【第十一話、後編です。】
案内されたのは、高級マンションと名高い近所のマンションでした。
趣味のいいリビングのさらに趣味のいいソファに座らされ、お茶とお菓子まで出されました。
「あのそれで、なぜあんな謝罪を・・・?」
「最近、晶都が妙に機嫌いいなと思っていたの。」
「はぁ、」
それのどこが彼女が謝罪することへ起因するのでしょうか・・・。
弟の機嫌が良かったりするのは喜ばしいことではないですか。
「あの子が機嫌の良い時なんて禄なことではないとわかっていたのに・・・!」
わっと白々しくもその白魚のような両手で顔を覆いました。
「あの・・・とりあえず莉都さんの責任ではないと思うので謝罪は不要な気がするんですけど。」
「そんなことないの・・・」
聞けば、私の個人情報を彼に渡したのは彼女だそうです。何してくれちゃってんですか。
ただそれはほんの少しの情報で、あとは晶都くんがご自分で調べたそうです。やっぱり情報社会怖い。
とりあえず、そろそろ個人情報保護法にのっとって起訴してもよろしいでしょうかね。
「姉さん!」
「あら晶都、なんの用かしら?」
なんか突然高圧的な態度になりましたよこの方。
なんでしょうか姉弟仲もしかしなくても悪いのでしょうか?
ずかずかと莉都さんの前まで来て睨みつけた。
更に莉都さんまで睨み返すものだから・・・え、何この二人超怖いんですけど。
「睨み合いで怖いとか真白ちゃんだけには言われたくないよね。」
そして空気の読めない悪霊ですよ。
「あれ、無視?」
へにゃりと眉を下げて言いました。
いやここで悪霊に話しかければ間違いなく怪訝な目で見られます。主に莉都さんに。
「真白さん!」
「・・・え?」
悪霊のほうに気を取られて何も聞いていませんでした。
何がなんだかわかりませんが、とりあえず晶都くんが私の手首を掴んで部屋から連れ出しました。
「何があったんでしょうか?」
「さぁね。」
我が道貫いてんなコイツ。
「僕は、本気なんです。」
「・・・・は?」
先程から全くもって話についていけないのですが。
これはあれですか?莉都さんに不用意に見ず知らずの人に近づいてんじゃねーよ的な忠告をされたんですか?
・・・たぶんあたりでしょう。
「真白さん、僕は真白さんが好きです。」
そりゃストーカーするくらいには好きなんでしょうよ。
つと、切なそうに細められた目とあった。ついでに、肩も掴まれた。
・・・・え、これは何ですか。
って、なんかその麗しいお顔が近いのでいったん離れましょうか。
伏せられたまつげ長いシミやニキビがひとつもないついでに言えば肌がきれいですね・・・くっ。
「、あの・・・」
口を開いたとき、パチリと彼が瞬きました。
次に、悪霊がよく浮かべている底の見えない笑顔を浮かべました。
「なーんてね。」
「・・・佑都ですね?」
「あれ、わかっちゃうんだ?さすがだねー愛の力?」
はぐらかすように掴みどころのない笑顔で言ってのけました。
いつもわかりませんが今日はいつも以上に訳がわかりません。
「まぁ、あれだよね。うん、単なる嫉妬だよ。ジェラシーってやつ。」
「はぁ?」
「あなたを誰にも取られたくないって話。」
ひそめて伝えられた言葉の意味を理解するのに数秒かかった。
なんでしょうかねこの悪霊は。とうとう頭まで焼きが回ってしまいましたか。
「とりあえず、近いので離れてください。」
「そう?妥当な距離だと思うなぁ。」
息がかかるほど近い距離を妥当な距離とは言いません。




