神々の悪戯
「人生ゲーム!?」
四人共思わず首をかしげた。
「お主達も一度はやった事があるだろう?」
ラークは不気味に笑いながら言った。
勇司は叫んだ。
「ふざけるな!!何で俺達がそんな事しなきゃなんねぇんだよ!!!」
「お主達は神の存在を信じてるか?本来、神という者は多く存在する。山の神、海の神、空の神という様にその数は多岐にわたる。私もその一人だ。」
「そ、それが何の関係があるっていうんだよ!!!」
思わず翔もつっかかった。
その瞬間、ラークの声が一気に強くなった。
「お主達のせいで、多くの神が泣いておる。木を切り、水を汚し、多くの物が破壊された。本来私は、善の神であった。しかし、多くの神々の悲しむ姿を見て私も同様に悲しんだ。しかし人間共は反省するどころか、破壊活動を止めなかった。さらに、妬み僻みという人間の負の感情のせいで私は姿を変えてしまった。これは、私達からの復讐だ!!!」
四人共、何も言い返すことはできなかった。ただひたすら、唇を噛みしめていた。
「さて、早速ルールを説明しよう。まず、正面に矢があるだろう?。その矢を、その先のルーレットに当てる。当たった数字の数だけ、地面に描かれているマスの上を渡る。そう、自分自身が駒となる。」
ラークはゆっくりとした口調で語った。
四人の視線の先には、1~10の数字が書かれたルーレットがあった。
「はぁ、面倒くせぇ事に巻き込まれたもんだぜ!!」
信吾が呆れた表情で声を漏らした。
「夢の中でゲームとか、やってられっか!!!早く元の世界に戻せや!!!」
勇司が喧嘩口調で怒鳴った。
すると、背後から何者かが走ってきた。
「うゎゎゎ~」
勇司の叫び声が響いた。
その光景に他の三人共、思わず硬直してしまった。
「ス、スタンガン!!!!」
翔が口に手を当てた。
「ゆ、勇司君大丈夫?」
香織が急いで勇司の所へかけよる。
「てめぇ~」
翔と信吾が思いっきりラークを睨みつけた。
しかしラークは再び語り始めた。
「因みに、このゲームに於ての失格条件は所持金が無くなるか、又は、デスマークに止まるかのどちらかだ。
「ちょっと待って、失格になると私達は一体どうなっちゃうの?」
香織が恐怖心を必死に抑えながら口を開いた。
「さぁな、それはなってからのお楽しみだな」
ラークはあっけらかんとした態度で言い放った。
「ふざけるな、ちゃんと答えろよ!!」
翔もいつもの冷静さを失っていた。
「因みに、このゲームでは救済措置として自分の所持金を仲間に渡す事ができる。まぁそれは追々分かってくる事だろう。さぁ、最初の者は誰だ?」ラークはルーレットを指差しながら言い放った。
「俺が行く!!」
翔が勇敢にも名乗りを上げた。
「ふ、歓迎するぞ勇者よ!!では、ゲームスタート!!!」
ラークの一言で、ルーレットが回転を始めた。
ルーレットの正面に立つと緊張感がじわりじわりと込み上げてきた。
翔は矢を持ち、静かに構えた。
「くっ、手が!!」
何とも言えない恐怖が込み上げてきた。それは、他の三人にの目にもはっきり見えてとれた。
「頑張って~」
香織の掛け声と共に翔はゆっくりと深呼吸をし、再び構えた。
「バシッ!!」
軽快な音が響いた。
「さ、3か」
翔は地面のマス通りに歩き出した。
そして自分の着地地点をゆっくり読み上げた。
「お年寄を助けた。現金3000円貰う」
「おめでとう、収入ゲットだな。それと、一人ずつに3万ずつ支給する。大切にしろよ」
ラークはにやけながら答えた。
「さぁ、どんどん行け!!!」
結局、翔・勇司・信吾・香織の順になった。
「災難に合う、2000円失う」
え、嘘でしょ?
香織が慌てた様子でラークを見上げた。
「俺なんか、病気で一回休みだぞ!!」
勇司が不機嫌そうにぼやいた。
「しょっぱなから休みとは、だせ~。俺は1000円頂き~」
けらけらしながら信吾が勇司に茶々をいれた。
「さぁ、本当のお楽しみはこれからだ。またな!!!」
ラークがそう言い放った瞬間、「ズドーン」という音と共に視界が再び真っ暗になった。
「ん、!!」
気がつけば、翔は再びベットの上にいた。
「な、何だったんだ!!」
翔はいつもより早い時間に家を出た。そして、携帯のメールを慣れた手つきで打つ。体育会の裏に集合!!!
「おはよう皆」
四人が集まるのにそんなに時間はかからなかった。
「おい、お前達昨日の夢!!」
「あぁ、分かってる!」
翔の反応に、勇司が眉間にシワを寄せながら頷いた。
「ただの夢だよね?」
香織が不安な表情を浮かべている。
「だけど俺、さっきジュース買おうと自販寄ったら1000円拾ったんだけど!!」
「え、!!!!」
反射的に三人は信吾の方を向いた。
「私もさっき財布落としちゃって・・・」
香織が恥ずかしそうに舌を出した。
「俺も起きてからちょっと熱っぽいかも」
勇司も頭を掻きながら困った様子であった。
「マ、マジかよ・・・」
沈黙の時が流れた。
キーンコーンカーンコーン。
まるで、その沈黙を遮るかの様に始業5分前のチャイムが鳴った。
授業中、翔は自分の手を見ていた。「あの感覚は一体・・・」
そして、袖口の所に付着している羽の破片を見て全てを悟った。
翔は窓越しに空を見上げた。その空は黒く、大きな雲に覆われていた。
次の日、勇司が体調不良の為学校を休んだ事を翔達は担任の先生から聞かされた。
「あいつ大丈夫かな?」
信吾が心配そうに言った。
「大丈夫に決まってんだろ!」
「あいつは強いから・・・」
勇司は物心付いた時に、父親が病気で亡くなってしまった。それが原因で母親も精神的に参ってしまっていた。そのせいでか、勇司は中学校に入って間もない頃から酷く荒れていた。
周りの人はすっかり勇司とは距離を置く様になった。
そんな時、母親はついに自ら命を絶ってしまった。
「ざまぁみろ」
そんな言葉が飛び交う中、勇司は一人体育会の裏で泣いていた。
それを偶然見つけたのがこの二人であった。木枯らしの吹き荒れる中、その姿はとても小さかった。
その時以来、翔達は勇司とつるむ様になった。
「何であいつなんかと・・・」
そんな言葉をかけられても決して、翔達は気にもとめなかった。
「俺、こんなに本音を言える仲間は初めてだわ(笑)」
勇司が恥ずかし気に言ったこのセリフが翔にはとても嬉しかった。
「お~い、大丈夫か~?」
信吾が不思議そうな顔をしながら言った。
「あ、悪い悪い何でもない」
「変な奴だな(笑)」
「るせ~よ、お見舞いに行こうぜ・・・」
「あぁ・・・」
その2日後、四人は再びラークと再会した。
「どうやらこのゲームの本当の醍醐味が分かったようだね?」
ラークが笑いながら答えた。
「ふざけやがって!!」
勇司は吐き捨てる様に言い放った。
「上等じゃねぇか、全員で無事ゴールしてやるよ!!!!」
翔のこのセリフを皆、胸に刻み込んだ。
あの日からどれくらい時が経ったのだろうか・・・
季節は冬を迎えた。
現在の結果
翔、69万
勇司、45万
信吾、30万
香織、25万
しかし、ここから事態は一変していく・・・




