り組んでいる。だから、もう一度俺達の事を見守っていてくれないか?」



「わかった、しかし、ゲームを途中で放棄する事はできない」



「わかってる、だから、ここで誓え!もう2度とこんな事はしないと・・・」



「今回で見納めという事か、よかろう」


ラークも翔同様、ゆっくり答えた。

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