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【第十五話です。】



 あの悪霊はわたしを好いています。

それは解っています。恋なんて、そんな純粋なものではないこともよく解っています。

けれどそれでどうします?彼は死んでいるのです。

これが予定調和な物語であるのなら、実は彼が生霊であっただとか、そんな都合の良いストーリーが展開されるのでしょう。

けれどこれは現実であって、都合の良い物語ではないのです。



「なんて、考えたところで意味のないことですが。」



「え、なになに俺のこと?」



「自意識過剰も大概になさってくださいませんか。ウザいです。」



 たしかにそうなのですが、認めるのも癪です。

とりあえずこの悪霊は、いつ消えてくれるのでしょうかね。

こんなのが憑いていては恋人もできないという話です。


 ・・・・眼力のせいでこんなヤンデレが近くにいなくても恋人なんて出来ませんがね!




「どうしたの無表情に哀愁漂わせちゃって。」



「そんな器用な真似はできませんよ。」



「あ、そうだ。」



 彼は思いついたように、そう声を上げました。

そしてにこりと、時折見る底の知れない笑顔を浮かべました。



「真白ちゃん、俺に浮遊霊やめさせたいんだよね?」



「・・・・えぇ、まぁ。」



「なに?その曖昧な返事。まぁいいや。」



 茶化すように笑うけれど、その眼の奥は笑っていません。

なんだか簡単に頷いてはいけないような気がしたのです。

訝しむような感情が表に出ていたのか、佑都はふふっと上品に笑いました。

コイツ時々妙に上品な仕草が目立つが、もしかしてそれなりに良いとこの坊っちゃんだったんじゃなかろうか。




「ちょっと俺の心残りを回収して欲しいだけ。簡単でしょう?」




「・・・内容にも、」



 よります。

そう言おうとして、体が動かなくなりました。指一本動かない。

声も、出ない。

金縛りとか、本気で悪霊じゃないか。



 底の知れない笑顔から目が逸らせません。

なんですか、聞いておいて。

最初から全部計画済みで、わたしの都合なんて聞く気なかったんじゃないですか。


 ふっと、暗転。

あぁほんと、最悪ですね。









 次に意識が戻ったとき最初に感じたのは、ひんやりとした床の感触でした。




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