【第十三話、後編です。】
「・・・・どういう意味?」
ついて出た言葉ですが、これ以上言うのは酷なことかもしれません。
正直な話、きっと彼もわかってはいるのだと思います。
長くはありませんが、一緒にいた時間は短くはないのです。彼は年齢以上に聡いところがあります。
もともとなのか、彼が死んでからかは知りませんけど。
ただ、先を諭すような視線を頂いたので一応言いますが。
「君は死んでいるんです。生霊とかじゃない、浮遊霊だ。
私に恋したって結ばれるわけではありませんし、ずっと一緒に居られるわけでもありません。」
佑都の時間は止まっていますし、私の時間は死なない限り動き続けるんです。
ちなみに私はまだ若いし死ぬ気はないのです。
「・・・そうだね。正直、羨ましいと思うことはあるよ。
疎ましいとも思う。だって俺は死んでるからね。そう言って、死んでくれる?て、言ってもさ・・・あなたは俺のために死んじゃくれないでしょ?
言ったってどうにもならないことは言わないよ。だって俺は悪霊じゃないんだから。」
いつもどおりの笑顔で淡々と答えられた。
あーぁだから言うのをやめようとしたんです。
シリアスは好きじゃありません。
「なんで俺がさ、初対面であなたを絞め殺そうとしたかわかる?」
「知りませんよ。」
正直、どうでも良いことです。
だって殺されることなく今わたしは生きているんですから。
「生きてる人だってわかったから。」
「は?」
「どこにも行って欲しくないから、こっち側にくればいいと思った。ずぅっと一緒にいて欲しいとも思ったんだよ。」
ひと房髪を掬い上げて、口づけた。
はたから見れば熱烈な愛の告白に見えなくもないでしょう。
ただわたしは初めて、彼を恐ろしいと感じました。
「今でも、そう思っていますか?」
「さぁ?よくわからないな。」
霊になってから、感情の整理がつかないそうです。
様々な感情がごった返して、とても不安定な状態だそうです。
「こうやって話してたら気も紛れるし、衝動的に殺すようなことはないから安心してよ。」
いつもどおりに笑う、それが歪に見えて仕方がなかったのです。




