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人生ゲーム  作者: 唐木勇士
2/5

悪魔の化身ラーク

その日の夜、翔はまた同じような夢を見た。

普段オカルトやミステリーといった類いの物を全く信じない翔にとっても、この事は不気味でしかないようであった。しかし、翔はなかなかこの事を他の人に言えないでいた。



「は~い、それでは今日の体育の授業はバスケをしま~す」


先生のかん高い声が体育館中に響いた。


「よっしゃ~負けねぇぞ!!!」



皆大喜びであった。勿論翔達も。

何故なら翔達は部活でバスケをやっていたからである。

試合が始まってみると、その実力の差は歴然であった。



「へい、勇司」


信吾の放ったボールが勇司の手元へ届いた。



「ほら、翔!!」



翔がダンクシュートを決めようと踏み込んだ瞬間


「うっ!!!」


翔の足に激痛が走った。余りの痛さに翔はその場から動くことができなかった。

ボールだけが、虚しく床を転がっていた。


「いたたたた、何だ?」



翔はいぶかしげな表情をしながら、体操着の裾をめくり上げた。



「えっ」



翔は咄嗟に声が出た。

翔の足首の所には、黒い手形の様な痣が浮き出ていた。



「お~い、大丈夫か?」


硬直したままの翔を心配し、先生達が駆け寄ってきた。



「だ、大丈夫です」


震える声で翔は答えた。



「本当に大丈夫かぁ~?」



勇司達も心配そうな表情を浮かべている。

その場に居るのが気まずくなったのか、翔は先生に言った。


「先生、ちょっと調子悪いんで休みます」



翔は精一杯の声をあげた。


皆が心配そうな表情をしている中、翔は一人体育館を後にした。


「ま、まさか・・・」



翔は自分の机の上で頭を抱えた。翔の脳裏には、あの光景がフラッシュバックの様に鮮明に蘇ってきた。

翔の体に再び嫌な汗が流れた。


勿論、残りの授業など耳に入るはずもなく・・・

その日の放課後、翔達はよく行く、河川敷の所にいた。オレンジ色に耀く夕日が翔達の顔を染めていた。

元気の無い翔の姿を見かねた勇司が、翔に尋ねた。


「お前、何かあったの?」


「そうそう、体育の後から様子が変だぜ?」


いつもは無邪気な表情の信吾も真剣な顔で言った。

流石は親友だけのことはあって、どうやらこの二人には筒抜けな様子であった。

翔は何故か少し心が落ち着き、重い口を開いた。



「あ、あのさぁ・・・」



翔は自分の見た夢、そして足の痣の事を全て話した。

二人はその間黙って夕日の方を見ていた。

その二人の反応が意外だったのか、翔は話している途中、自ら質問した。



「お、お前ら笑わないの?」


すると信吾がいつになく真剣な顔で答えた。


「その夢なら、俺達も見たよ」


「えっ!!!!」



翔はひどく衝撃を受けた。


「俺も真っ暗な所をさ迷ってた、だけど、遠くから翔に似た悲鳴が聞こえたのを覚えてるよ!!」



勇司が下を向きながら答えた。



「ど、どうなってんだ、皆同じ夢を見てたっていうのか・・・」流石の翔達も動揺を隠せないでいた。



「ったくよぅ、お陰でこっちは全然寝た気がしねぇんだよ!!!」



信吾が怒り口調で言った。


しかし、明らかに信吾の手は震えていた。



気が付いた時にはもう周りは、暗闇に包まれていた。翔達は無言のまま、帰路についていた。


「そういえば、三人で黙って帰った時なんか今までにあったかなぁ~」



翔は心の中でひっそりと呟いた。



家の前に着くと、そこには香織の姿があった。



「あれ、どうした?」



翔はびっくりした様子で尋ねた。



「えへ、今日翔の誕生日でしょ?」


香織は笑顔で答えた。



「あ、そうだったわ」



7月22日は翔の誕生日であった。事情が、事情なだけに、そんな事すっかり忘れていた様であった。



「はい、これ」


香織はちょっと恥ずかしそうに、ネックレスを渡した。



「マジ、ありがとう」



ちょっと照れくさそうに、翔はネックレスを手に取った。

いかにも、香織が選びそうなユニークな形をしたネックレスであった。しかし、どこか暖かみを感じる、そんなネックレスでもあった。



「せっかく来たんだから、ちょっと上がってけよ?」



翔は香織を自室へ招き入れた。

そして、香織にも今までの出来事を話した。



「え~、そんな事もあるんだね」


香織は、不思議そうな顔で答えた。



「でも、似たような夢、私も見たことがあるよ!!!」


香織は少し怯えながら答えた。


「香織もかよ・・・」


翔はもう、訳が分からないようであった。

翔の心情を察したのか、香織が落ち着いた声で言った。



「もう少し、様子を見てみようよ、もしかしたらその痣だって偶然かもしれないよ?」



翔はその言葉にすがってみたい気持ちにかられた。



「だよな?偶然だよな?」


翔の気持ちは少し落ち着きを取り戻した。



「じゃあ行くね、まだレポートが残ってるし」


香織が時計を気にしながら答えた。


「うん、また学校でな」


翔は香織の姿が消えるまでずっと見送っていた。



翔も、残っていた宿題を片付けた。風呂に入り、歯を磨き終えた時には時刻は1時になろうとしていた。



「寝るか」


翔は洗面台の鏡に向かって呟いた。


am1:15、翔は部屋の電気をそっと消した。



その日、4人はそれぞれ、違った夢を見ていた。皆良い夢を見ているのだろうか?とても幸せそうな表情をしている。



しかし・・・




突如、ズドーンとう大きな音と同時に、視界が真っ暗になってしまった。



「痛った~」



翔が夢の中で目を覚ました時、再び漆黒の世界があった。



「またかよ!!」


翔は溜め息をついた。


しかし、今回は今までとは少し違う様子であった。



そこには、翔の周りに倒れている勇司、信吾、香織の姿があった。



「おい、しっかりしろ」



翔は横で倒れている信吾の肩を揺すった。


「ん、あれ、翔じゃん!!」


信吾の驚いた声に、他の全員が起き上がった。


「お前達、こんな所で何してんの?」



勇司が半笑いで言った。


「どういう事?」



香織が首をかしげている。



「この空間・・・」



「あぁ、間違いない!!」



床一面に書かれている文字を見て全員が悟った。



すると・・・



「ようやく起きたようだね」


暗闇の空間に大きな声が響いた。



「だ、誰だ」


全員が辺りを見回す。


その瞬間、パッと暗い空間に光が入った。暗い所にいたからなのか、翔達にはとても眩しく感じた。

その光の先に何が居る。全員の目がその者をとらえていた。


そこにいたのは・・・



「ば、化け物か!!!!」



翔が声を張り上げた。



「私は、悪夢を司る者だ!!」



黒い翼に赤い目、そして長い尻尾その姿は正に、悪魔そのものであった。



「悪魔?馬鹿じゃねぇの!!!!」



勇司が呆れた様子で叫んだ。



「ふ、お前達は今、私の空間にいる。現に今までだって、皆同じ夢を見ていたであろう?」



「な、何が目的なの?」


香織が叫んだ。



「お前達を呼んだのは他でもない。お前らにはゲームをしてもらう。・・・・・人生ゲームだ!!!!!」

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